ビキューナの実に希望を・・・
”ピカーーーーーーッ”
と、スワイベルの町の方角が煌々と光り出した。
「いやーーーっ!!!」
スチュアート様が、スワイベルの町に施しをしたのだ。
「落ち着きなさい!!」
ブルース叔父様が私を抱きしめて、落ち着かせようとしている。
だが、落ち着くわけがない。
だって・・・スワイベルの町に必要な苗木は今、私の手元にある物だもの。
「ティアーナ。スチュアート様の側近のケネスは、宮廷庭師の一族だ。その土地にあった植物を植えてくれているはずだ。」
「でも、品種改良まで・・・ここまで適した物をスワイベルに植えているとは、思えないわ!!」
サヴェリオが、ここまで誘導して導いた船乗りの為のビキューナの木。
ビキューナの木を植える事は思いついても品種改良までするとは思えない。
「それでも、世界を導く聖王のしたことだ。これから導くきっかけにでもなろう・・・だから落ちつけ!!」
私は、ブルース叔父様の腕の中で大声をあげて泣いた。
・・・聖王の為と言っても・・・人々の為になっているの?
少し落ち着くと、ブルース叔父様は瞬間移動を使い、転送魔術の魔術陣の部屋へと来て、転送された。
”シャーシャーシャー”
と、水車の音が聞こえる。
ビュールの町『ファッションドレス スグリ』の地下の転送魔術陣の部屋に転送された。
声が出なくなったものの、涙が止まらなかった。
「大丈夫だ・・・。」
そう言ってくれるブルース叔父様の腕の中で、私は、後ほど、スワイベルの町に品種改良をしたビキューナの木を植え替えに行こうと考えていた。
「誰かくるようだ。」
魔術陣の外へと連行される。
すぐに、魔術陣が術の発動をして、転送されてきた者と顔を合わせる。
「ティアーナ!」
スチュアート様、それにカミーユ様とケネスさんだ。
「報告をしてもらおうか。」
ブルース叔父様が、アスター家の家長として言葉を発した。
「スワイベルの町は、林があるが海に面している土地。そして海から近い場所に造船の町がある。なので、スワイベルの町には、船上に適する品種改良をしたビキューナの木を林を伐り植えた。」
私のしようとしてた事を・・・していた。
ブルース叔父様は私の頭を撫でる。
私は目を見開き、スチュアート様の方を見る。
そして、一歩、二歩と進む。
私が・・・お仕えすべき方の方へと進む。
「ティアーナ・・・君の持っている苗木はもしかしてビキューナの苗木か?」
スチュアート様が私の手に持っていた苗木を見て聞いて来た。
私は頷き、スワイベルの町に適した苗木であることを伝える。
すると、スチュアート様は、私の手を掴む。
そして転送魔術を使った。
ここは・・・聖宮殿。
スチュアート様は転送魔術、それも属性付きの転送魔術を使い、魔術陣のないところに転送をした。
「ティアーナ・・・その苗木を私にくれないか?」
私は何も言わずに、スチュアート様に苗木を渡す。
スチュアート様は、その苗木を植える。
そして、その苗木に魔術を送る。
聖王であるスチュアート様の聖なる魔術が植物の苗を成長させる。
木に白い花が咲き、すぐに散ってしまうも、棒状の実が房の様に現れる。
実の色は柔らかい黄赤色。
実が出来ると、スチュアート様は魔術をやめる。
そして、実を取り皮を剥いで、中の果実を食べる。
「うん、美味しい。ティアーナが品種改良したビキューナの実は・・・。」
スチュアート様は、ウエストポーチから、ビキューナの実をだす。
「スワイベルの町に植えた俺が改良したビキューナの実だ。」
スチュアート様は、その実の皮を剥き、私の前にだす。
「ティアーナに食べて欲しい・・・さあ。」
スチュアート様の手の中のビキューナの果実を口に含む。
そして、咀嚼する。
”ポタ・・ポタ・・・”
と、涙が出てきた。
「・・・美味しいです。」
甘酸っぱい味。船乗りの恵みの実であるビキューナの実。
「すまなかったティアーナ。辛かった過去を思い出させてしまって・・・。」
顔を伏していた私の頭にスチュアート様は手を乗せ撫でる。
「でも、ありがとう。俺に道を示してくれて・・・。」
私は首を左右に振る。
「いいえ、私は何もしていません。スチュアート様が自ら導いたのですから・・・。」
こうして、アジュガスターからの情報が手に入る事になったのだが・・・。
私は、属性魔術を使った疲労と、安堵から気を再び失ってしまった。




