第十四話 嵐の前の静けさ
風呂上がりには牛乳イッキ
温まりきった体の芯に流れ込む、キンキンに冷えたまろやかな飲物
これ以上に心地よい事も滅多にないだろう
背中の跡に一切気がつく事なく、クラルスは風呂と牛乳によるととのいを満喫していた
夕飯を食べると、さっさと寝室に向かって横になる
さっさと眠りにつこうかと考えたが、頭の中に様々思考が巡る、そのため少しの間考え事をしてからにすることに決めた
三日後が楽しみだ、今度はどんな話をしよう
ハープの細かな効果も知りたい、作者は何故あんな楽器を作ったのだろう、他にはどんな楽器と効果があるのか
幻想局は自分に何をさせるつもりなのか、マグヌムは何を考えているのか、
ルダスには他にも似たような物があるのだろうか
今自分が考えている、悩み、興味、関心、それらがいくつも頭を巡る
解決できるだろうか?
いや、問題ない
一つ一つ、着実に解決していくだけだ
翌日は、いつも通り書庫でルダスの本を漁る
朝から読んでいるが、特に収穫は無い
だが、11冊目に差し掛かった時に少し興味深い記述を見つけた
その本の挿絵には様々な楽器と文字が書かれており、そのなかには自分の持っているハープすらも描かれていた
すると複数の表紙が似ている本に気がつき、その中身も開く
そこには楽器と同じように、絵具や筆が描かれていた
そこで一つの考えが浮かんだ
これは、幻楽器と同じように特別な力を持つ物なのではないか、絵具は絵画、筆は文学をそれぞれ表現するために作ったのではないか
だとしたら、ルダスはどれだけこのような力を持っているのだろう
自分の想像など遥かに越えてくるルダスの力
自分が思っているよりもさらに、ルダスという都市は恐ろしい都市なのかもしれない
その後は目新しい情報もなく、やっと四割近くを読み終えたところで一日を終える
翌日も同じように過ごし、遂にカミラとの約束の日を迎えた
少し意外なことに、これまで幻想局の局員達は一切自分に関わってこなかった
嵐の前の静けさとでも言えるのだろうか、どこか怖さを感じるほどに動きを感じることが無かった
さて、今日はカミラとの再開という訳だが、早速ハープを持って前の平原に向かおうか
せっかく会うのは二回目なのだ、少しくらい驚かせる要素があってもいいかもしれない
ということで、今回はアルブも連れていくことにした
アルブもずっと家にいるとストレスが溜まるだろう
そして、アルブと共に一昨々日の道を辿る
アルブは尻尾を振り回し、興奮したように飛び回っている
「わぁ、可愛い!」
予想通りという訳ではないが、カミラがアルブを一目見た瞬間、アルブの毛並みに沿って丁寧に撫でた
アルブも満更でもないようで、カミラを見た時は一瞬放心していたアルブもすぐにカミラに甘えていた
その後も三人で自由に楽しみながら、他愛もない会話を交わす
やっぱりカミラと話すのは、家族との会話と違って自分にとってかなり特別になっていると実感した
楽しい時間はすぐに去っていく
太陽が朱く輝いて帰りの時間を伝えてきた
また次も三日後に会うことを約束し、アルブを連れて帰宅する
ずっと草原で遊んでいたせいか、アルブからは草の匂いが漂っており、所々の毛が緑色に変色してしまっていた




