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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
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石毒のバジリスク

設置した転移地点に戻ってきたリュクスたち。

キメラと戦った場所からは離れているが、周囲に魔物の気配は感じない。

濁った魔素を放つキメラはいなくなったのだが、まだ魔物たちは寄り付かないのだろう。


転移地点から丸一日ベードが走り続け、ようやくレイトが魔物の気配を捉え、さらに進んでリュクスもそれを捉える。


「レイトの言う通り、なんというか…魔素が薄い?」


『そうだな。そこまで強くない魔物だろう。』


キメラはおろか、ここまでの魔物と比べても弱そうな相手だとリュクスも感じ取る。

大きさもここまでの魔物と比べても小さいが、人の体格は優に超えるようだ。


そして魔物の姿を捉える。

まず目に入るのは鳥類の胴体で、薄い黒色羽毛の中に青黒い鱗が混じっている。

軽く羽ばたく翼も黒く、こちらも羽毛の中に青黒い鱗が混じっている。

顔つきは猛禽類で、首元が白く、ハヤブサを彷彿とさせる。

しかし、歩き方や骨格は鶏そのもので、どこかちぐはぐしている。

そのうえ、尾からは青黒い蛇が伸びていた。


----------

対象:バードテイルバジリスク

鳥のような尾をしたバジリスク

牙の毒に犯されたものは石化する

尾の疑似口にも牙が生え、毒がある

石化させるのは防衛本能によるもので、石を食うわけではない

尾の鳥部分の肉も蛇肉と同じ風味

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「…バジリスクだってさ。牙には毒があって石化させるらしい。」


『また石化か。それより、微妙な反応だったな?』


「いや、なんというか…あの鳥の部分が尾で、蛇が本体らしい。」


猛禽類らしいかぎ爪はグリフォンほどの脅威には見えないが、歩く姿は完全に鳥で、とても蛇とは思えない。

だがよく見ると、ほんのり蛇行した歩みになっている。


『…そうか。あの姿で蛇なのか。』


「そうらしい。それと、あの嘴部分にも牙があるみたいで、そっちも石化毒を持ってるらしい。」


『嘴に牙かよ。われもフレウについてたら驚くぞ。』


『それよりも、蛇というのが気になる。とはいえ、こちらに気づいてはいないか。』


レイトは警戒するが、バジリスクは辺りを見回しながら歩いているだけだ。

鳥と蛇の顔がこちらに向いても、気配に気づく様子もない。


「気が付かれてはないみたいだけど、どうかしたの?」


『それならいい。キメラには蛇の尾に気配がばれたようだからな。』


「…そういえば、後ろに回った瞬間、蛇の尾が声を上げてたね。熱源、かな?」


リュクスもバジリスクに対する警戒を強める。

蛇は視力こそ高くないが、熱を検知する能力に優れることを思い出す。

ベードの隠密は熱源すらも周囲に溶け込ませているわけだが、キメラの尾はおそらくほのかな変化に気が付いたのだろう。


『俺の隠密もまだ甘いということでしょうか…』


『そんなことはない。お前の気配は完璧に消えていた。あのキメラの尾の感知能力が異常だっただけだ。』


『そ、それならよかったです。』


「でも、バジリスクはこっちを見ても気づいた様子もなかったし、大丈夫かな?」


『そうだな。警戒しすぎるに越したことはないが。』


ベードはそのまま、どこかへ歩いていくバジリスクを横目に通り過ぎる。

南へ走り進めるごとに、バジリスクの気配は増えていく。

どうやら先ほどの個体がはぐれていただけで、基本は五匹以上が固まって生活しているようだ。

群れてはいるが、バジリスクたちは何かを食う様子もない。


「蛇だとしたら肉食だよね?何食べてるんだろう?」


『本来、魔物は何も食わずとも生きていける種族が多い。食う目的はより魔素を貯めるためか、うぬらのように食事に目覚めたかだな。』


『俺はもう主の飯なしでは生きていけないかもしれません…』


『私も料理に魅入られましたね。』


『ニもずっとカレー食べられないのはやー! 』


われですらもうすっかりはまってしまったからな。』


「そ、それはそれで不安だけど、バジリスクが食べるのを必要としないってのはわかったよ。」


バジリスクの群れは、二つの頭で周囲を見回したり、鶏のように伏せていたりしていて、恐ろしげな見た目とは裏腹に、どこかのどかな雰囲気を見せている。

ベードの気配が見つかることもなく、魔物同士の戦いが起こる様子もない。

そんなバジリスクの縄張りを、ベードは爽快に駆け続けた。


四日後、リュクスたちはせり立つ小高い崖から広がる街並みを一望していた。

崖向こうに広がる街並みは王都並みに広く、その奥には北欧風の巨大な城が佇んでいる。

もっとも、崖上からだからこそ見れるほどに距離がある。


「あれが、魔王城…?」


『だろうな。手前はデモナの巣窟だ。』


「…全然行きたくないんだけど。というか、この場所は気配ばれない?」


リュクスは聖族であり、デモナに対していい思い出は少ない。

そしてデモナといえば感知力が高く、ベードの気配がばれてしまうことを思い出す。


『今までのデモナを見るに、ぎりぎりといったところだろう。己の通常の感知範囲と同等のようだからな。』


「えっ、それってまずくない?」


『今はいつもより街に向かって伸ばしている。それゆえ、後ろへの警戒は少し縮んでいるが…』


「大丈夫だ。我らを必要以上に恐れることはない。」


レイトの説明中に、突如背後から声をかけられ、ベードも即座に振り向く。

レイトの感知は縮んでいたとはいえ、背後に回られるまで気づかないなど考えられない。

リュクスもソナーエリアを常に張り続けていたにもかかわらず、目の前にいて話しかけているはずなのに、いまだ気配を感じ取れない。

獅子の顔に赤黒い色をした太く長い二本角が生え、絢爛豪華な青い衣服に身を包むその背から、赤黒い大きな翼を生やす。

デモナらしい特徴が強いデモナである。


「っ!ど、どこから。」


「すまない。君たちが気配感知していることは理解していたゆえ、あえてこのように接近させてもらった。敵意はない。」


獅子のデモナは両手を上にあげ首を横に振る。

今までの問答無用に襲ってくるデモナとは違うことに、リュクスたちも戦闘態勢を少し緩めた。

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