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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
ダンジョンを進め

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第五層

翌日、2層に入ったリュクスは攻略を始める。もっとも生息している魔物は同じフットマウンテンスモールマウスしかおらず、リュクス達の一撃で沈んでいく。

100体以上倒して進んだことで、魔法を作る速度や打ち出す威力が上がったとリュクスは実感する。やはり数をこなすことが一番の特訓になるようだ。

ベードの速さにも慣れてきたのか、速い速度で走り抜けても平気になってきていた。

2層を抜けきり3層にと入ったリュクスは、フットマウンテンマウスと対峙していた。自身の太ももほどありそうな大きさに、リュクスとしてはマウスというよりラットなのではと言いたくなる。

大きさの割にはスモールと同じく、ベードの影爪一発で倒れるあっけなさ。リュクスもフレイムボールやフレイムランスでどんどん倒していく。

得意の炎魔法なのだが、明るさにつられてか鼠が集まってきてしまう。あまりに遠くからも寄ってくるため、リュクスは水術に切り替え、ウォータボールで応戦しはじめた。

リュクスとしては水術に慣れているつもりはなかったのだが、ウォーターボール一発でフットマウンテンラットも倒せてしまった。噛まれたりしたら痛い思いもしただろうが、寄られることもなく倒してすすんでいく。

リュクスは想定より早く3層を突破できたと、4層を様子見しはじめる。聞いていた通り、3層と同じフットマウンテンマウスが生息していた。

3層よりも少しタフな個体もいて、ウォータボール1発では倒れないこともあったが、ベードが追撃の影爪で仕留てすすみ、進行ルート上の鼠を倒してすんなりと突破してしまった。

現在の時刻は光三の刻程。昼は4層上がる前に済ませていて、夕飯には早すぎると、リュクスは5層の魔物を見に階段を上る。

下4層と同じように草原が広がり、天井なはずな上も空のように青い。リュクスが遠目に見た魔物は猫のように見えた。ベードが気配を消しつつ近寄ると、リュクスの膝ほどの大きさの全身茶色い猫だった。


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対象:フットマウンテンキャット

山のふもとに住む猫

格下相手には自ら襲ってくるが、格上とわかった相手には逃げる傾向がある

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鼠より気弱そうな感じの識別結果だが、アニメや漫画では猫は鼠の天敵とされている。ここでもきっと同じなのだろうとリュクスは考えた。

試しにベードが気配を出すと、猫からすれば唐突に表れた巨大狼にとてつもなく驚いて飛び跳ねて、リュクス達から見えないほどと奥にまで逃げ走っていった。ベードが目を輝かせ猫の走っていった方角を見つめていた。


「良いよ、好きにしても。」


「バゥ!」


許可を出した途端ベードは走り出した。見えなくなったはずの猫に追いつくと、逃げ切ったと安心しているのか、猫はくつろいでいた。

くつろぐ猫めがけ、ベードが自身の爪を振り下ろす。グニャっという悲鳴を上げて引き裂かれた猫は数秒もせずに消えてしまった。

リュクスもさすがにかわいそうに思えてしまった。ベードがはっとしたように申し訳ない顔でリュクスに振り向いていた。


「まぁはしゃいじゃったんでしょ?そういうときもあるよ。」


「ば、ばぅ。」


何をドロップしたのかとリュクスはポーチの中身を確認する。二種類の鼠を倒したのだが、入ってるのはフットマウンテンマウスの歯だけで、小さい大きいの差はないようだ。猫のドロップは半分になった尻尾であった。


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対象:フットマウンテンキャットの尻尾

魅力的な尻尾で肉食性の魔物に投げつければ、ひと時の間意識を奪うかもしれない

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逃げる用の道具なのだろうか、それとも意識を剥かせてふいうちみたいな使い方だろうかと気になったリュクスだが、誰かに聞いてみてから試した方がいいだろうとしまい込む。

5層の様子見を続けるかとベードを北に走らせたのだが、聞いていた通り猫しかいない。あえて気配を消さずにベードを走しらせると、猫達はベードを見かけるたびに逃げていく。ベードが逃げる猫を見かけるたびに、顔で追ってしまうなんてのがあったが、戦うこともなく階段にまでついてしまう。

