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第二試験と露店飯

いろいろとリュクスに説明してくれていたキャロラインだが、はっとして露店を見つめ直す。


「想定よりも露店の説明が長くなってしまったようです、申し訳ありません。次の露店での実際の動きに入りますね。」


「あ、はい、お願いします。」


「では、露店の店員側にお立ちください。」


言われるままに店員側についたリュクス。革細工の露店の店員を思い出し、あの感じでやればいいのだろうと気を楽にした。


「まず初めに有人露店でのリラの受け渡しについてです。硬貨を使っても問題ありませんが、リラを重ねてお支払いするお客様のほうが多いです。まずは証明を重ねてくださいと声をかけていただいて構いません。」


「わかりました。」


「続いて金額設定ですね。今識別結果が出ているところに触れながら200と声に出してください。」


「ここに触れながらですね。200。」


皮ベルトを買った露店と同じように識別結果の下に値段の項目が追加された。これでだれでも金額が見れるわけだ。

 

「これで金額設定は終わりです。では早速試験をはじめます。まずは気軽に対応してくださいね。すいません、このポーションをください。」


「はい、どうもありがとうございます。そちらは200リラになります、証明を重ねてください。」


リュクスが証明を差し出したら、キャロラインの証明が重ねられる。所持金が600リラから800リラに変わったことを確認し展示ケースのポーションの部分が開いたので取り出して手渡す。


「ありがとうございました。」


急に始まったがリュクスは丁寧に対応することを心がけただけだった。さて評価はどうだろうか?


「はい、完璧ですね。丁寧すぎるくらいです。そこまででなくても大丈夫ですよ。では、次は買い取りについてです。買い取る際には一度実物を用意して展示ケースに入れなくてはいけません。ポーションの入っていた部分に証明を重ねると中身がないので買取状態に切り替わります。」


「つまり一度売らないと買取できないってことですか?」


「いえ、一度商品を入れれば他の商品を入れない限り取り出してしまって問題ないです。ケースを開けた状態で底の部分に証明を付けると商品登録されたケースの情報が消えますね。」


露店でも証明を使っていろいろとできるのに驚きながらも言われた通り証明をケース上に押し付けると販売中の文字が買取中の文字に変わる。


「準備出来ましたね。では私のポーションをお渡しします。お客様ですと買取中の展示ケースを指さしたりするでしょう。そうしたら確認しますので展示ケースにお入れくださいと展示ケースにアイテムを入れていただくようにお伝えください。このように商品をケースに入れていただきますと展示ケースの中で識別が行われます。識別内容に問題がなければ最後に証明を重ねて、指定金額を払えば終了です。」


始めから表示されていたポーション情報の隣に全く同じポーションの情報が表示された。同じものを入れているのだからこれは当然だが偽物かどうかがわかるということだろう。リュクスはキャロラインと証明を重ねて買取を終えた。


「万が一買い取り続けたいアイテムの登録を消すとまた実物を用意する必要があるのでご注意ください。以上で売買試験は終了です。何かご質問はありますか?」


「露店販売の売買試験でしたが実際のお店などを持った場合や旅商として活動する場合はどうなるのですか?」


「現時点でそこまでお考えですか?そういった場合は商業者ランクを上げていただく必要があります。ランクは製作依頼を受けなくても露天店員として売買を行うだけでも上がりますよ。石商、銅商、銀商、と硬貨の素材ごとにランクが上がるのですが、銀商で旅商を行う権利が与えられます。旅商は旅先の街の商業者ギルドに一度声をかけていただけば、その街の中で露店を出さずに販売買取が行えます。ただしあまりにも他人の邪魔になるような売買行為を行うと旅商の権利を剥奪されますのでご了承ください。店舗を持つのであれば一応ですが銅商から露店施設をお買い上げいただけます。ただし、施設は所有地がないと作れません。借用地でもその街の商業者ギルドを通して作ることもできますが、借用終了とともに撤去以外で動かせないので施設も失うことになります。金商からお買い上げできる店舗施設でも同様ですね。」


設置店舗やるにしても露店使わない商人をするにしてもまずはランクを上げるのが必要だが、店員活動するだけでいいならば良かったとリュクスは考える。製作依頼は今は敷居が高そうだと感じたからだ。


「最後にもう一つ、レンタルの露店などで代行店員を頼むことはできますか?」


「代行ですか。ちょっとお待ちくださいね。」


キャロラインは鞄型アイテムポーチから本を取り出して確認し始める。だいぶイレギュラー質問だったようですこし申し訳ない気分になったリュクスだったが、露店に張り付つき続けたくはないとおもったからだ。


「お待たせしました。申し訳ありませんが、商業者ギルドは露店の代行店員の依頼を受けた記録がありませんね。ただ、店舗スタッフの依頼は商業者ギルドにもありますので、その系列として可能ではあると思います。その場合個人依頼となりますので、依頼料をご負担いただくのでご了承ください。なお依頼として代行ということになりますので、売買を行った方とランク上昇の評価が分けられることもご了承ください。」


依頼として相談することでできなくはないならばとリュクスは安心した。ランク評価についてはリュクスが自身があがらなくてもしょうがない。お金がたまってアイテムもたまって一人でさばききれなくなったらだなと考えてをまとめた。


