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第27話 どうして私はいつもこういう目に合うのか

「終わったあああ!!」


夜も更けたころ。宴は終わり、ある程度の片づけを終えて、私は自分の部屋に戻ってきていた。陛下はもうちょっと後処理をやるみたい。大変そう。髪飾りを外せば、ずいぶん頭が軽くなった。これのせいで明日の肩こりは免れなさそうだわ。


「にしてもみんな、お酒飲みすぎなんじゃあないかしら? ふらついてた方や寝てしまった方も多かったし……やっぱりこういうところだと我慢がきかないのかなあ……」


というか、陛下はすごいと思う。なぜかというとすごい勢いでお酒を飲んでいたのに、全く酔ったそぶりを見せなかったから。お酒強いのね。私は飲めないから普通のお茶だったけど。あまりに疲れたのでぼふんと寝台に寝転がると、そばから花の香りが香る。いい匂い。それから、私は自分をもう一度見て飛び起きた。


「あああ! 衣装着たままじゃない!!」


「まあお妃様、何をやっていらっしゃいますの?」


あまりに大きな声を出したので心配して玉蘭が来てしまいました。ごめんね玉蘭。


「ううん、何でもないの。ただ衣装を着たまま寝台に転がってしまっただけ」


「お気になさる必要はありませんわ。それに後で陛下もいらっしゃいますから脱ぐのはお待ちになってくださいませ」


そんなこと言われたって気になるわ! じゃあなくって。玉蘭あなた今なんて言ったの? 陛下が? ここにいらっしゃるですって!? お忙しいから今日はいらっしゃらないわよね、気が楽なんていってた私はいったいどうなるのよ!


「ここで唯一の妃の部屋に忙しいからなどという理由で訪れなければ変な勘ぐりをされますわ。今日あれだけお膝を独占されておりましたのに。注目の的ですわよ?」


「最悪よ! べつにあれだって私が言い出したんじゃないもの!」


うえーん、泣きそう。大体こういう時は美女が誘惑した、みたいなこと言われるし、これでも肩書の一つは傾国の美姫。そういうふうに思ってくる人も少なくない。本当に一人一人に訂正して回りたい気分だ。私は美女でも何でもないただのそこら辺にいる平凡な女よって。


「何の話をしている?」


「うわああ!」


後ろから突然話しかけられたので、私は思わず声を上げてしまった。落ち着くのよ鈴華。姫らしく姫らしく。


「くくく、そなたはいつも話しかければ面白い反応をするな」


笑われたので今日はもうおしまいです。そんな風に笑っている陛下にだって、かなり非があると私は思う。だって普通いきなり背後に立たれて話しかけられたら、びっくりするでしょう? 私は超人じゃないから気配を察知できないの! ほんと! 勘弁してくれないかしら!?


「陛下が驚かすからいけないんです!」


必死に反論すれば、彼は更に面白いものを見るような目を向けてくる。


「やはり、あんな場より鈴華と二人でいる方がずいぶん楽しいようだ。世に出したのは間違いだったな」


「はい?」


何を言ってらっしゃるんでしょうか。ご説明を……と、彼の顔を見上げたとたん、私は金縛りにあったように動けなくなってしまった。その瞳が、私をまっすぐに貫いている。


「へ、陛……下……?」


なになになに!? 何か言ってよ! すべてを見透かされているようで怖くなって、私はじり、と後ろに下がる。でも後ろには寝台があって、これ以上は下がれない。どうしよう、玉蘭助けて! そう思って室内を見回せば、そこにはもう彼女の姿はなかった。どうしてなのよ!! 今過去で一番ピンチだわ!


「陛、」


どさりと大きな音がする。本格的にまずい。ふざけてたわけじゃあないけれど、これはつっこみ入れている場合ではない。陛下はかなり長身で、剣術にたけているせいか体格もいい。そんな人に私は今、押し倒されている。勝てるはずがないのだ。


「鈴華……」


耳元で囁くようにそう言われて、私は思わず身をよじった。その綺麗な顔がどんどん私に近づいてきて……そして、がくんと落ちた。


「ん?」


ん? 一体何が? おそるおそる、体を起こして陛下の顔を覗く。すると。


「んー……」


「って寝てるし!!」


いや寝たの!? この状況で!? 私これ既視感あるわよ!?!? ずいぶんお酒を飲んでいたからまさかとは思っていたが、やっぱり酔っていたらしい。お酒に強いわけじゃなくて後から来るとか、そういう類ね!? それはいいんだけど。


「こんなにしっかり体重乗せられてたら重くて仕方がないわ!!」


重いんですけど! 今すぐ退いてほしいんですけど! 樟石さんか女官に行って引っぺがしてもらいたいところだけど、あいにく私は身動きが取れない。陛下、本当に私の上で寝ぼけるわね。こっちの身にもなって!? でも気持ちよさそうに熟睡している陛下に、その言葉は届かない。


「うう……」


最悪、と呟きながら、私は渋々陛下の下に潜り込む。う、息しづらいし目の前に美しすぎるご尊顔があって気が散るけど仕方がないわ。意を決して、私は目を閉じる。途中で陛下が寝返りでもうって上から退いてくれますように。そう願って、私はそっと眠りについた。

おやデジャヴ。

次の更新予定日は一月二十八日です!

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