兎炭集めの半日
昼食には早かったが道中でアタックラビットのマヨネーズサンドを食べたリュクスは、毎度おなじみ南兎平原でアタックラビットの炭集めに来ていた。炭の依頼をリュクスのために一枚のこしてくれていたらしく、ドーンからすぐに受けとけと渡されたからだ。
アタックラビットの炭の依頼を受けたものは多かったが、魔物が炭になる条件が不明なために難しい依頼になってしまっているようだ。
リュクスは草原奥に入り、人の気がないところでをアタックラビットをイグニッションで焼き上げながら考える。
イグニッションはアタックラビット狩りには有効でファイアボールよりも疲れないが、打ち出す威力を乗せれないため、もっと強い相手にはあまり有効ではないかもしれない。
さらに目視出来ても近づかないと着火できないので射程が短いことがネックとなるだろう。もっともアタックラビットには関係ないわけだが。
「というかレイトは同じ兎だけどいいのか?いや、お前も弱肉強食の考えで同族だろうと気にしないのか。」
「きゅ。」
リュクスからは頭上だから見えないが、なんとなくうなずいたように感じた。燃え尽きた兎はどうやら無事炭になったようだが、昨日よりも炭の形が小さかった。
火力が出すぎたのだろうか。たしかにずっと使ったことでイグニッションの火が強くなっていたように感じた。これでギルドに提出してもいいかもしれないが、昨日の大きさの炭のほうがいいだろうとリュクスは火力調整を試みる。
すこし火の威力は下がり、すこしはましになったのだが、炭は昨日よりはまだ小さく感じた。そんなことを試していたことで周囲を焼き尽くしてしまったのだ。
「ちょっと間に合いそうにないか?」
炭自体の数は集まったのだが、新たな兎が全然見つからない。探してないときはあんなに見つかるのに探すといない兎たちに困り果てているとレイトが仕方なしといった風に一鳴きした。
「きゅ…きゅきゅ!!きゅー!」
「うぉ、なんだ?」
急に頭上で大きく変な鳴き方したレイトにリュクスは驚きながら、何の意味のある鳴き方なのかと首をかしげていると、何かの足音がリュクスに向かってくるのが聞こえた。
それは周囲のアタックラビットが駆け寄ってくる足音だった。10匹程がリュクスを囲むように出てきたのだが、全部が見える位置にリュクスは陣取れた。
「お前が呼んだのか!?くっまぁいいよ!力を抑えて、抑えて、イグニッション。」
炭の大きさを保つためにとリュクスは力は抑えたが、突撃してくる兎たちはみんな燃えていた。実際に囲んだのは12匹だったようで、燃え尽きた兎はすべて昨日と同じほどの大きさの炭と化していた。
「うーん、お前のおかげなんだよな。一応ありがとう。」
「きゅ。」
「うーん、ノビル所望ってか?しょうがない、探してやるよ。」
ポーチの中にはまだあったリュクスだが、辺りにノビルがないかを探す。以前見つけた群生地地帯とは離れてて葉の形を見分けていくがなかなか見つからない。
識別もしながらなため、オヒシバメヒシバばかり見えてリュクスが嫌になったころに、ようやくノビルの群生地を見つける。リュクスは採取のスキルを持っているわけではないが、適当に掘り起こし、土を払うだけで傷付けずに採取できる。
汚れた手とノビルは料理セットの取り外せた水の出る魔道具できれいにする。リュクスはこの魔道具が外せたのでよく使う物だろうと料理セットには仕舞わず、ローブのポケットに入れてあった。
とはいえノビルを切り分けるために、結局リュクスは料理セットを出してノビルを包丁で切り分ける。切り分けたら葉も根も皿にのせて、頭から降りてきたレイトにと料理セットの箱が広がる場所においた。
「今のままでも食べれるだろうけど、何か低めのレイト用の机とか器でも買った方がいいかな?」
「きゅ、うぎゅ。」
「うーん?ほしいって意味?もうちょっと言葉がわかればいいんだけど。まぁ気長に話し合うしかないか。」
リュクスは魔獣言語のスキルがあるので、そのうち理解できるようになるだろうと考えつつも、レイトが反応しても今のままでは正確に伝わっているのかもわからないのは不便だ。
とはいえある程度リュクスの言葉を理解してなければ、先ほどの兎呼びのようなことはしないだろう。
それなりの意思疎通ができているだけよしとした。
リュクスがしゃがむとレイトは頭に乗ってくる。リュクスも始めはどうかと思ったが、定位置として頭上にいてくれた方が街で勝手に歩かれるよりは安心すると考えたのだ。
リュクスの今日の狩りは終了。草原から北門を抜けたリュクスは冒険者ギルドに行く前に商業者ギルドの店でショッピングをした。皿箸セットの補充と洋食食器セットの購入。ナイフとフォークにスプーンの30組が入ったセットだ。
さらに白パンという耳のない食パンを購入。リュクスが自分で作るサンド用だ。明日の朝昼用に作りアイテムポーチに入れるつもりのようだ。香草焼きのようなのは不安だったリュクスだが、サンドイッチならばポーチに入れても気にならないだろうと考えたのだ。
冒険者ギルドでは受付にドーンがいたのでリュクスはスムーズに報告ができた。残念ながら今のところリュクス以外の達成報告はないようだ。
明日も頼むと半ば強引に同じ依頼を押し付けられたリュクス。宿に戻ってきたあとは予定どおり料理を決行。結構な量の豚肉があるので他の調味料もないので昨日と同じように焼いてしまう。美味しいのだが少し味を変えたくなったリュクスだった。
そこで昼の兎サンドを思い出す。調味料としてマヨネーズを使っていたが、あれは輸入品なのだろうか。もし輸入品があるなら醤油や味噌なんかも欲しいとリュクスは考える。醤油は似たような調味料を試験の時に使ったのを覚えていた。
詳しく言えば匂いが違ったように感じたのだが、リュクス自身で食べてないし識別してないため、醤油のような調味料の正体は不明だ。明日は調味料探しに専念するのもいいかもしれないとダブルベットにダイブする。
レイトはノビルを食べた後はソファーの真ん中に陣取っていたが、リュクスがベットに入るといつの間にか同じようにベットに登っていた。それを見たリュクスは昨日と違って自分の上でないならいいかと軽く息を吐き眠りについた。




