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畏怖

作者: 34

ゲームの前回ログイン7日前。最後のツイートも7日前。通話アプリも7日前からオフラインのまま──


おかしい。


あの几帳面な人がなにも言わず一週間どこにも顔を出さないなんて。

Twitterを開き、その人のプロフィールを表示。そして、「ツイート」から「メディア」へと切り替える。


絵を描くことが趣味だというその人のツイートは、普段から絵の写真が多い。でも、今探しているのはそれじゃない。


景色の写真。出来るだけ家の近くの。



自分は、いわゆる特定厨というやつだ。


特定活動をしているのはこの人と絡むアカウントとは別だし、そのアカウントだってプロフィール欄に「特定厨」なんて書いていない。そういう情報は裏の口コミで広がるものだ。


基本、こんな手は使わないつもりだった。おそらく、FF内の人なら90%は特定出来るだろうと思っていたけれど。


でももう、限界だった。


写真全てを舐めるように見回し、エリアをどんどん絞っていく。参考になる写真を見終えたら、また「全てのツイート」に切り替え、文章からさらに絞りこんでいく。案外、天気の話は参考になるものだ。これだけでかなり絞りこめる。あとは地震の話とか。


ただ、今回家の場所までを特定する決め手になったのは以外なことにその人が描いた絵の写真だった。作業環境が写りこんでいることが多くあり、その情報を繋ぎあわせると、割と簡単だった。


その人の家まで、大体距離は500キロ。住所をメモするとスマホと財布、それにパソコンを持って、車に乗り込んだ。


明日は日曜日。話をしても月曜日には帰りつけるだろう。



メモしていた住所付近に到着した。


コインパーキングに車を止めて、少しだけ仮眠を取り、歩いてその家まで向かう。


家の前まで来ると、異変に気付いた。


おととい、この辺りでは積もるくらいには雪が降った。まだ路地にはわだちが残っているし、あちこちの家の屋根は白く染まったままだ。


この家の玄関は、雪が綺麗に積もっていた。一度も除雪されていないことがすぐに分かった。


足跡をつけながら、ドアの前まで歩く。チャイムを鳴らす。


返事はない。


ドアノブを下げ、引いてみる。


ドアはあっさり開いた。


奥の方から、嗅いだことのない匂いがした。


奥まで進むと、人が机に突っ伏していた。


机の上にはノートパソコン、そして燃え尽きた炭のようなものが入った七輪が置いてあった。


とりあえず、窓を開け、外の空気を吸い込む。


ノートパソコンはエンターキーを押すと、あっさりと画面が点灯した。


開いた画面には、数行の文章が書かれたメモ帳だけが開かれていた。

本気の人間が、本気で物事を達成しているのを見た。

すごいと思ったし、感動した。

でも、怖くなった。

同じ人間だということすら信じられない。

頑張れない自分は、誰にも、自分にも、認められない。

もう会えない。会いたいけど会っちゃいけない。

辛いんだよ。

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