没収されていた・・・
「ティアーナ・・・平気か?」
”ズルズル”
と、その場でしゃがみこんだ。
「大丈夫と思っていたけど・・・そうではなかったのね。」
アラディンが腰を下ろし心配そうに私を見る。
「アラディンが迎えに来てくれて安心するなんて・・・重症だわ。」
”つん”
と、私の眉間を突いてきた。
「何故だろう・・・イラッとする一言を言われた気がするのだが・・・。」
そうなのね。
まあ、よろしいのではないかしら?
私は周りを見渡し、嫌な予感がする。
「ここって・・・。」
私は、ゆっくり立ち上がり、恐る恐るアラディンに聞いてみる。
「グランドリール号の船の中だ。」
・・・はあ?
「伯母さんから頂いたんだ・・と、言っても、サヴェリオがな。」
顔が真っ青になった。
「定期点検に出した・・・だけなのですが・・・。」
アラディンの顔が引きつる。
船の定期点検の時期を決める為に、ビキューナの果実の品種をコーマにしたのに・・・。
え?
・・・つまり・・・その・・・だから・・・。
「やられました―――っ!!」
私は頭を抱え天を仰ぐ。
「マイホームだけでなく、船まで没収されたという事なの―――!!」
私は、アラディンの胸倉を掴んで威嚇する。
「ティ、ティアーナ・・・落ち着いて・・・欲しいな~・・・。」
アラディンは一歩、二歩、三歩とバックする。
「遠慮します。私の今の思い・・・受け止めてください!!」
筋がもれなく入った満面の笑みでアラディンに言う。
グランドリール号は、アスターナイトの称号を与えられた際に母から頂いた商船。
ほぼ、グランドリール号で寝泊りをしていた私にとって大事な船。
それを・・・没収されました。
「どこまで、没収すれば気が済むのですか!!」
「ティアーナ様、ありがとうございます。点検が終了後、早速使用させていただきます。」
と、サヴェリオが転送魔術で目の前に現れ、すぐに察したらしく私に伝えてきた。
サヴェリオ・リアトリス
アラディンの側近をしている優秀な男性。
年齢は私たちの一個年上の17歳。
金髪でアイスブルーの瞳で、アラディンよりも顔立ちに品がある。
アジュガナイトの称号を持っている。
その時の名前がサミュエル・リコリスと言う。
「グランドリール号の定期点検が、丁度ティアーナ様の後宮入りの時とかぶるとは・・・わざとですかね。」
ワザでしょうよ。
私はどっとため息をつく。
サヴェリオの故郷は、今現在あまりよくないと聞いている。
今後の事を考えると・・・商船が必要なのよね。
・・・・あげるしかないじゃない。
「大切に使って。」
「もちろんですよ。ですが・・・。」
サヴェリオがニッコリ微笑んだが、すぐに顔色を変える。
「どうしたのですか?」
家なし、船なし、金なしの私に出来る事はほとんどないですが・・。
「今度植えるビキューナの事を考えますと・・・。」
商船などの大型船には、ビタミンC不足による『壊血病』という病気を防ぐためにビキューナという木が植えられている。
ビキューナにはコール、サイザル、ピマ、カベイ、ソモー、ベイメの6種類の品種があり、そのうち船の上でも育つ品種はコールとサイザルとピマの3種類。
その他の品種は、船上では育たなかったり、育っても肝心な実が出来ないという問題点があったりする。。
育ち過ぎで、船に穴を開けるという逸話の残る品種もある。
ただ、船でも育つコール、サイザル、ピマの3種類の品種問題点がある。
コールは、魔術の容器での栽培で一年間に4回収穫が出来る。
だが、3年で木が腐る。
サイザルは、魔術の容器での栽培をしても一年間に一回しか収穫できず。
10年程で木が腐ってしまう。
木が腐る事がなく、魔術の容器での栽培でい年間に4回収穫もきるピマの品種だが、味がガタ落ちで、一流の料理人が船にいないとどうにもならない。
そのような欠点がある。
「新しい品種を作りませんか?」
そうなりますよね。
塩害被害に適したビキューナの木。
ビキューナの木でなくても、ビタミンCが豊富ならどんな木でもいいのですが・・・。
「サヴェリオの事だから、ある程度の目星がたっているのではない?」
今のサヴェリオは船が必要。
その船で大事なビキューナの木の事を考えない訳はないわ。
「ご先祖様に商船乗りの商人だった人の言葉とは・・・ありますよ。」
文句を言いながらもあるようだ。
私はニッコリ微笑み、両手を前に差し出し資料を見せてと行動で示した。
「・・・資料を持ってきます。」
そのように言い、サヴェルオは転移魔術の魔術陣を使い目の前から消える。




