お花の冠
花が咲き誇る春の日
女の子が庭の片隅で花の冠を作っていた。
青い花をぷちぷちとむしり
「こんなものかなぁ?」
女の子が作っている歪な冠を見て笑ってしまった。私より年齢は下に見える。
「なんでわらうの!」
笑い声に気が付いた女の子は振り返り、頬を膨らませ抗議をしてくる。
白い肌にピンクの頬、金色の髪をポニーテールに結い上げウェーブがかかった柔らかそうな髪の毛、透き通るようなグレイの瞳だ。
一生懸命に作っただろうその冠
「下手くそだな……」
つい本音を漏らす。
更にぷくっと頬を膨らませ
「意地悪言わないで作ってみて!難しいんだからっ」
……なんで私が、子守をせなばならん!
近道をしようと思って、たまたま通っただけなのに……
「はぁ、すこしだけだぞ……」
女の子に似合いそうなピンクの花と、冠を作るにあたり編めそうなグリーンの葉を土台に選び、見様見真似で冠を作った。
「わぁ!上手っ」
女の子は喜び顔を綻ばせた。
陽射しを浴びて笑うその顔は、とても可愛くて印象に残った……
「ほら、」
そう言って女の子の頭に花の冠を載せてやる。
まるで花の妖精のような愛らしさだった。
「はい!」
女の子が作った歪な冠を頭に載せられた。
なんとも言えない顔をしたのだろう。
「綺麗なお顔しているからお花が似合うね、お兄ちゃんの青い瞳の色とおなじ!」
「男に花が似合うなぞ……」
「うーん、でもお花より王様が付けるようなキラキラした冠の方がにあいそう!」
にこっと笑う女の子
可愛いな、どこの子だろう……服装からしても上位の貴族である事が窺える。
「おい、おまえ、名前」
『………ちゃーんどこにいるの?』
「あっ!ママが呼んでる、行かなきゃ、じゃあね、お兄ちゃん!」
声のする方へと走り出していく女の子
「ママー」
頭を下げ侍女が女の子の後を追いかけていく
「おいっ、」
名前も言わずに行ってしまった。
可愛い子だったな、どこの誰なんだろう……
王宮に来るくらいだ、また会えるだろう。
その時は簡単に思っていた。