親離れする時
私が幼い頃に母が亡くなり、父が一人で私を育ててくれた。
だから、私は父の言う事を何でも聞いて育った来た。
小学校の遠足に履いて行く靴を選ぶ時も、赤い靴が良かったけど、父が選んだ青い靴を履いたし、
中学校の部活も運動部に入りたかったけど、父に相談したら、怪我をしたら大変だからと文芸部に入った。
高校も共学に行きたかったけど、父が進めた女子高に入学したんだ。
だから、何か有るといつも父に相談して決めていた。
私が社会人になった、ある日父が突然倒れてあの世に逝ってしまった。
過労死だった。
私は父に頼ってばかりいたから、この先どうして良いのか解らなくなってしまった。
ふと、あの世の父に会いに行って相談しようと思い立ち、睡眠薬を大量に購入したんだ。
そして、いざ睡眠薬を飲もうとしたら、睡眠薬の瓶が見えない力に撥ね飛ばされて、私の手から落下したのだ。
私は驚いて暫く動けなかった。
すると、うっすらと父の幻影が現れて、私に語りかけた。「これから毎月私の月命日に、お墓にお花と大福をお供えしてくれ」と。大福は父の大好物だった。
私は父の言う通りに、
毎月父の月命日にお墓にお花と大福をお供えするようになった。
そして、その出来事を切っ掛けに、
自分で考えて行動するようになったのだ。
お父さん、ありがとう。