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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
最後の大樹へ

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混沌との激突

怒りに満ちた赤獅子の咆哮が響き、キメラの巨体が動き出す。

青白い竜の顔がわずかに動き、黒い竜翼が羽ばたいて空へと舞い上がる。

その最中、黄色い鷲は再び詠唱を始めていた。


「ちょ、ど、どうする!?」


『鳥の魔法はうぬが防ぐ。他は任せた。』


「ま、まじ!?いや、それほどの相手ってことね。」


先ほどは雷の槍が雨のように降り注いだが、今度は大きな石つぶてが大量に降り注ぐ。

だが、再び展開されたレイトの雷の壁が、バチバチと音を立てながらそれらをすべて打ち砕いていく。


『雷ならば、私の石魔法でも防げるかと思ったのですが…他の魔法も扱えるのですね。』


『先ほどの雷より威力は劣るがな。己と同じ得意属性なのだろう。』


「雷の壁を見て、属性を変えてきたってことだね…」


雷魔法に比べれば威力は劣るが、石魔法も十分な脅威だ。

レイトの雷の壁くらい強度がなければ防ぎきれなかっただろう。


さらに、青白いドラゴンヘッドから凍てつくブレスが放たれる。

グラドのブレスと、リュクスの炎の壁、モイザの石の壁で防ぎきるが、侮れるものではない。


『これがあるので、そもそも私が魔法を防ぐわけにはいきませんね。』


「そうだね…って、炎のブレス!」


獅子頭が口から激しい炎を吹き出した。


『ニが防ぐよー!ウォータードーム!』


ベードの周りに水の膜がドーム状に広がると、獅子の吐き出した炎を完全に防ぎきった。


「あ、焦った。さすがネティス。」


『わーい!』


『竜のブレスとは比べ物にならないほど弱いな。』


「でも無視はできないよ。」


『そうだな。』


三つ頭は連携をしているわけではない。

それぞれが各々技を使っているだけだ。

だが、三種の攻撃を完全に防がれたことで怒りを増し、三つの頭が混ざり合うように咆哮した。


「うるさ…にしても、防戦一方だね。何とか反撃しないと。」


『それなら策はある。』


レイトが眠りこけるフレウを睨みつけると、鶏でありながら鳥肌を立てるように震え、飛び起きた。


『コケッ!?睨んで起こすなよ!』


「まぁまぁ。今はヤバイキメラと戦ってるんだ。フレウも手伝って。」


『コッ!?何だあいつ!気持ち悪い見た目だな…で、俺は何すりゃいい?』


「青白いドラゴンの顔が、氷のブレスを撃ってくるんだ。それをモイザとグラドと協力して炎の壁で防げる?」


『おう!任せろ!』


宙に陣取ったキメラをフレウが睨みつける。

三つのキメラの顔は、どれも怒りに満ちリュクスたちを見下ろす。


獅子顔が軽く吠えると、前傾に体を倒し、黒翼を畳む。

つまり、飛行をやめ急降下してくる。

その形相と体勢は、まさしく肉食獣が襲い掛かるかの如く。

だが胴体は馬で、突き出した前足は硬い蹄である。


『まずい!ベード避けろ!サンダーウォール!』


レイトは叫んで指示すると同時に、キメラの落下進路である空に雷の壁を作り出す。

しかし、分厚い雷の壁を容易に踏み貫き落下は止まらない。

ベードが指示通り飛びのく中、リュクスはキメラに向かって魔法を打ち出す。


「ディ、ディメンションスラッシュウェーブ!」


『ストーンランス!』


『ブラックブレス!』


『コッ!?そ、そうだよな!インフェルノランス!』


『二は防御するー!ウォータードーム!』


リュクスにつられるように従魔たちも魔法を打ち出し、ネティスはベードの周囲に水のドームを作り上げる。

しかしリュクスたちの放った技の数々は、すべてキメラの強靭な肉体と落下の勢いに弾かれる。


そして地面に突き刺さる蹄の一撃。

直撃こそ避けたが、その衝撃はすさまじく、水のドームが弾け、ベードも着地の耐性を崩し、皆が背から放り出される。

リュクスは何とかベードに庇われる形で着地し、すぐさまベードに駆け寄った。


「べ、ベード!大丈夫!?」


『だ、大丈夫です!それより、来ます!』


『リュクス!ベードにかまってる場合ではない!あれはお前が防げ!』


一番にリュクスたちを捉えなおした獅子の頭が炎のブレスを放つ。

リュクスの頭上にいたレイト以外、従魔たちは皆体勢を崩し、防御どころではない。


「炎には水!ウォーターウォール!って、ドラゴンブレスも来る!」


『わかっている!ライトニングドーム!』


水の壁を展開すると同時に、竜の顔もリュクスたちに向き、凍てつくブレスが放たれる。

だが、強力な冷気は先に放たれた炎をかき消し広がってくる。

水の壁などあっという間に凍り付くかと思いきや、凍てつく威力は少し落ちていた。

さらに、レイトが展開した従魔たちすべてを囲む雷で、凍てつくブレスを防ぎきる。


その光景を見て、青白い竜の顔が下へ向かって吠え、獅子頭も反発するように上へ吠えた。


「ど、どういうこと?」


『威力が劣るとはいえ、炎ブレスが混じれば、凍てつくブレスの威力も落ちるということだろう。』


「な、なるほど。って、鷲頭もこっち気づいたね。」


鷲頭が軽くひと鳴きすると、獅子と竜も言い争いを辞めてリュクスたちを睨む。

リュクスたちが言い争いの隙にできたのは、従魔たちが体勢を立て直し、再び集まることくらいだった。


『主、俺に乗せるのはモイザとネティスだけで。』


「え?」


『なるほど。分かれて戦うということだな。』


「そ、そんな!危ないよ!」


『いや、相手は三つ頭だ。それに一つ所に集まれば、先ほどと同じ落下攻撃が来る。』


「…わかった。くれぐれも、気を付けて。」


リュクスもベードの背に乗ろうとしていたが、モイザとネティスだけ乗せると、ベードはキメラの背後に回り込むように走りだす。


『コッ!?お、俺も乗せてくれよ!』


『お前はグラドと共に空だ。』


われは先に行くぞ!』


『ま、まじかよ!了解!』


先に飛び立ったグラドを見て、フレウも不死鳥の姿になり空に向かう。


『…己も離れる。お前は隙を見て、直接インパクトを叩き込め。』


「ちょ、直接?」


『そうだ。魔法転移で送りつけるのでは、威力も落ちるうえ気づかれ避けられるやもしれん。だから、直接素手で行け。』


「…わかった。」


リュクスの頭上よりレイトが飛び降りる。

旅の中で離れるなどいつぶりだろうか。

そんな感傷に浸る暇もなく、キメラは黒翼を広げて羽ばたき始めた。

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