ミューズの店主が2人
マーセラ国の王都の南東に『ミューズ』と、いう人気のドレスの仕立てを主にしている服屋がある。
ノア・インパチェンスとレオン・ダビディアの2人が店主として店の切り盛りをしている。
ただ、本日は店先に『申し訳ございませんが、しばらくの間休ませていただきます。』と、いう張り紙が張ってあり、店に来た客が残念そうに、店の前を通り過ぎていくだけだった。
この、『ミューズ』という店は、王侯貴族からの注文も承っている事もあり、それに専念しないとならない時があると客は知っている為。
不定休の営業も仕方なく受け入れて貰っているようだ。
『ミューズ』の建物の4階の転送魔術の部屋へと来る。
”ギシギシ ギシギシギシ”
と、上の階から音がする。
「上の階にノアとレオンがいるのでしょう。」
サヴェリオが天井を見ながら言った。
サヴェリオの他に、ティアーナ、カミーユ、ケネス、アラディンと、ブルースも来ていた。
ティアーナの顔が相当暗いのがわかる。
先ほどから一言も言葉を発していないからだ。
転送魔術の魔術印の部屋から出て、上の階へと行く。
「ああ・・・ミューズよ。僕にインスピレーションを・・・贈れ。ああ・・・ああ~。」
「僕たちのミューズよ・・・ああ・・・ああっ」
ある部屋から、声が漏れていた。
「はあ~、ここにいてください。」
と、ブルースがため息をついた後、ズカズカと前を歩き、声が聞こえた部屋を開ける。
”ズドーーーンッ”
と、部屋を開けるて、すぐにブルースは魔術を放つ。
「あああ―――――!!」
「ミューズが――――!!」
部屋から悲鳴が聞こえた。
「今すぐ、服を着ろ!!」
怒鳴るようにブルースがいうが、部屋の中からは『ミューズ、ミューズ』と、悲鳴のような声がする。
「・・・仕方ないですね。」
と、サヴェリオが呆れたように、ブルースの開けた部屋へと行く。
「サ、サ、サササ、サヴェリオ様!!」
「早く身支度してください。もしくは・・・私の手伝いがないと・・・動けませんか?」
”ドタガタ バタバタ”
と、急いで身支度をする音が聞こえる。
ブルースと、サヴェリオが部屋から出て部屋のドアを閉まる。
「2人は身支度をしております。案内をしましょう」
と、サヴェリオがリビングルームまで案内してくれた。
リビングのは、多少シンプル感はあるモノのアールヌーヴォー調の家具で統一されていた。
「ティアーナ様は、こちらの席にいるのが良いでしょう。」
と、部屋の一番奥のソファーに、ティアーナを案内するサヴェリオ。
「隣に、スチュアート様が座ってください。」
と、俺の席まで決まられた。
ティアーナの反対側には、ブルースが座る。
サヴェリオがリビングルームのドア近くのキッチンで、お茶の用意をしている。
リビングルームのドアが開く。
「ミューズ!!!」
と、ドアが開いて、すぐに2人の男性が目を輝かせて向かってくる。
「ひーー!!」
隣から大声で悲鳴を挙げたくても挙げれず、かすれ声で悲鳴を発するティアーナ。
「壊しますよ。」
”ピタッ”
と、サヴェリオの一言で2人は止まる。
2人の顔が青ざめていた。
・・・・サヴェルオは、この2人に何をしたんだ?
リビングルームの出入り口に近い場所に椅子を持って座っている2人。
黒髪に水色に近い青い瞳がノア・インパチェンス。
オレンジに近い金髪に、茶色い瞳をした方がレオン・ダビディアと、名乗ってくれた。
「アンナからの連絡で、ここに俺らが来ることはわかっていたはずだ。おとなしく待てなかったのか?」
ブルースが、吐き捨てるように言う。
「報告は出来てます。いつ、いらっしゃるのか不明だったので、それまでは僕たちの自由時間のはずです。」
レオンが訴えるも、サヴェリオがニッコリ笑顔で、報告書を差し出せと手をだしたので、ノアが棚から書類を取り出し、こちらに来る。
ただ、キッチンに置かれていたテーブルが、俺らのいるソファー席の前に区切るように置かれていた。
これ以上、こちらに来ない為に置かれた仕切りだ。
「ミューズ・・・・。」
と、愛おしそうにティアーナを見つめるノア。
ティアーナは、俯き全くノアを見ようとはしない。若干体が震えていた。
「テーブルの上に置いてください。」
サヴェリオの言う通りに、ノアはテーブルの上に書類を置く。
「君たちは、待っている間・・何をしていたんだ?」
俺は気になり聞いてみた。
「僕たちの共用ミューズボディーのブラジャー仕様を慈しんでいました。」
悦った顔でノアが言う。
「ミューズとは・・それにミューズボディーとは何だ?」
俺が再び聞くと、一瞬時が止まったようになった。
・・が、次の瞬間、辺りの雰囲気が一変する。
テーブルの向こう側、ノアとレオンがいる方が明るく。
そして、テーブルのこちら側が、より暗くと、そのように感じた。
「僕たちのインスピレーションの象徴!!」
ノアの手に拳が握られる。
「芸術の泉。僕たちの女神!!」
レオンが椅子から立ち上がりテーブルまで来る。
テーブルの向こう側が、舞台のような感じになる。
「模型であっても、僕たちが開発した弾力性のあるボディーで、リアルに仕上げられたミューズボディー!!」
2人が手を合わせてクルクル回りだしたよ。
何か・・スポットライトでも当ててくれと言わんばかりだな。
「ブラジャーを付いている仕様のミューズボディーが6体。」
手を離して、レオンが人でその場で回りながら言う。
「保管用、観賞用、裁縫用、僕用、レオン用、僕とレオンの共同用。」
うん、6体だな。
「ブラジャーを付いていない仕様で、これまた6体。」
合計12体だ。
・・・保管と鑑賞、裁縫までは分かるが、後の物はなんだ?
そんなに必要なのか?
「そう・・・そう・・ああ・・・愛おしい。マイ・ミューズ・・ティアーナ様!!」
2人して、ティアーナに手を差し出す。
「・・・・・処刑しろ。」
俺は、一瞬で無表情になり一言を発する。
「そ、そんな~・・・お分かりになられるでしょ。ティアーナ様の美しさを・・・。」
「そうですよ。それに・・・おお。レオン!!」
今度はなんだ?
ノアはレオンをお互いを見め、そして・・・俺の方を2人して見る。
「ミューズマン!!」
・・・は?
2人はテーブルの上に正座をして、身を乗り出す。
「あなた様もまた、美しい!!」
「やっと探し求めていた、芸術の泉・・の、男性バージョン。是非、あなた様のボディーを!!」
”ダンッ”
と、テーブルを思いっきり叩くサヴェリオ。
その一瞬で、辺りが鎮まる。
「処刑を実行に移されたいのですか・・・ノア、レオン?」
サヴェリオの言葉に、2人は涙目で首を左右に振る。
「では、報告を・・・。」
ニッコリ満面たる笑顔でサヴェリオが言った。




