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近づいてくる…

 翌日学園へ行き、馬車を降りると……


「やぁっ、ジュード殿、君は妹のアイリス嬢だね、おはようございます」


「レイ殿おはようございます」


「……おはようございます」


 兄共々挨拶をする


 今日も赤いリップを塗っている。



「アイリス嬢はじめまして。私はレイ・プロッティと言います」


 胸に手を当て挨拶をするレイ。



「はじめまして、アイリス・ルメールと申します」


 挨拶をし終わった後に兄の腕を掴む。何か嫌な予感が……



「レイ殿とは昔馴染みなんだよ」


 アイリスを安心させるようにレイを紹介する。


「そうでしたか」


 兄を見るアイリス




「アイリス、早く教室に行かないと遅刻するよ、入学早々に遅刻はマズイ」


 ジュードに言われこの場を離れられる事にホッとする。


「はい、プロッティ様失礼致します、それではお兄様また帰りに」


 礼をして立ち去る。



「妹に何の用事ですか?」


「偶然会って挨拶をしただけです」


「そうでしたか、それは失礼しました。妹は人見知りなもので……」


「それは失礼しました、それでは()()


 レイは確かエヴァン王子の側近候補で一緒に行動をしている事が多い……


 やっぱり、ばれたか……アイリスを近づけてはダメだ




「エヴァン、おはよう」


「あぁおはよう、どうだった?」


「兄のジュード殿と話をしているが、何か隠していそうだなぁ」


「アイリス嬢は?」


「可愛い顔をしているな、さっき自己紹介は済ませた」


「……まだ話が出来ないのか?」


「順序というものがあるだろう?」


「時間がないんだ……」


 王太子になるまであと一年、婚約者も決めなくてはならない。


「分かったよ、任せておけ」


 学園に通う令嬢達は皆ウェーブヘアーに薄ら笑いを浮かべている。

 エヴァンがウェーブヘアーで笑顔が可愛い子が好きだと言ったから。

 派手な化粧も好きでは無いと言ったので、皆薄い化粧をしているようだ。


 その中で金髪でストレートヘアーで赤いリップ、グレイの瞳のアイリスは目立つ。



 ランチタイムにアイリスが食堂に行くと人がたくさんいた。

 …うわぁ人がたくさんいる、どうしよう……



 キョロキョロと席を探すも空いている席がない。テイクアウトをして、外で食べようととりあえず、列に並ぶ事にした。

 サンドイッチと食後のデザート、飲み物を買って袋に入れ、早くこの場から離れようと出口へと向かう。



「あれ? アイリス嬢じゃないか?」


 声をかけられたので振り向くと、今朝挨拶をしたレイがいた。


「こんにちは……」


 挨拶をするアイリス



「どうしたの? 一人?」


「はい、人が多いので外へ行こうと思っています」


 アイリスが答えると


「今日は日差しが強いよ? こっちにおいで、席があるよ」


 にこりと笑うレイ



「その様なご迷惑をかけられません、わたくしは大丈夫ですので、失礼致します」


 ……兄に知らない人について行くな、話しかけるなと注意をされている。



「おいでよ、限定のスイーツもあるんだよ?」


 ……お菓子をくれる人について行ってはダメと父に注意されている。


 危険な人だ! アイリスは思った。


「お気持ちだけで……その、失礼します」



 脱兎の如く逃げ出した!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「悪い、逃げられたよ」


 レイが悪びれもなくエヴァンに報告する。


「茶会がある、それに呼んでくれ」


「オッケー!」



 授業が終わり馬車止めに向かう途中だった。


「アイリス嬢、よく会うね」


 レイに声を掛けられる。


「こんにちは」


 ペコリと頭を下げるアイリス。



「これも何かの縁かな? 良かったらさ、今度王宮でお茶会があるんだけどアイリス嬢も来ない?」


 壁にアイリスを追いやる。逃亡の恐れがある為だ。



「兄に聞いてみませんと」


 ジリジリと逃げの姿勢に入る……


「話をしておくよ、ジュード殿と一緒に来たら良いよ」


「わたくしの様な田舎者……」


「アイリス嬢に来て欲しいんだ、学園の行事なんだよ?みんな来るからね! おいで、招待状が届くはずだから」


 ばちんっとウィンクをされた。



 馬車止めに行くと兄がすでに待っていた。


「遅かったね、どうかした?」


 かくかくしかじかと今あったことを話した。


「断れないのか……はぁ」


「お兄様どうしましょう……」


「行くしかないだろね」



 その後招待状が届いた。




 週末お茶会の為、王宮へと向かう二人。


「知らない人についていかない事! お菓子に釣られない事!」


 ジュードからの注意事項を聞き。


「はいっ」


 と返事をする。



 案内された席に着くと兄と席が離れていた。


 お兄様ぁ……心の中で叫ぶアイリス。



 同じ席には同じクラスの令嬢がいたのでホッとした。同じく伯爵家の令嬢でジャスミンと言った、話をする内に仲良くなれた。王都に来て初めて出来た友達だ。



 ジャスミンとの話に夢中で気がつかなかった。背後からやってくる影に……



「やぁ、楽しんでいる?」


 にこりと笑いかけるエヴァン・エクトル・ラ・シャルトルーズ殿下その人だ。


「まぁ殿下から声をかけていただけるなんて……」


 頬をピンクに染めるジャスミン



「君は初めてだよね?」


「はい、申し遅れました、わたくしはアイリス・ルメールと申します」


 淑女の礼をする。



「ルメール伯爵のご令嬢?」


「そうでございます」



「お茶会は初めてだよね? 少し座って話をしよう」


 従者に指示をするエヴァン、席を用意され二人で話す事になった。


 ……どうしようと下を向くアイリス



「王宮へは初めてくるの?」


「はい、恐らく」


「そう? 君に似た子に幼いころ会った事があるんだけどな? 覚えていない?」


「申し訳ございません」


「……このハンカチは君の?」


 エヴァンがポケットからハンカチを取り出す。


「あっ!」


 両手で口を押さえる



「どうした?」


「いいえ、似たものを持っていた様な気がして……」


「君のではないの?」


「はい、恐らく」


「そうか、分かったよ」



「あの、皆さんの視線がとても気になりますので、わたくし、」


「あぁ無視していいよ、みんな同じ髪型、同じ顔に見えて誰が誰だか分からない」


 ザワっとする会場……


「君はすぐ見分けがついて良いね」


 笑いかけるエヴァン。




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