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第28話 少しだけ安心できるここ

お久しぶりですぅ。


「うーん……」


外から差し込む眩しい光。その光から顔をそむけようとしたが、なぜか体が動かない。最悪、何かの途中で寝落ちしたのかしら。でもまだ眠いからこのまま寝ちゃっていい――


「陛下!!」


だん、大きな音がして、私の飛びかけていた意識は一気に浮上した。そして、やっと思い出したのだ。そうだ。私、昨日陛下に押し倒されたまま眠ってたんだったわ!声の方向を見れば、はあはあと肩で息をしながら壁に拳をおいている樟石さん。


「ん……樟石か……?」


まだ半分寝ていると言ったところだろうか。陛下は目を開かず、きゅっと眉間にしわを寄せた。


「昨日は夜遅くまで飲んでいたのだ……片付けならばほとんど終わったし……少しくらい……」


「いつまで寝ぼけていらっしゃるおつもりで!? そこに! 陛下の下に! いらっしゃるのはどなたですか!!」


「何のことだ……?」


陛下がゆっくりと目を開く。まつ毛長いわね、羨ましい。そしてその瞳がまっすぐに私のことを射抜いて……


「り、鈴華!?」


大きな声で私の名前を呼んで、彼はがばりと飛び起きた。が、二日酔いか何かだろうか? ぐ、と悲痛な表情を浮かべて頭をおさえると、陛下は再び私の方へと倒れこんできた。


「ど、どういうことだ? なぜ私は……」


「こちらの台詞です陛下! 朝から陛下を訪ねてもいないと言われ、世間をごまかすためにお妃様のお部屋にとまっていらっしゃるのかと思って覗けばこのありさま! また寝ぼけてお妃様の上で寝落ちましたね!?」


完璧な推理です樟石さん。純粋にすごいと思ったので、私は心の中で拍手を贈っておいた。ほんとは実際にやりたかったんだけどさ。陛下が私の上から退いてくれないんだもの。


「あ、あのー、陛下、もしよろしければなんですけど上から退いていただけると大変助かってですね、はい。あの……」


どういったらいいのか分からなくて、ははは、と乾いた笑いを浮かべながら陛下に問いかければ、彼ははっとした表情を見せて慌てて寝台から降りた。はー、なんて解放感。今にも踊りだしたい気分だわ!


「す、すまない。そなたがきてすぐのころにもやったのに、また同じ失態をしでかすなど……」


「い、いえきにしないでください! 昨日はずいぶん酔ってらっしゃったみたいですし……」


前のときも寝ぼけてただけだから責めるつもりは毛頭ないんだけど。でも陛下は、すご怖いこと言ってくるくせにこういうところには変な責任感を感じる人なので、がばりと私に対して頭を下げた。


「こんな大の男に乗られたままなどさぞかし重かっただろう。本当に申し訳ない」


「私は大丈夫ですから頭を上げてください……」


どうしよう、わたしこれで通算二回もこんな大国の王から全力で謝られてる……自慢してもいいんじゃない?この人そう簡単には謝らなさそうなのに私にはこんなに簡単に頭を下げるんだもの。小娘相手にいいのかなとは思うけど。


「そなたはいつも寛大だな……私は鈴華に救われてばかりだ」


私が寛大!! 人生で初めて言われた!! 私に見合わない言葉が陛下の口から飛び出したので、思わず私はその場で固まる。だってそんな、私大したことしてないのに……救われてばかり、って、一度も見に覚えがないんだけど……


「……陛下のほうが、私のこと救ってくださってると思いますけど」


私はそうぽつりと呟いた。昨日だってそうだった。私は陛下に、殺されかかったこところを何度も救われている。気がする。私以外誰もいない後宮なのに、いつも誰かと戦っている気分で落ち着かない。でも。


「陛下がいらっしゃると安心できる、ようにはなってきた気がします……」


あなたがいると少しだけホッとするの。この場所が私の居場所になり始めている証拠かな。


「鈴華……」


「いい感じの雰囲気の中申し訳ありませんが陛下、後始末が残っておりますので一刻も早く着替えて仕事に言ってくださいこの忙しいときに……暇な日なんてないんですよ、問題は山積みです」


あ、樟石さんが怒った。へいか、ちゃんと仕事行ったほうがいいよ。


「しかたないな……」


「仕方ないではありません」


私的にはここで漫才やってないで早く行ったほうがいいんじゃないかと思うんだけど。


「では失礼しますねお妃様ははははは」


乾いた笑顔を浮かべて、樟石さんは陛下を連れて仕事に向かっていった。が、頑張ってくださいねー……完全に二人を見送ってから私は寝台に座り込む。。


「ここが、私の居場所……」


もちろん紅蘭国にも私の場所というのは存在した。だってあそこの諸々の指揮は私が取ってるんだもの。お母様はもういないし、側妃もいなかったから後宮の管理者は私。でもここに嫁いできてからはたかだか薄紅蘭の姫と嫌な目を向けられることが多かった。そんなこの陛下の、白蓮華の後宮に、わたしの居場所はできるのだろうか。


「……新しく誰かが後宮に入ってこない限り、もう少し落ち着けるのかな……」


まあそう簡単には行かないのが後宮ってところだよね……うん……

ちょっと精神面が不安定だったのでおやすみしておりましたが連載再開します!どうぞこれからもよろしくお願いいたします

次の更新予定日は六月九日です!

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