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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
熊壁街

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水石水術

一旦の用事がすんだリュクスは、レイトとフレウを探して土地を見回したのだが見当たらず、これは外まで出てるのだろうと考え、ふと思い出す。レイトがベードを連れ出した時は翌日の夕方に帰ってきたのだ。ならば自分も特訓でもするかとリュクスも自身の土地を出た。

リュクスが久しぶりに訪れたのは南端の街の冒険者ギルドだ。訓練所が南端の街にもあるのか確認するために受付に並ぼうと考えやリュクスは、懐かしい顔を見つけその受付列に並んだ。


「お久しぶりですドーンさん。」


「おぅ?おぉ!久しぶりだなリュクス。なんだ?また爆弾投下しに来たのか?」


「違いますよ…今日はこの街に訓練所があるか教えてほしくて来たんです。」


「訓練所か。残念だがこの街にはないぞ。確か隣町の南肉の街にはあるんだったっけか?俺は使ったことがないから詳しくは知らないけどな。」


「そうなんですか。炎術の練習をしようと思ったんですけどね。」


「ほぉ?炎術になったのか。普通に北の兎にぶっ放して練習すればいいじゃねぇか。」


この街に訓練所がないのは、北の兎が弱すぎて、天然の訓練所になっているからかとリュクスは納得する。


「なるほど、ありがとうございます。行ってみます。」


「おぅ、ちょっと待った。炎術になっちまったなら炭化はもう無理だろうが、肉と皮くらい集めて納品したらどうだ?今さっと調べてみたが、お前全然依頼やってないじゃないか。」


「まぁ確かにそうですけど、火術の時ですら魔物を燃やし切っちゃってるので、炎術の練習だと素材は残らないと思います。」


「なるほど、それもそうか。なら考えがある。おい!ちょっと空けるぞ!代わり誰か来てくれ!」


ドーンが受付奥に声をかけると、リュクスにとって懐かしいもう一人の受付役であるクエルムが出てきた。


「おや、お久しぶりです。自分でよかったですね、すぐにドーンさんの考えがわかりましたよ。ちょうど休憩終わりなので自分が交代します。」


「ちっ!まぁいい、助かる。んじゃ行くぞ。」


「え?行くってどこに?」


「あん?南兎平原に決まってるだろ?」


なぜかリュクスはドーンに連れられて南兎平原に向うことになる。ギルドを出る前に端に待機してたべードに気が付きドーンが驚いてたが、リュクスは見なかったふりをした。

南兎平原まで出たが、ドーンは人の気配がしない奥まで街道を突き進んでから、草地の奥にとどんどん突き進む。ドーンが先導だからか当然のごとくアタックラビットに出会うこともなかった。


「このあたりなら誰かに見られたりはしないからな。まぁ別に見られてもいい技ではあるんだが、あんま広まりすぎてもよくないことだからな。」


「えっと何やるんでしょうか。」


「お前、水石持ってるだろ?まずあれを出すんだ。」


「はい。よく使うのでポーチに別にして入れてます。」


リュクスが取り出したのは魔道水石。料理セットについてきた水を出すクリスタルの様な形の青い石である。リュクスとしては料理のための水だけでなく、手洗いにも使うため、いつでも使えるよう料理セットの中でなくポーチにしまっていたのだ。


「どのくらい使い続けてるんだ?」


「もうだいぶ使ってますよ。手に入れてからずっと使っているので。」


「そうか、なら早そうだな。まず片手に小さくていいから炎を出すんだ。そんで水石を使ってそれを消す。それだけだ。」


「え、それって…」


「察したか?つまり水術の練習さ。」


「えぇ!?他の属性って攻撃性能のある魔道石が必要なんじゃ?」


「さぁな。実は俺の術法の火と水は魔道コンロと魔道水石を使って覚えたものなんだよ。ちょっとはっちゃけてた頃にコンロを使って魔物を攻撃できないか、なんてやってた時だな。」


「なんてことしてるんですか…」


「そこは若気の至りだな。まぁ水術覚えたとしても俺みたいに消火にしか使えないかもしれないが、消火できれば多少は燃やし尽くさずに済むんじゃないか?もちろん燃やさない炎術の技を使ってもいいし、そもそもとどめに炎術以外を使えばいいだけなんだけどな。」


「言われてみれば炎術でも燃やさない技はありますよね。でもせっかくなので水術ができるかやってみたいと思います。その間ベードに自由に周りの兎狩ってもらってもいいですかね?」


「別に俺は構わないぞ。そっちで依頼用の兎は集めちまうってわけか。」


「そのつもりです。じゃあベードよろしく。」


「ばぅ!」


ベードが駆けだしたのを見送った後、リュクスは左手にできるだけ小さい炎をイメージする。おおよそリュクスの握りこぶしほどの炎が出来上がったのを確認すると、リュクスは水石から水を流して消火する。そんな単純作業を何度か繰り返すとドーンがリュクスを止める。


「そんなもんでいいだろう。水石を使わずに今消したイメージで魔法が使えるか試すといいぞ。難しければウォータとでも声に出すといい。」


「わかりました、やってみます。」


水石をポーチにしまったリュクスは、再び左手に小さい炎をだし、先ほどまで繰り返していた水を出して炎を消す動作を思い出し、右手を火の上にと添えた。


「ウォータ。おぉ!ほんとに水出た!」


「な、簡単だっただろ?水術のスキルが発現したか?」


「確認してみます。」


リュクスが自身を識別してスキルを確認すると、水術の項目が追加されていた。


「水術のスキル発現してます!」


「よかったな。でもな、だからこそ危ないんだ。」


「これが危ないんですか?」


「要はこれと同じ感じで火術もコンロからできちまう。特に使ってる時間が長いやつほどな。自分で気が付いて勝手にやる分にはいいんだが、聞きかじっただけで術法目的にやるやつが増えると、焦って魔道具を暴走させるやつが出る危険があるからな。」


「暴走、ですか?」


魔道具の暴走など聞いたことがなかったリュクスだったが、便利なものだが使い方が荒いとそんなことが起こりえるのかと不安げに聞き返した。


「実は俺が暴走させたんだ。下手に火術を強くしようとしたせいでな。攻撃用じゃない魔道具を攻撃に使おうとした罰だろうな。普通に使う分には問題ねぇよ。」


「そうなんですね。」


ドーンは話しながら左脇あたりをさする。リュクスはやけどでもしたのかと思ったが、ドーンから話そうとはしなかったので追及はしなかった。


「とりあえず水術はできたみたいだな。しばらく兎どもで練習するといいんじゃないか?俺はこれでギルドに戻るぜ。素材があればそのまま依頼受けて納品もできるから、素材のこしておけよ?」


「はい、ありがとうございました。」


ただ水を出せるようになっただけで、戦闘にどこまでつかえるかとリュクスは悩んだが、ここの兎なら負ける気のしないリュクスとしては、水術を試す相手に丁度いいと気合を入れた。

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