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この物語の最後に僕は死にます  作者: 松浦
第2章「魔族侵攻編」
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第53話「平原の決戦」


「やったぁ!」


 この戦いを見ていたタイヨウが、喜びの声を口に出す。


「危ない!」


「え?」


 するとタイヨウの眼前に大きな鎌が立ちはだかる。


 タイヨウは死を悟った。

 もう逃げることもできない。

 どうすることも。


 鎌が当たろうとした瞬間、タイヨウは誰かに突き飛ばされた。

 その瞬間、タイヨウの顔面に大量の血が付着する。


「……無事かい?」


 ニッコリと笑ったマークの顔がそこにはあった。

 ただ、タイヨウの焦点は顔ではない。

 マークの左腕が、切り下されてしまっていた。


「マ、マークさん……」


「大丈夫だ。 僕はグローブをしていたから、おかげで自分に刻まれている数字が見えたよ」


 マークは切り落とされた腕を右手で取り、口でグローブを外す。


「六〇〇か……」


 そしてその片腕を丁寧に置き、グローブをタイヨウに渡した。


「これを持っておいてくれないか」


 グローブをタイヨウに渡す。

 タイヨウは手を出してそれを受け取るが、茫然自失で言葉を失っている。


「なぁ、片手失ったぐらいでぇ、負けたとか言わねえよなぁ」


 不敵な笑みを浮かべたソルトが鎌を構える。


「ずるい奴だな。 片腕がなくなったところで僕は負けない」


 勇敢、勇猛にマークは立つ。


 これぞ英雄。


 これが『神の実績(シン・クラス)』。


 これぞ『太陽神アポロン』なのだ。


「お前の数字は六二三だ」


「へぇ、戦いながら数えてたのかぁ」


 鎌を舐め、マークの攻撃に備える。


「ふぅ……」


 マークは片方の腕に魔力を集中する。

 先ほどよりも何倍もの魔力を使って。


「命を燃やしたかぁ……」


 ニヤリと笑ったソルトも魔力を膨らませる。


「行くぞ!」


「へっへっへぇ」


 激しい魔力が衝突する。


 そして目にも止まらぬ速さで激しい打ち合いがなされた。


 ソルトは鎌を縦横無尽に振りかざし、マークは片腕ながらそれを華麗に防御しながら魔力のこもったパンチを当てる。


 しかし片腕を失ったハンデは大きかった。

 避けてもソルトの魔力が追い打ちのように重なり、マークの体へと傷が刻まれる。


 それでもマークは位置を下げることはしなかった。

 相手の攻撃に怯むことはなく常に前に前にと押していく。


 どれだけ血を流しても、体がボロボロでも負けるわけにはいかないのだ。

 守るべき人のために、勝たなければならない。


「僕は、負けない!」


 大きな雄たけびを発し、魔力をぶつけた。


 赤色の拳が、ソルトに当たった。


「ぐは!」


 ソルトはかなり後方まで吹っ飛ばされ、地面に倒れている。


「これで、六六六だ……」


 ソルトも両膝で地面につき、ソルトのその後を見守った。

 もうマークは立つことさえできない。

 全身全霊で、命を燃やして魔力をぶつけた。


「へっへっへ。へーへっへっへ!」


 ソルトが寝ころんだまま、奇声に近い笑い声を発した。


 マークは声も出すこともできなかった。

 乱した呼吸を整えるのに精一杯だったから。


「よっと」


 ソルトが起き上がったことにマークは驚く。

 自分の計算が間違ったのか、どこかで攻撃を当てられていなかったからか。

 不安が、焦りが、マークの頭を逡巡していた。


「いやぁ、お前さんの計算は当たってるよぉ」


 ニヤニヤと笑ったソルトがゆっくりと手の甲を見せた。

 そこに刻まれてあったのは六六〇。


 そしてソルトは焦らすように手の甲の数字を剥がした。


「まさか」


「その通りぃ、俺は最初にぃ〇のシールを貼っておいたぁ」


「っ!」


 マークは自分の不甲斐なさを悔いた。

 相手の能力である以上、このようなトリックを警戒しなくてはならなかった。


 しかし、まだ諦めるわけにはいかない。

 なんとか立ち上がって、なんとか魔力を練る。


 マークにはなぜか違和感があった。

 戦場を駆け回わり続けた経験からくるものだが、どこかかがおかしい。


「へっへっへ」


 ソルトが笑った瞬間、マークははっとした。

 ソルトが持っている鎌が、ない。

 気配を感じ後ろを振り返る。

 眼前にはソルトの鎌が直前まで来ていた。

 それを何とか避ける。

 しかし、魔力が籠った鎌の先端が顔に切り傷をつけた。


「これでぇ、お前の数字は六六六だぁ!」


 大声で笑いながら、顔を覆っているソルト。

 そう、この一回の攻撃でマークの数字は六六六になった。


 するとマークの背後に巨大な魔力でできた悪魔が現れる。

 悪魔の大きな手がマークの心臓を抜き取った。


「ぶっ!」


 マークの鼻から、耳から、目から血が飛び出した。


 その場に突っ伏す。

 マークから広がった血は綺麗な赤色だった。

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