表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/158

第百九話 失った、自身

研究所が燃え上がり、中にいた研究者がバタバタと倒れ込む


その光景を、研究所が完全に炎に包まれるまで見届け、マグヌムは向かった

親を無視し、自身の目的を叶えるための道へと




─炎に包まれ、マグヌムに話しかけたあの研究者は、抵抗も出来ぬまま、肌が焼き爛れる感覚を覚えていた

そして、その背中の皮膚が捲れた時、染み込んでいた青色の絵具が、同時に地面へと溶け落ちた



「…では、そろそろ向かいましょうか」

研究所を見続けていた女も、隣の絵画を炎の中へと投げ込み、向かった


マグヌムが向かった先と、同じ場所へと




─「…ただいま、イーデム」

いつも通り、部屋で待っていたイーデム

それに、マグヌムは新たな命令を下した


「僕はこれから、オーケストラを開く

イーデム、君も同じように、あの女を裏切れ」


イーデムは、少し抵抗しようとする素振りを見せた

だが、実際に抵抗出来るはずもなく、イーデムはそのまま、首を縦に振った




「戻りました」

そんな時、女が部屋へと戻ってきた


いつもならば、マグヌムがイーデムの話を聞いているという演技で、奴隷化を誤魔化していただろう


だが、この日に限っては、三人の間にいつもとは違う空気が流れていた



そして、そんな状況で、マグヌムは真っ先に口を開いた


「…僕は、世界一のオーケストラを開催する

そのために、僕は幻想に生きます」


どうせ断られる

そんな事は百も承知で、マグヌムは伝えた



だが、女の顔には予想と別の色が浮かんでいた


まるで、こうなることを分かっていたかのような、当たり前だと受け入れるような顔

そして、女はマグヌムに向け、助言をし始めた


「そうですか

では、開催場所は最優都市ストルゲの、ナルヴィー領が良いでしょう

あそこの領主であれば疑われる可能性も低く、楽にオーケストラの準備が可能です


楽団であれば、組織として、名称も必要でしょう

幻想局、なんていかがですか?


あとは人も足りませんね

幻想種で賄いきれない人々であれば、せっかくなので、ルダスに来てもらえば、合う方を紹介しますよ」


女は少し興奮気味に語った


裏切ろうとする相手への行動ではないと思っていても、それは騙そうとする雰囲気ではなく、完全な善意としての助言のようだった



その後は、滞りなく進んでいった

現実のナルヴィー家の場所に、想造で小屋を立て、幻想種に音楽を教え、目的を果たすために動いた



女からは、ルダスから小屋へ、小屋からルダスへと移動出来る、ワープの術式が刻まれた紙と、そしてキャピオとスペクラートという、幻想局に入る実力を備えた人物を紹介してもらい、仲間として取り込んだ



それからも、ルダスから幻楽器を運び出し、迷い込んだ者がいれば、実力を見て仲間に誘った


定期的に来る真珠の耳飾りをつけた者も、邪魔をしていたため追い返す



ルダスと小屋を往復し、世界一のオーケストラを開くため、苦労に苦労を重ねてきた


何度も何度も、リハーサルを重ね……




あぁ、そうか

化物か


世界一と願い、目的とし続けたが故



僕は、マグヌムを失ったのか










──マグヌムは、地面へと倒れ込んだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