やはり・・・ティアラですか。
私は、カミーユ様から渡された白いドレスを着ていた。
シンプルな感じに見えるが、銀糸の刺繍がされていて気品が漂っている服で、大人の女性が着るような感じもするドレスなのだが、腰辺りに薄い生地の大きなリボンがあるため、可愛らしい感じもして若い子が着ても大丈夫なドレス。
流行りに左右されない品のある、幅広い年齢の人が着てよさそうなドレスだった。
姿見鏡で見る。
くるりと一回転・・・そして、逆回転も一回。
うん、素敵なドレスだわ。
・・・・誰が着ていたドレスかしら?
・・・ご自身がご趣味で?
それにしては、丈が違い過ぎますね。
私が当初来ていたドレスは、覆って頂いたマントを脱ぐと、とんでもないことになっていた。
片方の胸が丸出しになっていた。
手でカバーをしていたので、見えてはいないと思うが・・・。
流行りの薄い布をふんだんに使うドレスは、気を付けないとならないわね。
さて・・・会場へいかないとならないわね。
私は、カミーユ様の部屋を出ようとする。
ふと、目につく物があった。
暖炉の上に飾られている絵
「女神ティア」
黄色い鳥を撫でている女性が、描かれていた。
なんとなく絵の感じとして、ステントグラスに描かれた物を描いている絵。
薔薇のフレームが描かれている女神を、より一層女性らしく見える絵となっていた。
珍しいと感じた。
女神ティアの神殿のステントグラスが割れる事件があってから、女神ティアを祀るのを控える傾向がある世の中で、この絵を飾っているのは、それも、ステントグラスの絵を・・・。
私は、その絵を見入ってしまっていた。
”カチャッ”
と、ドアが開き、私は音のした方へ向く。
カミーユ様が何個か箱を持って入って来た。
「ティアーナ様!」
と、カミーユ様の後ろからオルガが入ってくる。
手には、こちらも何個か箱を持っていた。
「わ~・・・わ~・・・。」
と、オルガが私を姿を見ながら、私の周りを一周する。
「断然、素敵です!」
目をキラキラさせて言ってくれた。
「そうだろう・・・。」
ドヤ顔をしているカミーユ様。
私は、少し戸惑いを見せた。
「さて、最後の仕上げをしようかね。」
と、カミーユ様が持っていた箱をテーブルの上に置く。
箱を開けると、そこにはティアラがあった。
そのティアラを私にかざす。
「うん、こっちの方がいいね。」
私は、自分が未成年であることを伝え丁重に断る。
だが、未成年がティアラつけて会場に出ている事や、公式な場所に王族しかティアラを付けてはいけないのに、王族以外にも付けていることをカミーユ様が言って来た。
現在は、そのような決まりごとが緩くなっている事は知っているが・・・。
私は、魔女の生まれ変わりと言われている身。
その事きっかけで、後からいろいろと言われることが億劫なのだが・・。
「せっかく俺が選んだ物なのに、そのように断られると、王族として注意をしないとならないな・・・手短に君の侍女とかに・・・。」
遠慮します。
「わかりました。カミーユ様がお選びになった物を付けさせて頂きます。」
「よろしい。」
カミーユ様は嬉しそうにティアラのほかに、ネックレス、グローブに靴まで、選び渡す。
私の髪型まで、注文を付けてきたので、櫛をかして頂き言われた通りにその髪型にする。
「うん・・・すごくいい。」
ご満悦なカミーユ様だった。
その横で、オルガも満足げに微笑む。
「では、行こうか・・・。」
「オルガは?」
当然、会場にはいかないが、オルガはどうするのでしょうか?
「先ほどはカミーユ様がいたから、安全にここまで、オルガとこの荷物を持って来られたのですが、帰りオルガ一人では後宮に入った途端襲われる確率があります。」
ここにある宝石類は、最終的に国に返さなくてはならない貴重な物もある。
一番貴重なものはこのティアラだからいいのだけど・・・。
基本全部国からの借り物で、盗まれるわけにはいかない。
「そうだったな・・・。」
「後宮に持って行くのも、もう危険かもしれません。」
手ぶらでオルガには帰って貰うしかない。
「なら、ここにずっと、置いておけばいい。」
「それは出来ません・・・後ほど、ウェリーネの屋敷に人を越させますので、渡してください。」
「フランネルではないんだ。」
・・・・痛いところをつかれた。
私は、フランネル国の王宮勤めの方々とは、うまくいっていない。
私が魔女の生まれ変わりと言われる事だけでなく、フランネル国の前王の実の子ではないのではと言われているから・・。
その為、ほとんどフランネルの宮殿にはいなく、どちらかというと、母の実家のウェリーネ国に宮殿にいる事の方が多い。
このティアラもフランネル国の物ではなくウェリーネ国の物。
それも、アジュガ王朝にとって大切なティアラなのである。
一応、ドレスはフランネル産と思ったのだが・・・。
それすらない今・・・私・・・どちらの国の人なのかしら?
疑問視してもOKかしらね。
「ごめん、言い過ぎた。後ほどこちらの物はウェリーネ屋敷に届ける。だから・・・。」
と、カミーユ様は私に手を差し伸べた。
エスコートをしてくれるようだ。
私は、差し伸べた手に自らの手を置く。
そして、カミーユ様の腕に手を回した。
「行ってらっしゃいませ。」
と、オルガに、私は気を付けて部屋に帰る事を伝え、カミーユ様にエスコートをされて会場へと向かう事になった。




