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第20話 平和?な職場で何よりです

お久しぶりです。忙しくて更新できてなくてごめんね

「さあて、おなかも膨れましたから帰りましょうか」


ぱしんと一つ手を叩いてにっこりと笑った玉蘭に、私は若干顔を引きつらせながらも頷く。そうね、あんまり夜更かしするのもいけないもの。


「玉蘭殿の屋敷はここですがね」


確かに。ここ葉家だもん。思いっきり玉蘭の家じゃない。すると、玉蘭はあらあらと首を振った。


「陛下たちを無事送り届けられなければわたくしの面子は丸つぶれですわ。もちろんついて行くに決まっているではありませんか」


にっこり笑っているが圧がすごい。仕方がないので私たち三人は、玉蘭と一緒に帰ることになった。



「……おはようございます」


次の日の朝。随分夜更かししてしまって、しかも深夜にお菓子まで食べてしまったので眠気覚ましにと体操をしていたら、朝の会議から帰って来た陛下に見つかった。おっ、おつかれ私~!!


「鈴華はいつも不思議な動きをしているな」


「気持ちがいいですよ。陛下もお試しになられますか」


にこにこと笑顔で話しているが、心の中は全く笑顔ではない。なんでこの人いつも私がこういうことやってる時に来るんだ。


「考えておこう。それと、今朝宴の話をしてきた。かなり不満はあったがこればかりは仕方がないだろう。月華たちの親たちにさせると碌なものじゃない」


心労が絶えなさそうで心配ね。一緒に体操する? 気が晴れるかもよ。


「月華さんはいらっしゃってたんですか?」


昨日あれだけ仕事に来いと言われていた彼を思い出し、私は陛下に尋ねた。すると彼は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。


「来ていたぞ。来てはいたんだがな」


来てたならいいじゃない。どこにそんな顔をする要素が? 全く分からなくて首を傾げる。すると陛下はため息をついた。


「それはもう帰りたそうな顔で帰りたい、帰ろう、帰りますと言ってくるので元気よく青鋭と喧嘩をしていた」


途中でこらえきれなくなったのか、陛下はふき出す。


「あまりにも流れるように帰ることを決断するから、ふは、思わずその場で吹き出してしまって、ふ、」


こわあ~い陛下の印象が見事に崩れるわね、そんなことしたら。そう思いつつ、肩を震わせて笑う陛下は意外と可愛い。冷酷王に怯えてたちょっと前の私が笑えちゃうわ。


「で、結局お帰りになられたんですか?」


なんだか可笑しくなってしまって、自分もくすくすと笑いながら彼に尋ねると、彼は首を横に振った。


「いや、そのあと玉蘭が間に割って入ってな、圧を感じる微笑みで『お兄様、わたくしとのお約束はもうお忘れに?』と言われた瞬間月華は冷や汗を流しながら張り付けたような笑顔で仕事を始めたぞ。あれは傑作だった」


最近玉蘭が分からない。因みに玉蘭は隠密の姿で人前に出るとき――滅多にないらしいが、覆面をしているから誰か分からないらしい。だが今回は、葉家と董家の息子が言い合いをしており、それをそばで見ている陛下が必死に笑いをこらえているという地獄絵図なので誰もその部屋に寄りつかなかっただろう。想像すると面白すぎて涙が出てくる。


「ちなみに樟石はその様子を見ながら諦めた顔をしていたぞ」


「樟石さんのこともいたわってあげてくださいよ……」


苦笑しつつそう言うと、陛下が至極真面目そうな顔をしてきた。


「だめだ、あいつに仕事を休ませようとすると、暇を持て余し五分とたたずに休みなら自分の好きなことをしてもいいのですよね? 仕事をします書類を下さいと言ってきてな。なぜあそこまで退屈な机仕事に向かっていられるのか訳が分からん」


樟石さん??? あなた本当に仕事人間ね??? せっかくもらった休みを仕事して過ごそうという発想に驚きだ。ちょっとは休まないと体を壊すわよ。


「運動の一つや二つすればいいものを、あいつは根っからの文人で全くでな。一度剣を握らせてみたことがあったのだがまるで振り回せないと。あの玉蘭でさえ大量の暗器を服の中に仕込んでいるというのに笑えてくる」


驚いた。ええ、それはもう。玉蘭、あなた一体何者なのよ!! 樟石さんも驚いた。でも明らかに、引き合いに出された玉蘭が異常すぎる。本当に大臣家の令嬢なのか、思わず疑ってしまうほどだ。


「、そろそろ行かねばなるまいな。鈴華と話をしていると予想の斜め上が帰ってくるのだから面白いのだが。樟石にねちねちと嫌がらせをされるのだけは避けたい」


ふにゃふにゃとしていた顔が、急に冷酷王の顔に変わる。何よ、私と話していると予想の斜め上の返答が帰ってくるって。さりげなく私のこと笑いものにしてるわね? というか、国王なのに側近からの嫌がらせが嫌で仕事に行くってどうかと思う。うん。


「まあ頑張ってきてくださいね」


そんな本音は心の奥底にしまっておいて、私はにっこり笑顔を浮かべると陛下にそう言った。


「ああ。行ってくる、我が妃よ」


私を見下すようにそう告げた彼は、もう先程の面影はなく、すっかり世間の印象通りの残酷な王の顔をしていた。まあいいんじゃないの? 顔はいいんだし、ちょっと見下されるのが癪に障るけど。どうせ本心じゃあないだろうから。

本日よりこちらの作品も連載再開いたします♪

次の更新予定日は十月二十一日です。

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