ひねくれ者が、そこにいた。
”チュンチュン”
鳥の鳴き声がする・・・。
朝か・・・。
私はゆっくり目を開ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
な、な、な、な、な、何が起きているのですか!?
「きゃーーーーーー!!!」
幻覚による錯覚であろうが、今の私に悲鳴が必要です。
目の前にスチュアート様の寝顔が見えたのですから・・・。
自分の頬が、火照っているのを感じます。
あっ・・・幻が目を覚ましました。
「ティアーナ!」
”にぎゅっ”
手に感触があります。
スチュアート様と手を握っているって!!!
すぐに手が解かれ、私はベッドの端へと引く。
”カーーーーーーッ”
頬の火照りが、顔全体に行き渡る。
きっと耳まで真っ赤となっているはずです
「おはようございますスチュアート様、ティアーナ様。」
サヴェリオの声がソファーから聞こえる。
「何故、サヴェリオまでいるの!?」
ここって、後宮の自室ではない、ウェリーネ屋敷の自室だわ。
「どうして、私が、ここに・・よりも、スチュアート様がどうしてここに・・それも・・・。」
続きは恥ずかしくて言えない。
同じベッドで寝ているのがわからない。
もう・・俯くことしか出来ません。
キーラに飲まされた毒の副作用ですか?
「スチュアート様が、ティアーナ様をここまで運んでいたのですよ。」
サヴェリオが、ソファーから立ち上がりながら言う。
「何故・・・こ、ここに・・・。」
まだ、熱せられている顔でスチュアート様に聞く。
「後宮は危険なので、ここに連れてきた。」
スチュアート様は、妖精の光に連れられ、私がベッドで解毒の術の施しを受けながら眠っている所に出くわし、スチュアート様が自ら魔術を私に解毒をしてくれた事を説明してくれた。
「今回の毒は、相当猛毒の様でしたね。スチュアート様が魔術を施して頂けなければ、どうなっていたか・・・。」
サヴェリオは、スチュアート様が相当心配して、体調の急変が起きた時にすぐに対応が出来るように、手を繋ぎそばで待機をしてくれた事を言ってくれた。
・・・・そんなに酷かったんだ。
「まあ、だいぶ良くなられた頃には、スチュアート様は眠ってしまわれましたがね。」
含みある笑みを見せるサヴェリオ。
「さすがに、聖王であらせられるお方を、そのままというわけにはいきませんからね。」
・・・まあ、そうでしょうね。
無礼のないように行動を起こすのが通常だわ。
「ベッドに寝かせようにも、ティアーナ様が使っておられますし、かといって病み上がりのお方をソファーで寝かせるわけにもいきませんし・・・。」
なら、別のお部屋を用意すればよいのではない?
サヴェリオにその事を伝えると・・・。
「がっしり手を握られておりましたし・・万が一の急変も考えられますからね。同じベッドで寝て頂きました。」
ニッコリ笑顔で答えるサヴェリオ。
「しっかり、オイタをしない様に監視してましたら大丈夫ですよ!」
・・・そういう問題ではないのですが・・・。
サヴェリオを睨んで見せた。
するとサヴェリオは、不思議そうに私を見て、口を開いた。
「もしかして、スチュアート様にオイタ・・・されたかったのですか?」
「そんな、訳ないでしょう!!」
私は怒り、ベッドから起き上がり『支度をします!』と、一言伝え、寝室を出た。
すぐにシャワーを浴びたくなり、浴室へ向かうも、近くでスチュアート様がいると思うと恥ずかしくなり、部屋を出て別の部屋の浴室を使った。
気分的にゴシゴシというより、ガシガシと体を洗いたくなり、くまなくきっちりと全身を洗い流す。
タオルを巻き浴室を出る。
「おはようございます、ティア―ナ様・・・・。」
と、脱衣所にオルガがいたが、私を見るやじっくりと私の体を見る。
「ティアーナ様、なんてことを!!」
私の体は、ガシガシと体を洗ったせいで、肌が赤くなっていた。
「今すぐ、傷を癒してください!」
オルガは、アロマオイル等の用意をすると言い、脱衣所を急ぎ出て行った。
私はオリガのいう通りに、こすって赤くなった肌の炎症を癒す。
肌の色が元通りとなる。
元通りだから、身体のケアまでしなくてもいいのでは・・・。
そう思い脱衣所をでると、ほとんど用意が出来ていた。
用意周到な感じもしたが、元々準備をしていたと言われれば、全身ケアをしてもらいましょう。
屋敷の侍女たちが、手にアロマオイルをつけ、私の体をマッサージする。
・・・うん・・・気持ちいいわ・・・。
「・・・んっ・・・は・・・・んんっ・・・。」
結構、凝っていたのね・・・強く押されると、ついつい声が出てしまう。
でも・・・効くわ。
〇 〇 〇 〇 〇 〇
俺は、バルコニーに設けられた席でモーニングティーを飲んでいた。
サヴェリオが、お茶だけでも飲んでいて欲しいと、わざわざ席を用意してくれたのだ。
「・・・・・・。」
何故か、不自然に俺の座っている椅子のすぐ後ろに、パーテーションが置いかれているのか、今少し前に理由がわかった。
『あっ・・・んっ・・・あ・・・』
マッサージをしてもらっているティアーナの漏れ出る声が聞こえる。
俺は、テーブルの斜め前にいるサヴェリオを見る。
にんまりと笑みを浮かべている。
「サヴェリオ。君はひねくれ者なのか?」
「疑問形にしなくても、私はひねくれ者ですよ。」
どや顔を見せるサヴェリオ。
何が目的なのだ?
私の目を見て、察したのか話を続けてくれた。
「スチュアート様は、簡単にティアーナ様を諦められるのですか?」
・・・・!
「通常のやり方は無理でも、方法は見つけられるはずです。一個も方法を見つけることなく、行動ですら、することなく・・・諦める。それでよろしいのですか?」
サヴェリオの言う通りだ。
手に入れる方法を一つも考えることなく、諦めようとしていたとは・・・。情けない。
お茶を飲みほした。
『んっ・・・はぁ・・・うぅ・・・。』
部屋の中からティアーナの声が聞こえる。
何とも艶めかしい声なのだろう。
「サヴェリオ、お茶のお替り貰おう。」




