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ウェリーネ屋敷にて

 3日目の後宮入りパーティーが終わる。

 早速というのか・・・ウェリーネ屋敷に只今います。

 3人掛けソファーの向かって左にブルース国王。

 右側にエルミリア女王。

 向って反対側の3人掛けソファーの真ん中に私。

 「ティアーナ。昨日のパーティーの時から聞きたいことがあったのよね。フフフフッ」

 青筋の入ったような顔立ちで微笑むのはやめて貰えませんかお母さま。

 「な、何でしょうか・・・アハハハハッ」

 私が青ざめた顔立ちで笑い返すしかありませんから・・・。

 「後宮で何をしでかしてくれたのかしら?」

 「し、しでかすだなんて人聞きの悪いですわ。アハハッ」

 私は、昨日のパーティーで、会場へ行く前にスチュアート様にあった事。

 そこで、ひょんなとこからドレスが破けて、カミーユ様経由でドレスを渡された事を言った。

 「ええ、前日のパーティーで、ティアーナが着ていたドレスをパトリシア様が着ていた時のことを覚えているわ。」

 特にお気に入りだったドレスだと教えてくれた。

 ・・・そんな物を私に渡すとは。

 「その金のティアラも、渡された物だよね。」

 ブルース叔父様の言葉に、私は『はい。』と、答えた。

 「その金製のティアラ等一式は、他にも銀製の物もあって、ローレル王朝の家宝だよ。」

 ・・・・はあ?

 そのような大それた物を渡すのですか?

 「そのモチーフとなっている物なのだけど、サードリット界での呼び名は『ラスター』というが、オリスト界での呼び名は『ローレル』と、言うんだよね・・・。」

 血の気が引くのがわかった、そのまま気を失ってもいいような感じにまで・・・。

 ローレルとは、現ゼファー聖王家の王朝と同じ名である。

 「相当、聖王スチュアートに気に入られたな。理由を聞こうかフフフッ」

 ブルース叔父様も、青筋の入った顔立ちで微笑みながら言う。

 この2人・・・姉弟だわ。

 本当に、気を失いたいわ。

 ひ弱な女性なら、気を失う事も出来るかもしれないが・・・・

 私は、出来ない分類の人間のようです。

 素直にアスターナイトの事を話したことを言う。

 「ですから、スチュアート様に力を貸して欲しいのです。」

 ・・・・・。

 THE沈黙である。

 予想はしていましたが・・・この雰囲気・・嫌なモノだわ。

 「フフッ・・・フフフフッ」

 「フフフッ・・・フフフフフッ」

 ブルース叔父様が、お母さまの方を見て笑い出すと、お母さまもブルース叔父様を見て笑い出した。

 ・・・さ、寒いです。

 吹雪が私の身体に打ち付けている感じがします。

 ”ダンッ”

 「よくも、アジュガ王朝1300年の極秘事項を易々とじゃべってくれたな・・・。」

 ”ゴクリッ”

 私は、唾を飲み込む。

 押されそうな雰囲気ですが・・・でも・・・。

 「必要と思ったからです。」

 私は、2人に真剣な思いをぶつける。

 「お母さまは必要と思ったから、嫁いだ後もアスターと名乗った、それと同じです。スチュアート様にはアスターのサポートが必要と感じたから話したのです。」

 私が話した後、再び沈黙が訪れる。

 だが、先ほどの感じとは違う寒気より、ずっしりと肩に重みを感じる雰囲気だった。

 どちらにしても、嫌な雰囲気なのには変わりないが・・・。

 「『アスター』と、聖王であるスチュアート様が名をかたる事は絶対に許さない。」

 私は、その事は伝えてあることを言う。

 「ですが、アスターでなくても、アスター家と変わりない対応をさせている一族はいますよね。それを与えて欲しいのです。」

 アジュガナイトの称号を貰っている者の中には、アスターナイトと同じように、本当の名の他にもう一つの名がある者がいる。

 その者たちは、アスターナイトと同じような扱いを受けていて、アジュガスターからの情報も受け取る事が出来る。

 人によっては、アジュガナイトであり、アジュガスターの紋章も持っている者もいる。

 聖宮殿に来る際に付き添っていたコレット、ナターシャ、ドナルドのスグリ一家は、アジュガナイトの称号を持っている。

 私の後宮入りに際して、アジュガスターの紋章を授与されることになった。

 ・・・そして、私が必死に貯めて購入した家を、退職祝いとしてお母さまが彼らに渡したのですよね・・・。

 ・・・チクショーです。嫌な事を思い出してしまいました。

 私の大事な庶民ライフの店!!

 地上2階地下3階建て、地下3階には水車のある家。

 現在、彼らの店兼自宅となる。

 いつ、開店するのかしら・・・私の夢のマイホームを奪ってさー。

 全く、も~!!

 「ティアーナ。先ほど姉さんが嫁いでも、必要だからアスターと名乗ったと言っていたな。」

 ブルース叔父様が口を開いた。

 「では、姉さんとティアーナがアスターと名乗るのを許可するきっかけとなった出来事を覚えているよね。」

 ・・・・忘れたくても、忘れられません。

 しっかり、覚えています。

 「聖国でも同じような事が起きている町がある。スワイベルの町。」

 ・・・情報では聞いている。

 「その町を解決出来たら、スチュアート様にアジュガナイトの称号を与えよう。」

 「メリノ橋の解決ではなく・・・よりによってスワイベルの町ですか?」

 ブルース叔父様は『そうだ。』と、言って来た。

 「カミーユ様と、側近のケネス・ガーデニアも同行するように伝えてくれ。それぐらいは許そう。」

 「・・・・。」

 私は、悲痛な面持ちで伏せていた。

 「ティアーナ、これ以上の妥協は許さない。スチュアート様は、この世界を支える責任ある者だ。その責任をしっかりと持たなくては、世界の人々の希望は無くなるだろう。そうならない為にも妥協は出来ない。」

 ブルース叔父様が、正論と言える正論をとなえた。 

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