危険な場所
聖王が成人になり後宮入りの夜会パーティーは3日間となってる。
2日目が終わり、それぞれの部屋に戻る事になりました。
私は、アジュガ王朝の大事なティアラをこのまま、後宮の部屋に着けて帰り、部屋で保管となると危険だと感じています。
他の聖王妃候補たちに、集団で部屋を襲われたらひとたまりもありませんから・・・。
つまり、聖王妃候補たちが戦利品として持ち去られる恐れがあるのです。
この『希望の願い』のティアラだけは、何としてもウェリーネ国に戻さなくてはなりません。
やはり、カミーユ様に預けている物と一緒に、ウェリーネ屋敷に持って行ってもらいましょう。
ああ・・忘れてはいけない物がありました。
今、私が着ているパトリシア様の白いドレスです。
こちらも、洗濯してからお返しせねば・・・。
ウェリーネ屋敷に持って行けば洗濯をしてくれると思われるのですが・・・。
こちらも、後宮へ着て帰るより、カミーユ様の部屋で、やっぶれたドレスに着替えなおした方がよさそうです。
ですが・・・あの片方の胸が丸見えのドレスを着て帰るのは・・・。
そうですわ、ふんだんに薄い布を使っているのです。スカート部分の布を破きストールの様にして、胸元を隠して帰ればいいのです。
正面から帰らなければ、破けているドレスでも着て帰れそうですわ。
これで、大丈夫!
私は、カミーユ様に会い、その旨を伝える。
カミーユ様は、理解をしてくれて、部屋の外に待って貰い、カミーユ様の部屋へとはいる。
急いで、破れたドレスを着ようと手に取る。
スカートの裾を持ち、破こうとして力を少し入れる。
スカートとウエストの分かれ目、布と布が裂けやすい感じがした。
不思議に思い内側を見る。
「・・・っ!?」
縫い目の途中途中で糸が切れていた。
薄い布という事で裂けやすいだけでなく、縫い目も弱かったとは・・・。
私の着替えは、フランネルとウェリーネから来ている。
今持っている破けたドレスはフランネルの物。
・・・・使用人の嫌がらせか。
たまにあるフランネルの使用人からの嫌がらせ。
このドレスを着て、もしスチュアート様がドレスを破かずに会場入りを果たしていたら、途中で肌をさらけ出すことになっていたのかもしれない。
そうなったら、私だけでなく、私の姉であるラフィリアお姉さまも、恥かしい思いをするのに・・・。
私は慎重にスカートの裾から布を割く。
そして、これまた慎重にドレスを着て、割いた布をストールにし胸元を隠した。
・・・うん、何とか着替える事が出来ました。
私は、脱いだ白いドレスを丁寧にたたみ、ウェリーネの屋敷へ運ばれる荷物の一塊に置いた。
・・・・結構な量ですね。
私は、部屋を出る。
部屋を出ると廊下にカミーユ様がいた。
「お部屋を貸して頂き、ありがとうございます。」
破けたドレスに着替えた事に驚くカミーユ様。
「お貸ししてくださった白いドレスは、洗濯してお返しいたします。」
「別に返さなくていいよ。」
私は、そういうわけ何はいかない事を言う。
パトリシア様のドレスを安易に頂くわけにはいかない。
「似合ている者に持っていてもらった方が、姉上も喜ぶと思うけど・・・それにスチュアートも、姫に持っていて欲しいと思うよ。」
ダンス中に言っていたわね。
魔女を制すみたいなことを・・・でも、だから。
「後宮の部屋での保管は危険です。いつ後宮の者たちが襲ってくるかわかりません。」
カミーユ様が真剣な眼差しで私の話を聞いてくれている。
「私の部屋は8つ目の棟です。8つ目の棟には他に誰も住んでいません。つまり、8つ目の棟を破壊しても被害を被るのは、私と侍女のオルガのみ。」
その気になれば、簡単に出来る事。
他にも同じ棟に後宮入りした者が住んでいたなら、ここまで危険とは感じはしなかった。
でも、棟には私一人、それよりか7つ目の棟には住人がいない。
建物の破壊した際に飛ぶ恐れのあるがれきの破片も、7つ目の棟が他の棟を守るような感じとなるため。後宮入りした他の方たちの被害はない。
つまり、やられ放題なのです。
「その様な中で、大事な御物を置いておくわけにはいきません。」
「その様な場所に帰す事事態危険だ!」
スチュアート様の声がして、いきなり私の腕を引き歩いていく。




