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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
南肉の街

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南肉の街到着

リュクスがベードに乗り慣れてからは速いもので、日が見えるころには森を抜けて平原に出てきていた。しかし平原の中を突っ切ってるせいか、リュクスに向かって魔物が突進してきていた。

何匹も突進してきたのは豚型の魔物だったが、ベードの速さに付いてこれず、だいぶ通り過ぎたところに突進していた。一度突進した豚は振り切られ追跡もできないほどだ。

リュクスからすると豚というのは遠目で分かったのだが、識別するには離れすぎていたので魔物の種類まではわからなかったが、この平原に住む魔物ならばラッシュボアだろうと思い至った。

まっすぐ平原を進み続けたリュクスたちは、日が一番高くなったころに街道沿いに到着した。そこら中に人が見えたためかベードは街道には乗らず進む。

走り続け日の暮れないうちに南肉の街の門前まで到着したリュクスたちは、門前で武器を構えた門兵に止められる。リュクスも予測していたようですぐにベードから降り軽く門兵の人にお辞儀する。


「申し訳ないね。乗ってたし従魔なんだろうけど、さすがにちゃんとチェックもなくそんな大きいの入れたら、あとで何言われるかわからないからね。」


「理解してるので大丈夫です。あとベード以外にも従魔はいるので、一応認識していただいたほうがいいんですかね?」


「そうだね。もしこの街に入りたいなら従魔証を認証魔道具にかざしてもらうのともう一つ、僕のほうでも従魔証を識別して、街長、ギルド長、商長の3人へ伝達させてもらうね。」


「はい、大丈夫です。」


レイトはもともと認識されてなかったが、アタックラビット扱いしてもらえるのは南端の街での特例だった。従魔とはいえ幸運を運ぶ兎をどう思うのかとリュクスは不安に思いつつも、門番にしっかりと識別させた。


「確認しましたよ。どの3種も僕の見たことない種族だけど、トップの方達ならわかるかな。とりあえずこちらからの通達をしておくね。手続きは済ませたからね。日も遅いしとりあえず入っていいよ。」


「ありがとうございます。あの僕の従魔達も一緒に泊まれるような宿ってありますか?」


「その大きさのこが泊まれる宿か。もしかしたら一番大きい生産宿ならいけるかもね。西門への大通りにあるイビルブルの看板の店だよ。この街大きいからちょっと遠いけどね。」


「たびたびありがとうございます。とりあえず向かってみることにします。」


手続きの終わったリュクスたちはさっそく街の中へと入る。レイトはいつも通り僕の頭上、ベードはリュクスの真後ろに付き、モイザはベードの上に乗っている。そんな状態で歩くので目立つと覚悟していたリュクスだったが、意外なことに視線を感じなかった。気配を消していたのだろう、時折ぎょっとしたように見てる人もいたのだから。

南肉の街は門番の言うように広く、リュクスたちが中央につく頃には日が暮れ切っていた。大きさが違うが街の門をつなぐ大通りは同じようで、中央には東西南北に大きく分かれた十字路と、それを指す中央看板も置かれていた。

西の通りを大きな建物と建物の看板に注視しながらリュクスは進む。そして他の建物と比べても圧倒的に大きく、変なまがった角の生えてる黒い牛の看板が付いた建物を見つける。入口も広くベードでも楽々通れるほどだ。この建物が目的地だろうと闇の刻も近いこともありリュクスは入り込んだ。


「いらっさー!夜遅くにご苦労っ!お客さんうちをご入用で?」


「えっと、そうです。門兵の人に紹介されてきました。」


「おー、門兵さんの紹介?めずらし!」


急にリュクスに話しかけたのは逞しい髭のある女性のドワーフ店員だった。声の張りに少し驚いたリュクスだったが、従魔たちの説明をしなければと話し始める。


「実は三人の従魔がいるんです。その一人が結構大きい体格なんですけど、それでも一緒に泊まれそうな宿はないかと聞いたらここを紹介されたんです。レイト、ベード、モイザ、挨拶しておいてくれ。」


「きゅ。」「ばぅ。」「――――。」


「おぉぉ!大きい狼!かわいい兎にあと蜘蛛さん?うーん、まぁ狼さんの大きさでもうちなら1階なら入れるね!」


「それじゃあお願いします。」


「了解!それじゃあ106室ね!とりあえず10日で4500リラだよ。」


「了解です。ん?モイザ?」


リュクスが証明で支払おうとしたのだが、モイザが前に出て糸を出し始める。体を丸めずとも糸を操れるようになったようで、そのまま前の二つの足で器用に糸玉を1つ作り店員にと渡した。


「えっなにこれ!?すごい、ほんと、すごい!くれるってこと!?」


「えぇ、そうみたいですね。支払になったからかな?」


「なるほど!これなら2000、いや1500リラでいいよ!これなら何作れるかなぁ、初めて見る性質だし。あ!そこの水晶に入れといて!」


そう言い残してドワーフの店員は糸玉を抱えて奥の扉にと消えて行ってしまった。仕方なしにとリュクスがカウンターの水晶に証明を当てると、1500リラだけ消費され水晶から106号室の鍵が出てくる。水晶の横に宿全体の見取り図もあり迷うこともないだろう。


「しょうがないとりあえず部屋に向かおうか。」


3匹を連れてリュクスは部屋へ向かう。扉はさすがに宿入り口ほどは大きくないが、ベードでも通れる大きさ。中は南端の街で泊っていた宿の倍は広く、生産用スペースもかなり広い。

ベードはしかれたマットの上でゆったりと横になる。レイトは設置してあったソファーの中心を占拠。そしてモイザは部屋の四隅をみてそわそわしていたが、目を閉じて伏せたことでおとなしくなった。

リュクスも部屋の施設を確認したい気持ちもあったが、ベッドを見たことで一気に疲れが出てくる。何もかも忘れてベッドにダイブインしてそのまま眠りについた。

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