第百十七話 終止
いつもの日常に戻ったと言ったが、それでも様々な出来事は起きる
まずは、マグヌムが出ていった事だ
クラウィール義兄さまに殺意を向けられてから、ずっと考えていたようで、
「僕は、そろそろ向かうとする
クラルス、そしてナルヴィー家の方々、今まで世話になった」
そう言って、ルダスに戻るための旅に向かった
別れた後、マーテル義姉さまとアルブが、寂しそうにして元気を少し失っていた
とはいえ、数日も経てば今までと同じように、楽しそうな笑顔を取り戻していたが
自分も寂しさはあったが、マグヌムがそう決めたのならば、自分はそれを止める権利はない
…だが、寂しがっていない義兄弟もおり、
クラウィール義兄さまとウィルスール義兄さまは、どこか縛られていたように見えていたその表情が、解放されて胸を撫で下ろしているように見えた
そんなクラウィール義兄さまは、今までで見たことがなかった
あんな…人を心の底から嫌っているような表情は…
それからまた日が経ち、すでにナルヴィー家には、憂鬱や悲哀といった空気は、一切残っていなかった
心の内は、別として
あれから一度だけ、自分は幻想の世界に行った
メミニと会いたかったというのもあるが、一番の目的は、あの後劇場がどうなったのかが気になるということだった
義兄さま達には、しばらく関わらないと言ったが、あのフェルミナという女性が言っていたことが気になり、もしかしたら別の組織が出来ている可能性もあるため、少し見に行くだけなら問題ないはずだ
幻想に来ると、すぐにメミニが現れて迎えてくれた
周囲を見渡したが、劇場は無くなり、小屋もやはり残っていなかった
まるで、何も無かったとでも言いたげな、そんな広い平原に、自分達二人は立ち尽くしていた
すると、急にメミニが歩きだし、自分もそれに着いていくと、そこには、一つの楽器と手紙が置いてあった
『クラルス、お前にこれを贈る
覚えているか知らないが、メミニの奏でた楽器で重力が反転したことがあっただろ
それで、ほとんどの幻楽器は使い物にならなくなったが、少しだけ、残った幻楽器もあったんだ
…まだ、一番大きな借りを返せていなかっただろ
これでチャラだ
もう会うことはないだろうが、これだけは伝えておく
私はお前が嫌いだ
キャピオ』
…なんと形容したら良いのか
いや、素直に受け取ろう
ありがとう、キャピオ
そして、目の前にあった幻楽器は、フルートのようだ
木管楽器…ということは、感情を壊す音か……
使う機会はないだろうな
そうして、それを持って、現実へと戻った
カミラと出会えないことを除き、これでやっと、ナルヴィー家と自分は、幻想との関わりを断ち、なんの変哲もない、普段の日常に戻ることが出来た
いつも拙作をお読みいただき、ありがとうございます
誠に恐縮ではございますが、書き溜めていた分が尽きてしまったこと、そして次章への準備期間として、一週間ほどの休載をいただきたく思います
今後の予定ですが、休載明けとなる次章からは、一話あたりの文字数を増やし、より読み応えのある内容を目指して参ります
そのため、現在の投稿ペースから頻度が落ちる可能性がございます
ご迷惑をおかけしますが、再開の暁には、より面白い物語をお届け出来るよう、精一杯努めますので、引き続きお付き合いいただけますよう、お願い申し上げます




