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この物語の最後に僕は死にます  作者: 松浦
第2章「魔族侵攻編」
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第52話「マーク・ウェスト」

「マークさん……」


「危なかった、あと少し遅れていたら君が死んでいた」


 マークは怒りに感情を支配されていた。

 それは目の前にいる魔族が脅威だからか。


 いや違う。

 マークは敵の強さなどは気にしない。


 死んでいった仲間がいるから、彼は怒っているのだ。


「きもいねぇ、その顔ぉ。 ぐしゃぐしゃにしたいよぉ」


「やれるものならやってみろ。 俺はお前のような悪には絶対に負けない」


「へぇ~。 じゃあ殺して確かめようかなぁ!」


 大きな鎌がマークに振りかぶられる。

 しかし、マークはその鎌を拳のグローブだけで受け止めた。


 魔装武具(オリジナル)

 《赤色の一番星(レッド・スター)


「悪いが今は気分が悪い。 早急に片をつけさしてもらう!」


「やれるもんならぁ、やってみろぉぉぉ!」


 先に攻撃を仕掛けたのはソルトだった。

 大きな鎌を魔力が包み込み、鎌が倍ほどあるようにも見える。


 マークが『魔装武具マジック・アイテム』であるグローブで何とかその攻撃を防ぐが、魔力による攻撃が思ったよりも重かったのか後ずさりしてしまう。


 マークが片膝をついてしまったところをこれ見よがしに追撃するソルト。

 マークもすぐに立ち、カウンターの拳を入れる。


「『星の隕石(スター・ロケット)』!」


「『悪魔の番号(デーモン・レプジット)』」


 大きな魔力同士が激しくぶつかった。


 近くにいたタイヨウもその衝撃によって目も開けることもままならず、片手で顔を覆う。

 土煙が舞い、どうなったかが確認できていない。


 周囲を包んでいた土のカーテンが開き、その場に立っている二人の猛者が姿を現す。

 実力は互角。

 互いに引かない、シーソーゲームのような状態。

 ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべているソルトに、怒りの眼差しを向けているマーク。

 両者の間に割って入れる者などここにはいない。

 この舞台はもうこの二人にしかスポットライトは当たっていなかった。


「へっへっへ」


「何がおかしい?」


 マークが片眉を上げてソルトの言葉に疑問を持つ。


「なあ、マークさんよぉ。手の甲に浮かんでる数字が見えるかいぃ」


 マークがグローブを外し自分の左手を確認する。

 するとそこには数字のカウンターが浮かんでおり、三桁目に一という文字が浮かんでいた。


「へっへぇ。 それがぁ俺の能力、『悪魔の数字(デーモン・レプジット)』だぁ。俺が攻撃を当てるごとにその数字が増えていきぃ、それが六六六となればあんたはぁ、死ぬぅ」


 ニヤニヤと笑うソルトにマークは動揺することはなかった。


「じゃあその前に僕がお前を殺せばいいんだな」


「いいねぇ、元気があってぇ。 でもほら、俺にも数字が刻まれるんだよぉ」


 ソルトが手の甲をマークに見せた。

 そこに刻まれていたのは0の数字。


「あんたもぉ、俺のこの数字を六六六にすればぁ、俺を殺せるぜぇ」


 なんとも楽しそうなソルトだった。

 まるで殺し合いに生きがいを感じているような、そんな表情であった。


「説明は終わったか、じゃあ僕からいかしてもらう!」


 マークが拳をその場で振り払った。

 その瞬間に赤色の拳型の魔力がソルトめがけて放たれた。


 マークは特別才能があるわけではなかった。

 一般の平民の元で生まれた、ただの人。

 ただ他の家と違った点は、マークの家が貧乏な大家族であったこと。

 両親は共働きで、朝から晩まで一日中働いていた。

 そのため彼は兄弟の面倒を見ながら、家事を全てこなしウェスト家ではマークが親の代わりのようなものだったのだ。

 それでも彼は学校での勉強を疎かにせず、学年では常にトップの成績。

 進学するかどうかで迷ったときに、マークの父がこの世を去ってしまう。

 進学先には全て無料で行けるという事であったが、マークはそれを固辞した。

 なぜなら、マークには家族を養わなければならなかったから。

 だから彼はお金を稼ぐことができる、ギルドに所属する進路へと進むことにした。

 マークは学業が優秀だったため、【王の楽園(キングダム・エデン)】への就職が決まった。

 家族のため、母のため、お金を稼ぐために必死に努力し続けた。

 給料が入れば八割程度家族に送った。

 どんなに苦しくても、逃げ出したくても、マークには家族がいたから頑張れた。


 そしてマークは血の滲む努力をして辿り着くこととなる。

 『神の実績(シン・クラス)』に。

 それが『太陽神アポロン』、マーク・ウェスト。

 努力で『神の実績(シン・クラス)』になった男だ。


 * * *


「やっぱりぃ、『神の実績(シン・クラス)』は殺しがいがあるねぇ」


「くっ!」


 生き詰まる両者の戦いだが、若干マークが押され気味であった。


 なぜならマークは近くにいた兵士を守りながら戦っていたから。


 ソルトはマークとの戦いの中、息をするように近くにいた兵士を殺していた。

 その悔しさを滲ませながら、攻撃を仕掛けるもソルトは見事に躱して見せる。

 ソルトはなぜか戦いをする度に攻撃のリズムがよくなっていたのだった。


「なぁ、もうこいつらに構ってねえで戦いに集中しないかぁ」


 面倒くさそうに言葉を発するソルト。

 しかし、マークも闘志を剝きだして戦っている。

 死んでいった者魂がマークを奮い立たせていた。


「僕は負けない、死んでいった者のために!」


 マークの拳に赤色の魔力が集中する。


「『星の隕石(スター・ロケット)』、トリプル!」


 拳型の魔力が三つ、ソルトに向かって放たれた。

 速度は流れ星のように速く、力は隕石のように重たい。


「ぶっはぁ!」


 ソルトはその二つの攻撃をなんとか防いだが、残る一撃が見事に顔面にヒットした。

 ソルトは口から血を流して、地面に倒れ込む。

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