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土下座

 ”タッタッタッタッ”

 早く行かなければ!!

 私オルガ・ミムラスは、道を駆け足で目的地を目指す。

 遅れたりしたら・・・叩かれるなどのお仕置きが待っているのかな?

 ・・・嫌だなぁ。

 でも、お母さんの事があるから破格の給料を払ってくれるこの仕事をやめるわけにはいかない。

 特別手当も貰っているのだ。


 私がこれからお仕えする人は、魔女ソフィスの生まれ変わりと言われている人。

 その理由は、彼女の誕生にはいくつかの逸話が残っているから。

 彼女が誕生した時に、創世神ゼファーの妻で光の女神ティアを祀る神殿の窓ガラスが一斉に割れたという事件。

 そして、彼女の母親が彼女を身ごもった時、夫である人は危篤状態で、いつ亡くなってもおかしくない状況だったという事。

 つまり、彼女には不審点が大アリなのだ。


 なのに、魔術レベルを調べるムーリネの鏡には、彼女は属性魔術まで扱える特級レベルだった。

 それは、聖王妃候補として聖宮殿に向かい入れないとならない程。


 聖王が18歳の成人を迎えた昨日から、聖王妃候補が次々と後宮入りをしている。

 そのほとんどが昨日のうちに後宮入りした中で、彼女は今日来ると先ほど連絡があった。

 彼女の姉も聖王妃候補なので、姉に配慮して今日になったのだろうと思い。フランネル屋敷へ先ほど言ってみたら・・・・。

 な、なんと・・・彼女の母親である女王エルミリア様の実家であるウェリーネ屋敷だと聞いて、今現在、必死にウェリーネ屋敷に向かい走っているのだ。

 

 大きな屋敷が見えてきた・・・・。

 だが、この屋敷はエストラーラ屋敷。

 ・・・お、折り返し地点・・・なのね~。


 エストラーラ王家からも、後宮入りした方がいたな。

 クララ・サポナリア=エストラーラ

 17歳の金髪碧眼の可愛らしいお方だ。

 聖王のいとこにあたるお方。

 あんな感じの方がお仕えする方だったらいいのに。

 ・・・無理なのはわかるけどさぁ。

 でも、どんな方なんだろう、魔女の生まれ変わりと言われているのだから、怖い顔をして、暗い顔をして、笑顔も気味悪くて・・・。

 ウェリーネ屋敷へ行きたくない・・・いっそ、ボイコット。

 無理だ。

 殺される・・・家族もろとも。

 もう、仕える決めたのだから諦めなさい私!

 諦め肝心


 私は、急ぎウェリーネ屋敷へと向かう。


 〇 〇 〇 〇 〇 〇


 「ティアーナ様・・それにしても遅いですね。」

 ウェリーネ屋敷に、聖宮殿での侍女となる者を待っているのだ。

 私にだけ、聖宮殿に侍女を連れて行くことが許されなかったのだ。

 まあ、魔女の生まれ変わりと言われていますから仕方がない。

 「フランネル屋敷と勘違いしたのでは?」

 ドナルドが私の前に来ていった。

 私もそれを思っていた事を伝える。

 そして、気長に待とうといった。

 「ナターシャやドナルドそれにコレットとも、当分の間お別れだから、ゆっくり出来るこの時間が嬉しいわ。」

 私は紅茶を手に微笑む。

 そして、みんなの分も持ってくるように伝える。

 

 「遅くぅ・・なりましたぁ・・ティアーナ様!!」

 ”バンッ ダンッ ドンッ”

 メイド服を着た女性が部屋に入ってくるなり、息を切らせ土下座をする。

 頭をしっかりと床にたたきつけるように・・・。

 「あらあら・・治療しないとね。」

 私が言うと、ナターシャは自分がしますと言い、土下座のメイドのところへと行く。

 「あなた様がティアーナ様ですね!」

と、40代のナターシャに向かって土下座のメイドが言った。

 「ゴホンッ・・・私が16歳に見えますか?」

 土下座のメイドのが真っ青になる。

 そして、次に目を付けたコレットに走り寄り、これまた土下座をする。

 「申し訳ございませんティアーナ様!!」

 「私の年齢18歳ね・・・まだ、この部屋にいるでしょう。」

 コレットは土下座の女性の斜め後ろに付き、顔を上げさせる。

 「・・?!」

 驚き見ているのは、なんとドナルドだった。

 「年齢だけでなく、性別まで違うからね。」

 コレットは、彼女の後ろから顔を包み私の方へと向けさせた。

 「・・・・こんな綺麗な人が・・・何より穏やかな感じの人がティアーナ様なんて・・ありえません。」

 なら、私って誰なのかしらね。

 まあ・・・ティアーナでなくてもいいのだけど。

 いっそ、ティアーナの名を捨てたいし・・・捨てる気満々だし・・・。

 いろんな意味で嬉しい事を言うわね。

 コレットと同じ年かしら?

 「始めまして、ティアーナ・クルクマ=フランネルです。」

 私は、彼女の近くまで来て、彼女の目線に合わせて膝を床につけた。

 「お名前を聞いてもよろしいかしら?」

 「オ・・オルガ・ミムラス・・です。」

 ”ドンッ”

 あらら、再びオリガは額を床にたたきつける土下座をしたわ。

 今度は、私が治す番かしらね。

 

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