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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
ダンジョンを進め

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第十一層

翌朝、リュクスはレイトを頭に乗せつつ、ベードにフレウとモイザが乗ったのを確認し、ダンジョンに行く用ために考えていた魔法を試す。思い浮かべるのは10階の祭壇だ。


「トランスアルター、ディヴィジョンマウンテン10層。」


リュクスたちの視界がぐにゃりと曲がったかと思うと、即座に暗転し、再び視界がぐにゃりと戻ると、目の前に祭壇が現れた。振り向けばダンジョンの白い階段が上下に続いてるのが見え、10層に到着できたのだろうとリュクスは従魔の状態を確認する。


「みんな大丈夫?」


「ばぅ!」「――――。」「コ!」


「みんなは大丈夫なんだね。僕はちょっとめまいが残ってるから、治る間はベードにお願いしちゃおうかな。」


従魔たちは問題なかったようだが、リュクスは視界のゆがみでめまいが残る。軽くふらつきながらもベードにまたがり視界を休憩させながら11層にと進み始めた。

しばらく上を向いて目を休憩してたリュクス。めまいが治ったタイミングでベードが膝上くらいの大きさの角のないヤギに寄ったので、リュクスは識別をしてみる。


----------

対象:フットマウンテンゴート

山のふもとに住む山羊

同種以外には猪突猛進がごとく突っ込んでいく

---------


「とりあえず僕は少し休憩。3人で倒してみてよ。」


「ばぅ。」「――――。」「コ。」


ベードが目の前の山羊を影爪で仕留めたところから戦闘開始。近場にいた数匹がベードに気が付き突進してくる。

前方と右方面の山羊はベードが影術で応戦。左側はフレウが炎魔法で燃やし尽くす。後方を見てみると、モイザが粘土の礫と土壁に突進させて一掃していた。

以前3匹で話していたのは、どこを見張るかの会議だったのだろう。ベードとモイザの担当範囲は広いが、フレウはあまり広範囲な技がないのだろうかとリュクスは尋ねる。


「フレウは風魔法と炎魔法を合わせて広範囲にばらまけないの?」


「ココ。」


「うーん、一種類ずつしか魔法は出せないの?この間は油術と風魔法を合わせてたと思ったんだけど。」


「コ…」


「えーっと、あれは油と風だから使えたの?たしかに油をばらまいた後に炎を使えば、威力とか範囲は増すけど、初動としてはどうしても遅れちゃうか。」


リュクスも炎術を出しながら、もう片手でウォータを使うことはできたが、フレイムボールとウォータボール同時に使ったことはなかったなと考える。

同時に使うといえば合成に術法合成があることを思い出したが、合成をほとんど使っていないので、ここで試すものでもないと首を振った。


「さて、僕の調子も戻ったし、右側の山羊の相手は僕に任せて。」


「ばぅ。」


つい使いやすいく強力な炎術に頼りがちなので、この機会に水術のスキルを使おうとリュクスは気合を入れた。

ウォータボールをバスケットボール大の大きさに膨らませ山羊に命中。はじける水しぶきとともに山羊が少し吹き飛んで絶命した。

すぐに追加で3匹ほど迫ってきた山羊。ウォータボールで対応するならと、右手と左手どちらにも集中し、それぞれの手の少し離れたところに先ほどと同じ大きさのウォータボールを作り上げた。そのまま両手を押し出すようにリュクスは一斉に発射させた。

避けることもせず、真正面から水弾を食らい絶命する山羊。突進の勢いはいいがと思いつつ、リュクスは残った一匹にもウォータボールを食らわせた。

リュクスたちはそれぞれ山羊たちを殲滅しつつ進む。水術の扱いもどんどん良くなっていくのを実感し、ウォータボールじゃない技も使えるかと試す。左手を握って構え、左手の上に右手を添えて、強く弦を引くイメージしつつ、リュクスは右手を引く。引いてきた場所にできあがる水の細い矢を山羊に放つ。


