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インミシベルな玩具〜暗殺者として育った俺が普通の高校生に〜  作者: 涼月風
第4章

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第77話 日曜日は繁忙(4)




ラクーダ・ガーデンステージの前にいる俺は、あまりに人が溢れているので驚いている。


「どうしたの?これ」


1ばん驚いているのは蓼科さんだ。

ステージがある場所は一般にも開放されている。

向かいの通りには、店舗が並んでいるからそのお客さんだとも考えられるが、昼間から手にペンライトを持ち、高そうなカメラをぶら下げている男性は違うと思う。


「ちびっ子達、凄い人気ですね」

「待って、待って、そんなに宣伝してないわよ。田中ちゃんが『つぶったー』に書き込んでただけだし」

「でも、どう見てもあの格好はファンですよね」

「そうよね〜〜今の日本の男はロリコンだらけになってしまったのかしら。私が結婚できないわけだ……」


自虐ネタを会話に入れられたら、返答できない……


「これじゃあ、会場整理しないと混乱しちゃうわ。来るのはどうせ5、6人ぐらいしか来ないと思ってなかったからスタッフ用意してないのよね〜〜」


会場脇には簡易テントが張られており、そこでグッズの販売をしてる。


「販売の人を回せばどうですか?」

「無理よ。向こうもてんやわんやよ。それで……東藤君、頼むね」

「えっ、俺ですか?」

「そう、だって他に人いないもの。じゃあ、私、みんなの様子見てくるからお願いね〜〜」


そう言って去って行く蓼科さん。

あの人に人徳がないのがよくわかる。


さて、どうするか……


そう悩んでいる時、見たことのある男子3人がこちらに向かって歩いてくる。


「おーーここだ、ここだ。ここで『苺パフェ8』のコンサートやるんだ」

「みんな可愛いんだろう?将来に期待できるな」

「そういうグループがあるのか……」


ヤバい……依にも寄ってあいつら、コンサート見る気かよ。


これでは表立って人員整理ができない。

俺は、裏手に回って思考を巡らす。


すると、目の前には、前にショーで使ってたと思われるウサギの着ぐるみが置いてある。


これだ!!


