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第十三話 また今度

一時間近くたったころ、自分とカミラはかなり疲れており、二人して大の字で地面に倒れていた


簡単に分かった事を纏めると、

1.歪みは自身の近くには影響しない

2.歪みの大きさは変化しない

3.奏でる音がなんであろうと歪みは常に一定の効果

4.奏で終えて10秒待つと効果が切り替わる

5.試しに枝を投げ込むとものの数秒で粉々になった

6.自分が動くと歪みも動く


無差別による攻撃という点を除けば、自衛としてこれ以上に優れた物はないだろう


カミラに怪我を生まなくて良かったが、もしこれに人が入ったらすぐに肉片になって死んでしまう


使い所は考えなければならない


それに、家などの狭い空間だと家そのものが無くなる可能性がある、なんとも恐ろしい兵器だ


二人で試していた時、カミラもハープの音に魅入られていた


だが、自分のように放心する事はなく、ただ良い音色だと感想を述べるだけだった

これは自分がおかしいのだろうか


それでも、良いものをより良いものとして味わえるのならば、他の人と感性がずれていても構わない



「ねぇ、おはなししない?」

体も落ち着き地面に座り込むと、カミラがそう言ってきた


確かに、自分もカミラに興味がある

まだまだ暗くなるまでは時間もある、なので少しくらい遅くなっても問題ないだろう


「いいよ」

「やった!」

満面の笑みを見せ、カミラは話を続けた


「わたしね、ずっと家にいたから他の人と話した事ってなかったの

だからね、今日はとっても楽しかった」

「それ、自分も一緒だ

自分もずっと家にいたけど、頑張って外に出てよかった」

 

カミラは自分と似た境遇だったことが判明し、より親近感が沸いた


元々あったかといわれれば、まぁあまり無かったが

それよりも、やはり共通点が見つかるのは嬉しいことだ


その後も一時間近く話をした


自分は義兄の話やアルブの話などをした

カミラも自分と同じように家族や兄弟の話で盛り上がった


自分とカミラの共通点として、優しい兄の存在があった、優しくて頼りになる信頼できる兄

もしかしたらそこが重要だったのかもしれない

同じ境遇で同じような頼れる人物、それは二人を繋げるのには充分な糸であった


そんな楽しい時間も終わりを迎え、もう空が朱く染まっていた頃だ


「また、会えるかな」

悲しげに、儚げに、そう言うカミラに対して、自分は一つ提案をする


自分としてもカミラとはこれからも遊びたいし、アルブにだって会わせたい

それは、双方全くといっていいほど同じ気持ちだろう

 

「じゃあさ、三日後にまたここに集まらない?」

「三日後…」

カミラは少しの間呆けた顔を見せ、考え込んだ後、すぐに笑顔を見せた


「うん!」

そして、力いっぱいに了承してくれた


また会えるという喜びを噛みしめ、カミラと別れた後に家に戻った


帰路を辿る途中、様々な馬車を見かけた

商人のものと一目で分かるものから、やけに旅なれた御者が乗るものまで、見えた数は実に十を越える


近くに止まった馬車を見ることはあっても、これだけの馬車が動いている光景を間近で見ると、なかなかの光景だ


もう太陽は半分ほど地に隠れ、反対側からは黒い闇が迫ってきている

そんな時間に、自分は家に帰ってきた


まず最初に出迎えてくれたのは、アルブと使用人のティエスだった


ティエスは相変わらずアルブの面倒を見ており、自分に気がついたアルブが走っていくのを見て、やっと自分が帰ってきたことに気がついたようだった


その後はティエスに指摘された服の汚れを落とすため、風呂に入ることを勧められた


ハープを部屋に置いた後、珍しく湯が張られた風呂に向かった

 


─そして、服を脱いだ



その時、クラルスは気がつかなかったが、その背中にはとある紋様が浮かんでいた



普通ではない、混沌とした、禍々しい紋様



それは花である



それは薔薇である



それは闇である



背中に咲いた二輪の花



それが今、蠢く



虫が這ったような跡が



狂気に染まった画家が描いたかのような跡が



美しくも、狂気的



穏やかで、威厳的



その中に、新たな蕾が生まれた



それを知るものは誰もいない



それを見るものは誰もいない



魂に刻まれたその軌跡が今、新たに根を生やす

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