表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語の最後に僕は死にます  作者: 松浦
第2章「魔族侵攻編」
50/143

第49話「北にある大地の戦い」

 タイヨウはその魔獣を睨みつけ、魔力をもう一段階上げた。


 そこに一匹、アンドラスがタイヨウ周辺に飛び立ってくる


「『太陽が昇る日(バニシング・サン)』!」


 炎を纏った拳と、アンドラスの鋭い爪がぶつかり周囲に土煙を巻き起こす。


「ぐっ……」


 力勝負ではタイヨウの負けであった。


 でもここには実力のある冒険者がいる。

 それに前回戦ったアンドラスよりかは魔力も大したことはない。

 今回は前回みたく負けるわけにはいかないのだ。


「おい、ボウズ! なんとかそのままそいつの気を引いとけ!」


 ベテランの冒険者がタイヨウに声を掛け、アンドラスに向かって突撃していく。

 大きな斧を振りかぶりアンドラスの背中めがけて傷をつけた。


「グァァァ!」


 悲鳴とも受け取れる叫び声を発し、大きな体躯が少しふらついた。

 その隙をタイヨウが見逃すはずがない。

 拳に集中した魔力が大きな火となり、タイヨウは飛び上がって炎を纏った拳をぶつけた。


 タイヨウの動きに連携する冒険者達。

 この前線に配置された冒険者は戦闘に特化している者が多い。

 だからこそ、タイヨウの攻撃に瞬時に反応し連携がとれるのだ。


「よしっ!」


 黒血をながしながら倒れたアンドラス。


「よっしゃ!」


 タイヨウに連携してくれたベテラン冒険者も喜んでいる。


 今回は負けない。

 なぜなら心強い味方が何人もいるから。

 この人なら、この人たちならこの戦争に勝てる。

 そう、思った。


「やるなぁ、ボウズ! さあここからどんどんいこうぜ!」


「はいっ!」


 タイヨウが軽快な返事を返したときだった。


 目の前にいた冒険者の首が飛ぶ。


「雑魚があんまり調子に乗るなよなぁ、目障りだからぁ」


 タイヨウは時が止まったような感覚だった。


 眼前にいるのは見たこともない魔力も持った、人。

 ただこの魔力は感じたことも、戦ったこともなかった。

 遺跡でのアンドラスよりも、深く、黒い魔力を帯びている。


「ひっひっひ。 いいねぇその顔、早く殺してえなぁ」


 恍惚な表情を浮かべている男は、殺しに快感を得ているようだ。

 人の首を刎ねても、一人の人生を奪っても、彼は、こいつは喜んでいるのだ。


「なにもんだ!」


 近くにいた冒険者が声を発さずにはいられなくなり、その男を威嚇している。


 鬱陶しそうな顔を浮かべた男が、ぼそりと呟く。


「おれはぁ、ソラトぉ。 お前らでいうZ級(・・)だぁ」


 Z級という言葉を聞いた瞬間、冒険者たちに緊張が走った。


 Z級なんて会ったこともない人物が大多数。

 空想上の生物だと思っていた魔族が、ここにいる。


「うぉぉぉぉぉ」


 近くにいた冒険者が一斉に攻撃を仕掛けた。

 戦闘に精通している者ならわかるのだ、こいつを生かしておいては危険であると。


「雑魚どもがうるせえなぁ。まるでハエみたいに鬱陶しいぃ」


 ソラトは人の体ほどある鎌を出した。


「死ねやぁ」


 そして言葉と同時に、ゆったりと円形にその鎌を振り回した。

 その鎌が通った軌道に風が吹いた。


 そしてソラトを囲んでいた冒険者の首が一斉に飛んだ。


「ひぃぃぃぃぃ!」


 タイヨウの近くにいた冒険者たちが逃げていく。


 本能でわかったのだ、こいつには近づいてはいけないと。

 戦っては死んでしまうと。


 でもタイヨウは逃げなかった。


 ここで逃げてしまっては、戦況が大きく変わると思ったから。

 自分がどれだけ粘れるかが、勝負。


「嫌いだなぁ、鬱陶しいやつはぁ。 早く殺したいぃ」


 のらりくらりとそいつが駆け寄ってくる。

 千鳥足のようだが、確実にこちらを殺しに来ているのがわかった。


「うぉぉぉぉぉぉ!」


 タイヨウは拳を振りかぶって、ソラトを目掛けて殴りかかった。


「はい、死んだぁ」


 しかし、タイヨウが気づいた時にはソルトの鎌は首元まで来ていた。


(死ぬ……)


 カンっという金属音が聞こえてきた。


 そして誰かに抱きかかえられている。

 その顔を見れば、そこにいたのはタイヨウにとっての英雄。


 かつて自分が死にそうになった時、助けてくれたヒーロー。


「少年の勇気、見事だ。 君は絶対に強くなれる、『神の実績』の僕が言うんだ、間違いない」


 そう『太陽神アポロン』マーク・ウェストがそこに立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