俺は、その着ぐるみを着て人員整理を始めた。





「押さないで下さい。グッズの販売はあちらのテントでしております。

前の方は後ろの方の邪魔にならないように腰掛けて下さい」


ウサギのぬいぐるみを着ての人員整理はとにかく『暑い』の一言だ。

30度越えをしてる今日の天気では、熱中症になって下さいと言われてるようなものだ。


「そこは、店舗の邪魔になりますから、避けて下さい。皆様ご協力お願いしま〜〜す」


店舗前でも平気でたむろする若者達。

店の人が睨んでいた。


立花達は、座る席には付けなかったようだが、前の方の見やすい位置に陣取っていた。

手にはグッズを買い込んでいる。

立花が新井と南沢の持ってるグッズばかり見ているのは、気にしないでおこう。


忙しなく人員整理をしていると声をかけられた。


「すみません、ウサギさん。邪魔にならないところはありますか?」


俺はその声の持ち主を見る。


「あ、ローズさん、来てくれたんですね」

「え〜〜と、もしかして東藤さん?」

「はい、そうです。控室に案内しますよ」

「でも……」


そう言うとローズさんが腰掛けてる車椅子を押しておる若い男性とその隣には中年の男女が立っていた。


「もしかしてご家族ですか?」

「はい、私の両親と主人です」

「え〜〜〜!!!ローズさん、結婚してたんですか?知りませんでした。じゃあ、皆さんもどうぞこちらです」


するとローズさんのお父さんらしき人物が、


「大人数で邪魔じゃないかね?」

「ええ、大丈夫ですよ。ローズさんの身内の方なら大歓迎です」


俺はローズさん一家をスタッフの控室に案内する。

蓼科さんは名刺を差し出していた。

ローズさんと電話では話したことがあるが、会うのは初めてだからだ。


俺も着ぐるみから顔を出して挨拶する。

すると、ローズさんの旦那さんが、俺に


「君は、東藤君と言ったね。君は鉄オタだろう?」

「その鉄オタとは何ですか?」

「あ〜〜そうか、残念だ。鉄オタでは無かったか……」


するとローズさんが、


「主人がごめんなさいね。東藤君の雰囲気が鉄道に詳しい人に見えたみないなの。許してあげてね」

「鉄道は好きですけど、そんなに詳しいわけではありません。鉄オタとは違うと思います」


「じゃあ、今度僕が教えてあげるよ。鉄道はいいよ。特にね……」

「康介さん、お話はそれまでよ。東藤君が困ってるわ」

「ああ、そうか、すまない。少し取り乱したようだ」

「私の父が駅長なんです。康介さんはその部下なんですけど、列車が好きすぎてこんな風になってしまうんです。悪気は無いので許して下さいね」

「ええ、問題はありませんよ。専門知識を持つ方は尊敬出来ますしね」


「東藤君は鉄道は乗る方がいいかい、それとも見る方かい?まさか時刻表とか好きかな?グッズもいいけど払い下げ品は高いからね。模型の方がおすすめだよ」


鉄オタにもいろいろあるらしい……


「では、時間がある時にでもご指導下さい」

「うん、うん、わかった。君は見所があるよ。うん」


ローズさんのご主人は少し変わったところがあるがとても良い人だった。

自分の趣味があるから、相手の趣味にも寛容なのだろう。

でも、ローズさんはもうプロだ。素人では無い。


ローズさん達と話込んでいると、蓼科さんがやってきて俺に戻れと言う。

確かに会場が更に騒がしくなってきた。




俺はウサギを被って会場に戻る。

人は溢れる程、混んでいる。


「押さないで下さいね〜〜」そこ、はみ出てますよ〜〜、線の内側には入らないで下さい」


これ、1人じゃ無理じゃね?


俺は汗びっしょりになりながら、人員整理をしてるとまた、見知った人物に出会した。


「あ、ここだよ。穂乃果ちゃんの妹さんのカノカちゃんがコンサートするところ」


いつもの地味子では無い、神崎陽奈だ。

その隣には穂乃果もいる。

そして後ろから神崎兄もいた。


「随分、混んでいるんだな」

「カノカちゃん、人気があるんだね」

「そんな話は聞いておりません」


穂乃果が仲良さそうに神崎と話してるのを見てると、少しホッとした。

俺は、彼女にはできるだけ、普通の生活を送ってほしいと思っている。


顔ではわからないが楽しそうな穂乃果がウサギ姿の俺を見ている。

そして、トコトコと近づいて来て


「東藤殿でありますな?」


なんでわかるんだ?こいつ……


「なんでわかったんだ?」

「汗の匂いです。一度嗅いだ匂いは忘れませんです。はい」


匂いかよ、しかも汗って……


「どうしたの?ウサギさんとお話しして」

「ええ、陽奈殿、こちらは東藤殿です」

「え〜〜っ、そうなの?なんでそんな格好?」

「事情があるんだ。それに今日はしごとじゃなかったか?」

「うん、お仕事だよ。ここでl

「そうなのか?知らなかった」

「だって、教えてないもん」


すると神崎兄が怪訝な顔つきでやってきた。


「陽奈、見た目は可愛いかも知れんが中身は獰猛な男かも知れん。話しかけるのはよくないぞ」


相変わらずシスコンだ。


「お兄ちゃん、東藤君だよ。お手伝いしてるみたいなの」


「えっ、東藤くんなのか?」


神崎兄は俺がサブだと知っている。

なら……


「向こうにスタッフルームがあります。ついて来てください」


俺は、3人を控室まで案内した。



それで……


「ちゃんと並んで下さい。グッズは、まだありますから大丈夫です」


(なんで俺が……)


余ってたクマの着ぐるみを着て人員整理をする神崎兄。

俺は、店舗前の通路のところで通行の邪魔にならないように人を捌いている。


そして、開催の時間となった。

司会がマイクを片手に登場する。


「皆さん、こんにちは。これから、可愛らしい『苺パフェ8』のメンバーが素敵なショーを見せてくれるわよ。みんな、用意はいいかな?」


『お〜〜〜〜!!』


会場は割れんばかりの声援が送られている。


「私は『HINA』。モデルをしてるわ。『苺パフェ8』のみんなとは事務所が違うけど知り合いの子が出てるので、友情出演させてもらいました。拙い司会ですけどよろしくね〜〜」


「おーーHINA、HINA、HINA……」


会場がHINAコール一色となる。


「じゃあ、みんな行くよーー!」


HINAの合図で音楽がかかる。そして、ちびっ子達が登場した。





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