表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語の最後に僕は死にます  作者: 松浦
第2章「魔族侵攻編」
36/143

第35話「犯罪者」


扉を開けた先にいたのは七大ギルドのマスター達。

それぞれの視線が痛いほど伝わる。


それになぜか妙に緊張している自分がいた。

緊張する機会なんてこの異世界に来てからほぼないに等しいが、このギルドマスター達を相手に緊張しない方がおかしいというもの。


覚悟はしていたが、これほどまで強烈なキャラクターであったとは。

扉から聞こえてきた話だけでも、話なんか聞かないであろう連中。

今からこいつら相手にしないといけないと思うと先が思いやれる。


「私が【王の楽園(キングダム・エデン)】ギルドマスターを務めているミエルだ。名前をまず名乗ってくれ」


「カナタ・アゼレア」


「カナタ。 『古代武具(ロスト・アイテム)』とは本当に契約したのか?」


「はい」


「それは犯罪行為であることは知っているな?」


「最近知りました」


「知らなかったとはいえ、許されないのが法律だ。それを覚悟してここにやってきたのか?」


「はい」


俺はここに来る前に一つ決めておいたことがある。

それは、嘘をつかないことだ。


嘘をついたところで、このギルドマスター達だったら気づくやつはおそらく存在する。

色々な人物を統率しているのがギルドのマスター。

下手な嘘をつけばそこが狙われると思っていた。


「であれば、なぜここに来た?」


ミエルが表情を一切変えずに、こちらを見ている。


この威圧感、魔族見てえだな。


ただこれに圧倒されるわけにはいかない。

手持ちのカードは数枚程度。

後はこれをどう組み立ていくかで俺が犯罪者になるかならないかが決まる。


「知らなかったとはいえ犯罪行為をしてしまったことは謝罪します。ですがまず『未開拓遺跡(ラビリンス・リメインズ)』探索の問題点について話があります」


「……問題点とは?」


聞いてくれるだけありがたいか。

クロガネさんによればこの七人の中でまともな方だと聞いている。

しっかりと筋を通せば、もしかしたら話を聞いてくれるかもしれないという話だった。

真面目で堅い人ではあるが、この国のため尽力しているのは確かなことらしい。


「ほんとうに未開拓だったんすかね?」


「そう伝えているはずだが?」


「あのどでかい遺跡の中に入っていなかったなんてそれは無理でしょう。 あの遺跡周辺ぐらいだったらどこかのギルドが調査済みで、このギルド連合に話が来ていてもおかしくはない」


「……そんな話は来ていない」


あくまでもシラを切るつもりらしい。


「じゃあ、『未開拓遺跡(ラビリンス・リメインズ)』に遺跡調査もしたことがない素人同然の冒険者を行かせた理由は? これじゃあ死んでくださいって言っているようなものな気がしますけど」


「これは危険が孕むクエストというのは知っているだろう。それにこれ以外のクエスト全般に死の危険性は伴っている、これが特別ということではない。またあくまで今回の依頼は『未開拓遺跡(ラビリンス・リメインズ)』の調査であって、開拓ではない。クエスト説明時にそれは話しているはずだが?」


え、そうなの?

やべぇ、そういえば俺説明聞いてなかった。

こんなことならロゼッタさんの話しっかりと聞いておけばよかった。

人の話は大事だね、うん。


悉く俺の考えていた会話のカードが打ち砕かれていくが、ここで止まるわけにはいかない。


「物は言いようっすね。でも調査で行って大量の犠牲者を出して、それでも『古代武具(ロスト・アイテム)』はくれって、そうとう横暴な気がしますけどね」


「『古代武具(ロスト・アイテム)』を渡してくれとは言っていない。犯罪者が持っているというのが問題だ」


「死ぬかもしれない状況で『古代武具(ロスト・アイテム)』と契約するしないで悩んでいる暇はなかったすけどね」


「それでも法律は法律だ。それを破ってしまえば、犯罪が蔓延してしまうことになる」


「命よりも法律を優先するってことっすか。じゃあその法律が合っているのか間違っているのかの議論を先に行ってくださいよ」


「そうかもしれないな、では君の犯罪行為の正当性はしかと裁判で決めよう。しかし、『古代武具(ロスト・アイテム)』はこちらで一時保管する」


厄介な相手だな。

まるで俺の質問を全て知っているみたいだ。

言葉に詰まることはなく、ただ淡々と質問の返答をしている。

しかも、依頼主という立場を使ってそれらしい意見を述べ正当化。

犯罪者とされている俺が何を言っても弱者になってしまうこの状況。

犯罪は裁判で決めるが、『古代武具(ロスト・アイテム)』は回収される。

それではここに来た意味がない。

俺のしてしまった犯罪行為よりも、『古代武具(ロスト・アイテム)』が失われることの方が俺にとっては重要であった。


「じゃあ、交換しませんか?」


「交換?」


少し眉を動かしたミエルが、毅然とした態度で俺の意見を待っている。


「おいおい、犯罪者が何言っても耳貸すんじゃねぞ、ミエル」


態度のデカい男に邪魔をされるが、今日の相手を間違えてはならない。

相手をするのはあくまで、この会議を仕切っているミエルだ。


「近々魔族が進行しくるということを聞きました。なので、俺が持っている未確認魔族百種類の情報と『古代武具(ロスト・アイテム)』とを交換しませんか?」


ミエル以外の面々が、表情を変えた。

元々この会議は魔族進行の対策を練るための会議であるらしい。

しかも緊急を要するもので、この七大ギルド会議も前々から決まっていたものではない。

であれば、この情報は喉から手が出るほど欲しいはず。

これに賭けるしかない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