姉とのティータイムと侍女
聖宮殿へと戻いる最中も、ティアーナはショックで放心状態だった。
「・・・・ティアーナ。」
”ビクッ”
と、俺の呼びかけにも驚きを見せる。
本当にこのまま、部屋に戻しても大丈夫なのだろうか?
そう思いながらも、俺らの住まいの島と、8つの棟のある島とをつなぐ橋の前で別れる。
ティアーナは動揺が隠せない雰囲気で、後宮へ帰って行った。
〇 〇 〇 〇 〇 〇
私は普通に正面から後宮へと入る。
頭の中は、ノアとレオンの変態コンビの事でいっぱいだった。
2人が、優秀なのはわかるのよ。
服飾デザイナーとしての才能は、もちろんの事、剣術も目を見張るモノがある。
魔術だって、特級レベルまでの能力はないモノの、魔術を上手というのか・・・器用に使っている。
文武両党にサポートをする頼ましい・・・と、言えば頼もしい仲間なのだけど・・・・・。
何せ・・・なにせ・・・ナニセ・・・な・にせ・・・変態なのよ!!
今後の事を考え、マーセラ国に派遣という事になり、関わりあいは、あまりなくなったが・・・いや、正確には関わらない様に避けてました。
そ、それが・・・関わりあわなければならない・・・・。
どんな、嫌がらせなのですか
「ティアーナ様。」
”ゾクッ”
私を呼ぶ、聞き覚えのある嫌な声に反応する。
そして、声の方へ振り向き、反省をする。
「ティアーナ様。ラフィリア様がお呼びです。」
お姉さまの侍女キーラがあ、声をかけてきた。
・・・今日は災難日のようだ。
私のお姉さまであるラフィリアの後宮での部屋は、後宮の一番目の棟。
その棟で、2番目に聖王の寝所の島に近い部屋である。
因みに、一番聖王の寝所に近い部屋に住まいの方は、スチュアート様のいとこであるクララ様となっている。
侍女のキーラの案内で、お姉さまの部屋へと入る。
「ティアーナ!!」
お姉さまは、私を見るや、嬉しそうな顔で部屋の中へと招き入れてくれる。
「キーラ。私とティアーナにお茶を淹れて頂戴ね。」
私を見た嬉しそうな顔をそのままで、キーラに言う。
キーラは微笑み返し、お茶を用意するために部屋を出て行った。
「ティアーナ。後宮で困ったことはない?」
お姉さまは、私が8つ目の棟に振り分けられてた事を相当気になっているようだ。
『不便はしていない?』『いじめられていない?』
など、私の事を心配してくれる。
「心配してくださってありがとうございます。ですが特別に私は、ウェリーネの屋敷にも、部屋を設けることを許されている身です。」
ニコッと微笑みながら私は、お姉さまに大丈夫な事を伝える。
「でも、何かあったら伝えてよ、私たち姉妹なんだから助け合えるはずよ。」
お姉さまは、魔女の生まれかわりの私であっても、気にせずに接してくれる。
優しい方だ。
”ガラガラガラ”
と、侍女のキーラがカートでお茶を運んできた。
「エステルの花茶です。」
そう言い、キーラが透明のガラスにお湯を注ぎこむ。
お姉さまの方には、無色透明の耐熱ガラスのティーカップ。
私の方には、若干茶色く色の入った透明な耐熱ガラスのティーカップが渡される。
「ありがとうキーラ。」
お姉さまはキーラにお礼を言う。
私からも、お姉さまに続けてキーラにお礼を言う。
キーラは嬉しそうに微笑み一例をする。
頭を上げたキーラと目があった。
・・・・。
アイコンタクトというのだろうか・・・。
キーラは、早くお姉さまとの話を終わらせ、部屋から出て行って欲しいと、目で訴えてきた。
「ティアーナ、先ほどの話に戻るけど・・・。特にマーセラ国の姉妹には気を付けるのよ。スチュアート様のファーストダンスが、あなたとだった事で、相当怒っていたから・・・。」
何ですと?
「えっと・・・もう一度、おっしゃっていただけませんか?」
聞き間違えをしたような気がするのですが・・・。
「マーセラ国の姉妹には、気を付けてと言っているのよ。」
いえ、そちらの言葉でなくて・・・。
マーセラ国の姉妹だろうと、別の人だろうと皆、気を付けなければなりません事は承知しています。
私が知りたいのは、その後の言葉です。
「スチュアート様のファーストダンスの相手がティアーナだって事かしら?」
お姉さまは知らなかったのと、言わんばかりに不思議そうに話し出す。
そんな事、初めて知りました。
まあ、2日目の事だし・・・。
「ティアーナ・・・無知過ぎるわよ。」
心配の度が増し、恐怖の目で私を見るお姉さま。
「スチュアート様は、初日には誰とも踊っていないわ。2日目にしてやっと、ティア―アと踊ったのよ。」
何ですってーー!!
私の顔が真っ青になるのがわかる。
座っていながら、頭がクルクルと回転する感じがするわ。
「本当に、心配だわ・・・。」
ええ、この世界が心配です。
魔女の生まれ変わりと、ファーストダンスはダメでしょうが・・・。
8つ目の棟に、守りの術を何重にも施しているけど、オルガが心配になってきたわ。
「侍女が心配ですので、部屋に帰りますね。」
私は、席を立とうとする。
「帰ってしまうのですか?」
キーラが止めに入る。
帰れコールを目で訴えていたのに、その言葉は・・・。
「お茶だけでも飲んでくださいませんか?」
キーラが、そのように伝える。
「今のところは、8つ目の棟で騒動があったとは聞いていないわ。侍女のこと心配する事は良い事だけど、気持ちを落ち着かせるためにお茶は飲んで行きなさい。」
お姉さまにそのように言われてしまうと、飲むしかないわね・・・。
”ゴクリッ・・・ゴクリッ”
私は、お茶を飲み干し、すぐに椅子から立ち上がる。
「それでは、帰りますね。」
「気を付けてね。」
お姉さまは、部屋の扉まで見送りをしてくれた。




