裏の諸事情
5年前、ウェリーネ国とリンネル国の国境付近の大雨。
その大雨により国境を流れるゴーズ川の氾濫。
だが、事前に住人を避難して町や村を魔術により守った。
それだけでなく、今後氾濫が起きないように川の流れをスムーズにする工事をしたり、村を丸々魔術で移転させたりした黒髪の聖女がいたことをセリーヌ様が説明してくれた。
「その黒髪の聖女と言われている女性ってティアーナ王女の事でしょう。」
・・・・えっと、決めつけですか。
「私、魔女の生まれ変わりと言われている者ですよ。」
「そのように私も思っておりましたわ。でも違いますわ。」
クララ王女は、真剣な眼差しで私を見ている。
「だって、メリノ橋の事もありますからね。私、メリノ橋を通って聖宮殿に入りましたの。」
クララ様は半年前に、メリノ橋が完成されているだろうと思い、メリノ橋を通り聖宮殿に向かおうと思い向かったところ、メリノ橋は完成などされてなかった。
着工ですらされていない雰囲気だったことをクララ様が話す。
「立ち往生していた私の目の前で、橋の崩壊でもぬけの殻になった村の建物を利用して橋が建ったのよ。」
”ビシッ”
と、クララ様は私を指さす。
「橋を建てたのティアーナ王女・・あなたでしょう。」
「幻ではありませんか、メリノ橋は完成などされていませんもの。」
そう、メリノ橋は完成されてなどいない。
「ええ・・・でも、あなたが、メリノ橋を建てたのをこの目で見たのよ。」
「自分にそっくりな人はこの世に3人いると言いますし・・・別人ではありませんか?」
はっきり言おう、只今絶賛ごまかし中である。
半年前にクララ様のいう通りに、もぬけの殻になった町の建物を使いメリノ橋を魔術で建てたのは私である。
だが、メリノ橋は未だに完成されていない。
アスターの情報で再びメリノ橋が崩壊されたと報告が入った。
つまり、メリノ橋を完成されては困る者がいるという事。
まあ、おおよその犯人はわかるのですが・・・、今は泳がせないとならない。
ウェリーネ国で特別に雇っている占星術師が、まだ泳がせておくように伝えてきたから。
「あなたの属性魔法・・・光の属性ではなくって?」
地水火風の属性の他に幻と言われる属性がある。
それが光の属性。
クララ様の王朝であるサポナリア王朝の150年前に、光属性の国王が存在した。
だから、過剰に反応するのだろう。
「魔女の生まれ変わりの私が、光の属性なわけありませんよ。」
私は、クスリと笑いながら答えた。
「では、ティアーナ王女は何属性ですの?」
「・・・私、あまり魔術が好きでなくて・・・属性などわかりません。そういえば、セリーヌ様も、王族となられた事で、属性魔術が使えるとわったとか・・・ご自身の属性はわかりますか?」
セリーヌ様も、不明であることを伝えてくれた。
「相当な魔術を使う機会がなくて・・・剣術なら簡単に披露できるのですが・・・。」
全くだ。
「ですが、私はこの目で見ましたわ。光魔術によって橋が完成されるのを・・・。」
クララ様は、強く言って来た。
でも・・・魔女の生まれ変わりと言われている私が、光属性の魔術士なわけないわ。
「落ち着いてくださいクララ様。」
私はクララ様を落ち着かせようとベンチに座らせようとする。
「落ち着けるわかないわ!」
クララ様は落ち着くどころか興奮しだした。
「ティアーナ姫。ここにいたのか・・・。」
と、バルコニーにカミーユ様が来た。
「会場へ来るといい。」
何だろう・・・。
私は、会場に戻る。
玉座の前に、ウェリーネ国の王であるブルース国王と、私の母であるフランネル国女王のエルミリアがいた。
「ティアーナ王女を後宮にいさせることは、ティアーナ王女の危険につながる。なので安全に過ごしてもらうために、聖宮殿のウェリーネの屋敷にも、ティアーナの部屋を用意してくれ。」
・・・・はあ?
「クククッ」
と、カミーユ様の笑い声が、私の隣から聞こえた。
「これで、簡単に外に出る事ができるし、ティアーナ姫も安全にすごすことが出来る。一石二鳥だ。」
私はカミーユ様の方を振り向く。
カミーユ様はドヤ顔で私を見ていた。




