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絶望的婚約破棄 〜悪役令嬢がマジで悪役〜  作者: 暮伊豆


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婚礼乱入

諸外国からの国賓を宿泊させるために建設された『帝国国際仰天ホテル』は鳳凰の間にて新堀小路(にいほりこうじ)英嗣(ひでつぐ)とレイチェル・スタンレーの結婚式が執り行われようとしていた。




『高砂やぁ〜この浦舟にぃ〜帆を上げてぇ〜…………』




「レイチェル。幸せにしておくれ。」


「ええ英嗣。これからもあなたは私がかわいがってあげるわ。だからちゃんと言うこと聞くのよ?」


「もちろんだよ。新堀小路家の舵取りは任せたよ。」


「さあ、そろそろ時間ね。今日から私達は夫婦、新堀小路家の財産も……」


異国に生まれて捨てられて、物心ついた時から孤児だった。明日をも知れぬ自分だったがついにここまで来た。いや、これはゴールではない。所詮は国を代表する程度でしかない旧華族。王ではないのだ。自分ならできる。この国の王となり、諸外国をも平らげる。今日は新たなる始まり、女王レイチェルの誕生日なのだ。


「いや、お前は何ひとつ手に入れることなどできない。」


不意に聞こえた声。


「正胤……どうやってここまで……」

「兄さん! 今さら何の用だよ!」


「誰もいなかったぞ? 無用心だな。」


正胤は嘘をついている。国の重鎮が集う催しで、警備が厳重でないはずがない。事実、正胤の服装はあちこちが破れていれば、血も滲んでいた。


「レイチェル、お前はもう終わりだ。瓦版屋には全てぶちまけた。いくらお祖父様が工作を駆使したとしても無駄だ。嘘は必ずバレる。」


「ふん、どこにそんな証拠があるってのよ! 所詮は吹けば飛ぶような瓦版。新堀小路家の力を持ってすればすぐに潰せるわ!」


「これでもか?」


正胤が懐から投げ捨てた一枚の紙。号外と書いてある。


『醜聞! 新堀小路英嗣閣下と婚礼を間近に控えたレイチェル様の過去! プロセイン帝国の王女とは真っ赤な嘘! その実態は異国渡りの 簓者(ささらもの)!?』


「こいつがすでに帝都中にばら撒かれている。観念するんだな。」


「ばっ、バカな! そんな新堀小路家を敵に回すようなことを! 一体どこの瓦版屋が!?」


狼狽するレイチェル。


「お前は敵を作り過ぎたんだ。瓦版屋にも、夜鷹にも。そして実の姉にさえも。」


「姉? あの意地っぱりで短気、そして凶暴で誰とも相容れないクソ女! あのクソ女がどうしたってんだい!」


「お前は知らないのか? お前の姉、ラグナがどういった立場にあるのかを……」


「あんなクソ女のことなんか知るもんかい! 小さな時からウチがやることなすこと文句ばかり! 何が女の誇りさぁ! 体で男を操って何が悪いってんだい!」


王女たる口調は鳴りを潜め、おそらく生来のものであろう口調になっている。


「久しいねぇレイチェルぅ。相変わらず男の力を使うことしかできねぇんだねぇ。」


どこからかラグナまで現れた。


「ラグ(ねえ)! てめぇまで! そうかぃ……英嗣みてぇな極上の男を捕まえたウチが妬ましくて仕方ねぇってわけかぃ……どうだいラグ姉ぇ……ウチに協力してくれたらさぁ、旧華族のいい男を世話するよぉ……? どうせゴミ溜めをのたくってんだろぉ? 一緒にこの国の支配階層に君臨できるんだぜぇ?」


「はっ、アンタみてぇなしょぼいことなんてやってらんねぇよ。アタシぁね、アンタと違って男どもを支配してんだよぉ。正胤も、宰相もねぇ。」


宰相、それはこの国の王に次ぐ最高権力者である。ラグナはそのような男まで支配下においているのだろうか。


「……いつもそうだよ……てめぇはいつも……いつもウチの先を行きやがる……! 男を籠絡しようとしたウチだが……てめぇは男を支配してやがる……どこまでウチの邪魔ぁしたら気が済むんだよぉ!」


「知るかぃ、バカだねぇ。散々言ったはずだよぉ? 男の力に頼るな、利用するな。自力でやれってねぇ。そんなことだから正胤が反抗するのさぁ。初めからきっちり支配できてりゃあこんなことぁ起こらねぇのさ。さて、そろそろ時間だねぇ。正胤ぇ! やれ!」


正胤がレイチェルに向けて歩き出す。一歩一歩、ゆっくりと。


「ま、正胤待て! ウチに、何を、待て、待てえええー!」

「兄さん! やめろ! やめてくれ! 兄さんの勘当はもう一門どころか社交界に広まっている! もう遅い、遅いんだ!」


正胤の歩幅に変化はない。


「ま、正胤! やる! アンタを婿にしてやる! 尽くす! アンタに尽くすから! や、やめろぉぉーー!」

「兄さん! やめてくれ! 今さら何をしても意味ないぞ! やめてくれぇぇっぐぁぼぁーー」


まず英嗣が殴り飛ばされた。


「ほらほらレイチェルぅ。往生際が悪いねぇ。せめて最後ぐらい女らしく抵抗してみなぁ。」


「姉さん! ラグナ姉さん! 助けておくれよぉ! 昔はいつだって助けてくれたじゃないかぁ!」


「ふふっ、そうだねぇ。昔はアンタがやらかす度にケツ拭いてやったねぇ。アンタは昔から人の男を盗るのが好きだったからねぇ。どうだい? 正胤を籠絡してみなよ? アタシの正胤をねぇ。」


「くぅあああぁぁー! ラグナぁぁあー! 殺す! 正胤を殺した後はアンタを殺してやるよぉぉぉぉっぷだだひっ」


レイチェルも殴り飛ばされた。


この場に立っている人間は正胤とラグナだけとなった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ラグ姉カッコイイーーーー!!!! 私も支配されたいぜ( ˘ω˘ )
[良い点] レイチェルと弟君が惚れ惚れするほどの雑魚い立ち回り!! 気持ちがいいですねぇ!!
[良い点] 婚礼殴り込みキターっ!! 爽快なざまぁですね! レイチェルを 「ちっちぇえ」 と言い切るラグナ姐さんはやっぱりかっこいいです!
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