6層も同じ猫なら同じように抜けれてしまうだろうかとは思ったが、いい時間なので一度宿にとリターンアルターで帰還する。

受付奥の祭壇室からリュクスが出てくると、受付のリプレとちょうど目が合った。


「あらま、お帰りなさい。どう?順調だったかしら?」


「はい、なんかノリで5層まで突破してきちゃいました。手ごたえはあんまりなかったですけど、特訓はできたのでよかったです。」


「それはかなり順調そうねー。使わない素材があったら買い取るわよー。どうかしら?」


「あ、じゃあ鼠の歯をお願いします。さすがにどう使うのかわからないので。あと、猫の尻尾は使い方次第ですかね。」


リュクスがダンジョンポーチを預けると、リプレは中を見て驚いた顔をする。


「あらま!こんなにも歯が!この2日ほどでどれだけ狩ったのかしらねー?フットマウンテンラットの歯は1個10リラ、243個で2430リラよー。いいかしら?」


「それで大丈夫です。」


「あと猫の尻尾についてね。聞いた話だけど、そんな強くない肉食系魔物に投げつけたら少しくらい意識そらせるはずよー。逃げるくらいには使えるんじゃないかしら。ただできれば売ってほしいわね。アクセサリーなんかにすると結構人気あるのよ。1つ15リラなんだけど、どうするー?」


「わかりました、とりあえずお譲りします。」


「そしたら水晶に証明をかざしてちょうだいー。それでお金を受け取れるわよ。」


言われた通りリュクスは水晶にしょいう名をかざす。2445リラが所持金に追加されたわけだが、リュクスは昨日の店の売り上げで10万以上あり、この金額に物足りなく感じてしまう面もあった。


「うふふ、ありがとうねー。安くてごめんなさいね。これが一応の相場なのよ。」


「いえ、そんなことはないです。あの弱さですから、狩りつくすとすぐ集まるのでしょう?」


「うーん、猫のほうは尻尾じゃなくって、だいたい爪が出るはずで少しレアなのよ?もちろんダンジョンポーチを持ってる人にとっては集め放題だから、商業者ギルドでは結構な数を補充しているんじゃないかしら?そういえば爪は持ってないのー?」


「爪は持ってないですね。たまたま運良く倒した猫が尻尾を落としたんです。他はベードに気配を出して歩かせたら逃げていきました。」


「あらあら、それは猫ちゃんたちは災難だったかもねー。」


リュクスは少しリプレから目をそらした。ベードの気配に猫が逃げたからではない。尻尾が出た原因に心当たりがありすぎたからだ。リプレも気にしてか違う話を始めた。


「それで、この後はどうするのかしら?」


「あ、今日は宿で寝泊まりして、明日は一気に10層まで上がっちゃおうかと思いまして。5層は猫とわかったので、その上から教えてもらってもいいですか?」


「あらま!もうそこまで行っちゃうつもりなのねー。まぁ狼ちゃんたちがいればそのくらい余裕かしらねー。実はね、5,6,7層まで猫達が居座ってるのよ。そして8,9,10層までフットマウンテンドッグが居座ってるわよー。祭壇を目指すつもりなんでしょう?10層と11層の間の階段には踊り場みたいなところがあって、そこに祭壇があるわよー。」


「なるほど、奥側なんですね。ありがとうございます。ちなみに10層ごとに強いのがいる、とかはないんですかね?」


「あらま!詳しいのね。20層にはそういう魔物がいるらしいわよー。ただ、10層では聞いたことがないわね。そういえば30層もそういう魔物だったかしら?そう思うと10層にいないのは不思議ねー。」


「なるほど、ありがとうございます。一応注意はしておきます。」


リュクスは今まで多くの住人の冒険者が抜けてるはずで、10層でボス格にぶつかることはないだろうと考える。

ダンジョンポーチも空になり、聞きたいことも聞けたと部屋に戻る。ふとリュクスはモイザは一緒に来たのに、今回は何もしなかったと振り返ったが、ベード乗りこなしの練習くらいにはなっただろうと思い直す。

糸で体巻き付けてるといっても強く巻いてるわけではないので、熊戦のときのように激しい攻撃で糸が切れることもあるかもしれないのだ。ベードもモイザも載せた動きに慣れておくに越したことはないだろう。

現にだいぶ様にはなってきてるとリュクスは考えていた。ベードとモイザとフレウ。種族は違えど、連携は取れていてお互いの仲もいい。リュクスが夕飯の支度してる今も3匹で何か話し合ってるようだ。

何を話してるのかリュクスは気になったが、離れているせいか、バゥバウやコココと鳴き声だけで聞こえ、と何の話してるのか全くわからず、モイザに至っては何か言葉を発しているのかすらわからない。

3匹の会議を邪魔しても悪いと、リュクスは翻訳はせず、レイトも含めた従魔たちへの料理も作り始めた。

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― 新着の感想 ―
狼と鶏と蜘蛛がそれぞれ仲良さそうに話してるの想像したらめっちゃ和む
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