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リュカの王冠

なぜ子供にこんな物を与えているんだ? 意味がわからん」


「王様ごっこをする為らしいですわ」


「王様ごっこねぇ……」



 小さい王冠だが、本家とも勝らない精巧な作り。そっとそれを手に取りアイリスはエヴァンの頭にそっと乗せた。


「やっぱりエヴァンには王冠の方が似合います。国の将来を考えている時のエヴァンはかっこいいですもの。わたくしったら恥ずかしいです。あんな小さな子にヤキモチを妬いてしまって」


 しゅんと肩を落とすアイリスの頬や額にキスを落としエヴァンは言う。


「嬉しいよ。私は#自分の息子__リュカ__#にさえヤキモチを妬く夫だ。アイリスが私を置いてリュカと出て行くなんて許せなかったよ。しかし今回は許そう」



 え? 珍しい! 大人しく引き下がったわ! アイリスはとても驚いていたが心の中で留めておいた



「アイリスには逃げ癖があったのをすっかりと忘れていた」


「……あの時は、」


「次はないから」


「…………」


「アイリスが私を置いて出て行こうとするなら、出ていけない様にすれば良いだけだ」



 怖い。目が笑ってないのにすごく笑っている。



「エヴァン様が誤解を受ける様な事をしなければ良いのですわっ」


「そうだね。アイリスは私のことに関しては心が狭いからね。それだけ愛されていると言うことだろう」



 すぴすぴと寝息を立てるリュカを見てエヴァンが言った。



「そろそろ晩餐か。サイラスも心配しているだろうから皆で晩餐をしよう」


 珍しくその日は陛下も王妃もサイラスも揃った。



「サイラス、さっきは悪かったな、誤解は解けたぞ」

「サイラス殿下、申し訳ございませんでした」



 エヴァンとアイリスがサイラスに謝罪をしてきた。それをもちろん受け入れるサイラス。もう慣れた光景だったし、この二人は仲直りするとかならず報告をしてくる。



「良かったです……本当に良かったですよ」


 サイラスは心の底からほっとしていた。どこからどう見ても愛し合っているのに、たまに歯車がズレるとこんな事になるのだ。



「最近、甘い物を口にしていなかったせいか、些細なことで落ち込んだり気になったり、泣きたくなったりして感情が抑えきれない時があって……皆さんに迷惑をかけてしまいました」


「アイリスちゃん、最近甘いものって言ったけど、あなた随分と口にしていなかったわよね?」


 アイリス担当のパティシエは暇になったので、国内でお菓子の材料を探しに旅に出るくらいだ。


「そうですね。この頃お茶会もしていませんし、そう言えばお肉を見てると込み上げてきたりして……」


 アイリスは最近肉より魚を選んでいる。生臭いものは遠慮していた。



「やっぱりか……アイリス、なぜそれをもっと早く言ってくれなかったんだい?」



「エヴァン様?」



「医師を呼んでくれ!」



 晩餐途中で退席するエヴァンとアイリス。王妃は勘付いた。



「まぁ! そう言うこと? それなら仕方がないわよ!」



「「? ?」」


 陛下とサイラスはわからない様子。


「ふふっ。すぐに分かるわよ」






 その後アイリスのお腹に第二子がいると言う事が判明。



「アイリス、身体を大事にしてくれ」


「驚きましたわ」



 きょとんとするアイリス。身に覚えがないわけではないが、まだ実感が湧かない。


「リュカになんて説明をするかだけど、お腹が目立ってきてからにしよう」


 家族が増えるという説明はエヴァンがするそうだ。



「だからあんな些細なことで、怒ってしまったのですね。恥ずかしいです」



「些細なことではない。子供とはいえ、これからは気をつける。あの年代の女の子は男よりませているからな」



 孤児院で子供達を見て思ったらしい。エヴァンが子供に興味を持つ様になるとは……と王妃は思った様だ。



「今日はアイリスちゃんとの定例のお茶会ですがなぜエヴァンもいるのですか?」


 体に良さそうなハーブティーを飲むアイリス。


「心配だからですよ。まだ安定期に入っていませんからね」


 王妃は呆れているが、最近は少しエヴァンを見直している。


「貴方、最近アイリスちゃんとリュカと三人で寝ているんですって?」



 それをエヴァンから言い出したと聞いた時は驚いた。アイリスとの時間を大事にするエヴァンだから。



「えぇ、そうです」


「まぁ。それは良いことね! どういった心境の変化なの?」



「あぁ、それはですね。アイリスとの間に子が出来たと分かって、アイリスが更に輝いているではありませんか」


「そうね。皆が幸せになっているわ


 うんうん。と頷く王妃。


「夜にアイリスと二人きりだと、手を出してしまいそうになるんですよ……可愛いアイリスの顔を見ていたら我慢ができなくなります。そこでリュカがいると落ち着くのですよ。リュカは私にそっくりなんで、ストッパー的な存在です」



「エヴァン様っ!」



「実際そうなんだから仕方がない。アイリスは自分の寝顔がどれだけ可愛いか破壊力があるか理解していないのだろう」




「エヴァン、執務に戻りなさい。レイを呼びますよ」


 呼ばなくてもそろそろ迎えにきそうな気もするが……困ったエヴァンだがレイの言う事は大体受け入れる。


 

「母上アイリスに無理させないでくださいよ」



 無理どころか、本当の娘の様に接している王妃だ。息子よりも可愛いとすら思っているし感謝もしている。孫のリュカは子供らしくて可愛いし懐いてくれてエヴァンの子供の時とは違う。



 

 何がそうさせたから全く分からないけれど、面倒な性格のエヴァンを見てしみじみと思った。




「エヴァンが成長したみたいで良かった? わ。アイリスちゃんありがとうね」





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