「了解です、ありがとうございました。」


「では証明をお貸しください。はい、商業者ギルドへの登録が完了しました。ギルド依頼生産試験と売買試験の合格を確認。報酬1000リラをお受け取りください。以上で試験を終了します、お疲れさまでした。証明に商業者ランクを記入しますか?」


「ありがとうございます。お願いします。」


----------

リュクス

冒険者ランク:H

商業者ランク:石商

職:テイマー

----------

【不可視】

リュクス・アルイン

歴:18

所持金:1600リラ

----------


「さらにこちらをお受け取りください。」


手渡されたのは鞄型アイテムポーチだがキャロラインやドーンが使っていたものよりも全然小さいが、それを腰ベルトの鞄型ポーチの留め具に取り付けたリュクスは少しにんまりとした。


「ありがとうございます。」


「いえ、アイテムポーチは商業者として歩むのに必須と言えますからね。試しにそちらの杖を入れてみるといいですよ。」


言われるままに杖を留め具から外して、ポーチのほうにと入れてみる。あきらかに縦幅は足りてなかったのに収まっていくのをリュクスはシュールにも思ったがそれ以上に便利だと感じた。中に手を入れて杖を取り出そうとすればまたちゃんと出てくるのだ。


「大丈夫のようですね。では本日は以上になります。商業者ギルドのまたのご利用をお待ちしております。」


「はい、また来ます。」


キャロラインに見送ってもらいつつ、商業者ギルドを出たら日は天辺よりかはすでに傾いていて、冒険者ギルドの依頼のほうは明日に回すことになりそうだなと腹を撫でる。

料理を作っているときもいたたまれなかったのだがリュクスはとてつもなくおなかがすいていた。それもそのはずだ。昨日からなにも食べていないのだから。

北門よりすこし手前の大通りが交差する付近の露店は展示ケースに料理を並べる店が多い。多いのだがいまいちパッとしないラインナップである。

確かに製作環境の整ったところで作ってから持ってきてケースの中に入れておけば劣化はしないだろう。でも露店なんだから屋台みたいにその場で調理してその場で食べる形式ならばいいのにもったいない。

もう一つ気になったのがその料理もほとんどが2種類だけ。それもアタックラビットの串焼きとアタックラビットの素焼きの兎を焼いただけの料理のようだ。

串焼きは一口大の大きさの肉が串に刺して焼いてある。素焼きは肉の大きさそのままで焼いてある。素焼きを食べてる人をみると手のひらサイズほどの素焼き肉をワイルドに紙にも挟まず手づかみで食べている。

時折小さな皿にもりつけされた兎肉を食べている人もいる。あれは薬草風味焼き盛りってのが売ってたのでそれだろう。食べてるの見てると、美味しそうにも見える。

思い切って他より安いよーと叫んでいた露店に足を運ぶ。アタックラビットの串焼きをたったの10リラで買えたわけで早速リュクスはかぶりついた。

歯ごたえは結構強くかみ切れなくはないがもっと柔らかい肉がリュクスとしても好みだ。味的には鶏肉に似ている。空腹なのであっという間に食い切ったが特別おいしいとは言えない代物だった。足りない気持ちはあれどこれをもう一個と思うと少し違う気がして何かないかと露店を見て回るが思うよう物はなかったが、ゆっくり回っていたのもあってさらに日が傾き赤く染まったころに冒険者ギルド前までついた。

冒険者ギルドの中を覗くとあれだけ混雑していたのにもうまばらになっていて、受付はドーンと他の男性が一人いるだけになっていた。あの混雑具合からして皆が朝から昼までのうちに依頼を受けるんだろう。ドーンもリュクスに気づいたようだったので話しかけることにした。


「どうも、ちょっと聞きたいことがあってまた来ました。」


「おう、依頼のことならもうちょっと遅くに来いよ。これからやっと休憩なんだからな。」


「あ、そうだったんですか、ごめんなさい。」


休憩に行くところとはタイミング悪かったかと素直に謝るリュクスだが、もう一人の受付が茶化すように割り入ってきた。


「良いじゃないですか、ドーンさん。それとも長い話なんですか?」


「長い話になりそうなんだよ、ったく、腹減ってんだぞ俺は。」


ドーンが何か食べに行くときいてリュクスもちゃんと食べてから依頼については聞きたいと考える。まだ空腹が満たされたわけじゃないのだから。


「あの依頼のことはとりあえず置いといて。僕も何か食べたいんですけどおすすめの店ありますか?」


「ん、なんだ、お前もしっかり食ってないのか?しょうがねぇ、一緒に行くか、あと任せるぞ、クエルム。」


「へぇ、ドーンさんから誘うなんて珍しいですね。どうぞ行ってらっしゃいませ。」


「うるせぇ!ほらいくぞ。」


「え、あぁ、はい。」


スイングドアからどこか罰悪そうに出てきてすぐさま早足気味にギルドを出るドーンにリュクスも続いてギルドを後にした。

異世界ものにするにあたり「質」だの「ステータス」だの省いた影響が出始めました。

なかなか書き換えるだけでも大変です。

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