表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/51

貴族生活

色合い豊かな様々な建築物が立ち並び、中央には石畳の広大な道

そんな道の突き当たりにある、一際大きく豪華な家

それが僕、『クラルス・ナルヴィー』の住む、ナルヴィー子爵の家だ

 

クラルスは茶色い髪を弄りながら、ナルヴィー家の土地の地図を眺める

碧い宝石のような目で、自身の住む家とそれぞれの建物との距離を大雑把に把握する


クラルスは現在、6歳である

子供とは思えぬその行動は、クラルスのとある秘密によるものだ

それは、「自分が『転生』したということだ」


だが、転生したといっても、転生前の記憶はほとんど残っていない

自分の事は、前の名前が『コウマ』であった事、そして前は学生であったという二点のみ

性格など、コウマの頃から変化していないものもあるかもしれないが、今ではクラルスという別人と思ってくれればいい


そんな自分は、昔ナルヴィー家に拾われたため、ナルヴィー家とは養子縁組ということになっている

深紅の獣が僕を背負って訪ねてきたらしいが、残念ながら僕にその記憶はほとんど残っていない


そうして、物心がついたと同時に『コウマ』のものと思われる意識が芽生えたため、今はナルヴィー家のことを勉強しているという訳だ


ナルヴィー子爵は貴族とは思えないほどに心優しい人物で、捨てられた自分を助けてくれたのはもちろん、自身の土地に住む平民達にもよく顔を会わせに行き、場合によってはその仕事を手伝うという事もある

人を助けずにはいられないようで、ナルヴィー家に住む使用人や養子など、実に13人がナルヴィー子爵に助けられた人物だ

自分はその中で一番下の弟である


そんな人物なのに『ノブレス・オブリージュ』もしっかりとしており、養子の自分達にもしっかりと教え込んでいる

そのため、周りの貴族達からもナルヴィー子爵は一目置かれているらしい

 

まあ義父の話はここまでにして、今度はこの世界を確認しておこう

この世界には、人間の他にも多くの種族が生息しているという

例えば、魔族や獣人、エルフなんかも数は少ないが存在しているらしい

僕の種族はもちろん人間で、現在この世界に最も多く住む種族のようだ(虫とかは除いて)


他にも、魔法が存在していたり、術式という法陣を使う力もあるらしいが、今の自分には覚える手段がないのでこれからだ


後は基本的な世界の構造もかなり特殊だ

例えば、今僕のいる『都市』と呼ばれる巨大な国家は、一人の王を中心として多くの貴族がそれぞれの土地を管理しているらしい

封建制で基本的には五爵の貴族制だ


と、これが今僕が把握している全てである


まだまだナルヴィー家の書庫で勉強を続けたい所だが、これから自分は礼儀作法の訓練だ

ナルヴィー家直系の息子である、『クラウィール・ナルヴィー』義兄(にい)さまから教えを乞えるため、自分の中では少々誇らしい事であった

 

早朝からずっと居座っていた書庫を抜け、目指すは屋敷の玄関ホール

いつも朝食の前に訓練を受け、合格した者から朝食を食べることになっている

自分は今年からだが、義兄や義姉達はこれを毎日続けているらしい


その後は昼まで書庫に籠る

昼食後は剣術の指南を受け、他にもストルゲ語と呼ばれる公用語を学んだりする

そのおかげで、前は挿し絵で読み取っていた書庫の本もだんだんと内容が分かるようになっている


夕食は家族全員で食べることになっており、あまり顔を見せない義兄弟(きょうだい)達もこの時だけは楽しそうに食事をしている

…まぁ、僕もそれに含まれるのだが


こうして、僕はいつもの1日を終える

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