「完成、ウォータアロー。」


水矢は山羊の額を貫き、貫かれた山羊は転倒して転がった後、消滅していった。これならもっと効率的に行けると、リュクスは矢を一気に3本引くイメージで右手を引く。人差し指から小指のそれぞれの間に矢ができ上り、一気に放てば3匹を同時に貫ぬいた。


「うーん、さすがに突っ込むだけの山羊だからうまくいってるだけで、ダンシングエイプみたいなやつらだったら無理だろうね。」


「ばぅ…」「――――。」「ココ?」


ベードは申し訳なさそうにそうかもしれないと言ったようだ。モイザはそうですねと冷静に返したようだ。フレウからはそうか?と言われたようにリュクスは聞こえた。

フレウが僕の動きをまねるように両翼を前に出し、左翼をそのままに、体をひねるように右翼を引く。翼と翼の間に小さい風の矢ができ上る。炎でないのはフレウも使ってこなかった術法の練習なのだろう。

放たれた風の矢を正面に受けて倒れる山羊。まっすぐ来るだけの相手とはいえナイスヒットと心の中で賞賛する。倒れた山羊は消滅したので、威力もあるようだ。

フレウはリュクスのほうに向いて自慢げに胸を張っているが、まだ2匹ほど迫ってきてる。援護射撃をしておくかとリュクスが構えようとしたが、フレウは山羊のほうに振り向き、即座に翼を引いて風矢を二本作り上げる。そして同時に二本放たれて山羊を貫いた。


「風魔法もだいぶ使いこなせてるじゃん。炎魔法でもできるといいね。」


「コ。」


任せろと言わんばかりのフレウは先ほどと同じように翼を引くと、炎の矢ができ上る。


「そんなことできるならもっと広範囲も担当で来たんじゃない?」


「ココ。」


「え?今の僕の水術を真似たらできるようになったの?そっか、それじゃあしょうがない。」


「――――!」


「ん?モイザも何か見てほしい感じ?」


フレウに対抗するかのように、モイザが見てほしそうにリュクスをつついてきた。

モイザは4本を使い、前足の1本をリュクスと同じように構え、残り3つの足を引くと、その脚の間に粘土の矢ができあがった。後方から迫る3匹の山羊にと放ち、あっけなく倒してしまった。


「いや、モイザもフレウもアローを使ってもいいけど、他のスキルアーツもちゃんとやってみなよ?貫くならランスのほうが威力高いんだし。」


「――――!」「ココ…」


そんなこともあったが、11層をなんなく抜けたリュクス達。まだ時間はあるからと、12層も超えた後に宿に戻って13層の魔物について聞きに戻ろうとリュクスは考え進む。

12層の山羊たちをベードの隠密で避けて進み切りったリュクスは、リターンアルターで宿に戻っていた。受付でリプレに出会い、ちょうどいいと話し始める。


「どうも。戻りました。」


「あらま、おかえりなさい。どこまで行けたのかしら?」


「12層は隠密行動で超えてきました。山羊たちもベードを認識できていなかったので、次からはベードに2層走り抜けてもらって13層に挑む予定ですね。」


「あらま!なるほどねー、それじゃあもしかしたらあと2日くらいで20層まで一気に行けちゃうかもしれないわね?そこまでの魔物について全部教えてあげちゃったほうがいいかしら?」


「あ、じゃあ先に山羊皮を渡しておきますね。えっとリプレさんが使うんですよね?」


「たしかに私が使うわよ?どうして?」


「いえ、いつも受付にいるので。」


「それは内緒よ?うふふ。」


「そ、そうですか。とりあえずポーチを渡しますね。」


人差し指を口に当てるリプレに困惑しつつ、リュクスはダンジョンポーチを受け渡した。


「あらま?今日だけで12層まで超えてきたのよね?それで223枚?いったい何匹倒したの?」


「え?そんなに入ってました?11層で倒しまわってただけなんですけど、何匹倒したかはまったく数えてませんでした。すいません。」


「い、いえ、謝ることじゃないのよー?使う分がなければ全部もらうわねー。1つ20リラだけど、どうかしら?」


「あ、ちょっとまってください。モイザは何かに使う?」


「――――。」


モイザは首を横に振り、いらないとリュクスに伝えた。


「いらないようです。すべて売ってしまいますね。」


「その、やっぱり蜘蛛ちゃんの言葉とかも全部わかってるのかしら?私も首を振ってるからイエスかノーかはわかるけど。」


「なんとなくわかるだけでちゃんと理解はしてないですね。もしかしたら僕のスキルが関係してるかもしれないですけど。」


「あらま、そうなのねー。スキルの詮索はやめておくわー。とりあえず2460リラよ。」


水晶に証明を触れさせることで素材分の金額を受け取るリュクスをみて、リプレはすぐに次の話を進める。


「お金も渡したし、この先の階層について教えるわねー。」


「お願いします。」


「13、14層はフットマウンテンホグって豚よ。山羊よりも動きは鈍いけど、鼻がいいから襲ってくる範囲が大きいかしらね。集団的な行動も山羊より多いらしいけど、あなたたちなら苦戦はしないと思うわー。15,16層はフットマウンテンカウって牛よー。ちょっとタフだけど、動きも鈍いし集団性もないからこちらも難しい相手ではないと思うわー。どちらもお肉を落とすのだけど、北肉の街とかで取れたお肉のほうがおいしいわねー。」


「どっちもお肉なんですね。僕たち用の食料補充にはいいかもしれません。ちょっとダンジョン内で何か作ってみて、微妙そうなら売るという感じでもいいですかね?」


「大丈夫よー。私としてはどんな素材でも嬉しいの!ダンジョン素材を集めておくと後で私の生産に役立つからねー。あ、それより続きね。17から19層はフットマウンテンポニーっていう馬の魔物がいるわよー。数は多くないけど、一度敵だと認識すると長い間追ってくるそうよー。向うから襲ってくることはめったにないことから、もし戦うならその場で倒しちゃうといいとおもうわ。問題は20層のマウンテンブルトンホースっていう馬種で凶暴って話よー。広い階層に1個体しかいないそうで、倒されたら1日の間は何もいない状態になるそうよー。まぁダンジョンって空間が歪んじゃってて、パーティーごとに違う空間に送られるらしいの。だから他のパーティーはまた別に倒さないといけないでしょうねー。」


「あ、それ初耳な気がします。道理で他の人に会わないわけですね。」


さすがに誰とも会わなかったので、何かあるとはリュクスも思っていたが、パーティー単位で別空間のようになってるようだ。もっとも気楽にベード達と特訓出来るのでリュクとしてはありがたい。


「ダンジョンテントも持ってるんでしょう?すぐにでも20層まで超えちゃうかんじかしらねー?」


「どうでしょうか、2日に一度はゆっくり宿で寝たいんですよね。今日だって山羊皮が大量だったので帰ってきましたし。肉がいっぱいになって帰ってくるかもしれません。」


「あらま、そうなのね?速い攻略だと思ったのだけど、急いでるってるってわけじゃないのねー。」


ベードのおかげで早い攻略できてるのは確かだが、リュクスとしては急いで攻略してるつもりはなく、むしろゆっくり攻略して行く予定であった。

まだまだベードに騎乗した状態での戦闘に慣れる特訓も、自分自身のスキル練度も上げて強くなっておきたいとリュクスは考えているのだ。


「とりあえず今日は宿で休んで、明日から2日間はダンジョン潜るつもりです。戻ってきた際は買取お願いしますね。」


「うふふ、ゆっくり生産しながら待ってるわー。それと21層からの魔物は私じゃ名前がわかるのが少しいるくらいだから、詳しく知りたいなら冒険者ギルドで調べるのよー?」


「わかりました、むしろここまでありがとうございます。」


「いえいえ、いいのよー。大切なお客様だからねー。」


部屋にと戻ったリュクスは20層突破した後を考える。冒険者ギルドで調べられればいいのだが、資料でもわからない階層もあるとリプレが言っていたことを思い出す。

もともと事前に調べてるのは教えてもらった予防策であり、リュクスとしては自分自身で調べながら進むというのも好きな部類ではある。

問題は少し対処に遅れる可能性があるくらいだろうと悩んだが、今気にしてもしょうがないと、明日からのためにゆったり過ごし始めた。

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