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異世界無頼 魔人ガンゾウ  作者: 一狼
第5章 牡蠣は熱々のオリーブオイルをぶっかけて食うに限る
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◆◆⑤ガンゾウの説教じみた話◆◆

お越しいただきありがとうございますぅ!


ブックマーク頂けますとご主人様も喜びまずぶぐらわっ!


ふん、安く頭下げんじゃねぇ▪▪▪


素直じゃないでずぶぐるわっ!


▪▪▪

「やはり器を変えるべきでしょうか?」


スタルシオンは、ようやく探し当てたバルブロの器が馴染まない事に苛立ちを覚えた。


「うむ▪▪▪意外に抵抗する▪▪▪意思の強さだけは敬意を表するに値いする▪▪▪が▪▪▪」


そう、バルブロはエルゼの抵抗に悩まされていた。


バルブロが復活する器として、呪力に満たされたエルゼの身体は最適だった。


しかし、同時にその呪力を内在してきた精神力は、それを凌駕するものだった。


更に、自らバルブロの復活の障害と成るべくバルブロを受け入れたエルゼの精神は、バルブロに身体を乗っ取られて尚、抵抗を続けていた。


それはバルブロの完全復活を阻害し、それがためにバルブロは、失調感に悩まされた。


「しかし盟主様の依代となる身体はなかなかに▪▪▪」


「うむ▪▪▪」


闇が揺れた。

いや、まるでカーテンを掻き分けるかのような仕草でその女は現れた。


「お前は?」


「お手伝いしましょうか?」


「何?」


「乗り心地のいい身体を紹介出来るわよ。」


「▪▪▪」


スタルシオンはその真意を読もうとした。


「ごめんなさい、ガードだけは固いのよ。」


その女は場に似合わぬ爽やかな笑顔で話し出した。


◇◇◇


デュラデム国軍は、ガンゾウ組の協力を得て、国内各地を転戦して回った。


転戦と言っても、実際に戦闘に及ぶことはなく、専ら意識誘導された国民を、ガンゾウの『気』で正気に戻してまわるだけだった。


ただひとつ、ベルギッタがビガードから得た情報により、一部国軍の反乱分子を捕まえ、ビガードと共に投獄するにあたって、ブリアラリアへ侵攻途上の国軍と衝突があった。


しかしそれも、アシュリーが前面に立って指揮官の裏切りを断罪したことで統制がとれなくなり、更には、指揮官に取り付いていたゲルレブリムナセルが正体を現したことで、一気に反乱軍は瓦解した。


反乱軍とは言っても、おおよその兵達は、攻め入ってきた敵軍を殲滅するのだという意識誘導を受けていただけであり、正気に戻れば罰するに値いするものなど殆どいなかったのである。


「意識誘導とは怖いものですね▪▪▪」


アシュリーが蒼白な顔で呟いた。


「ああ、だがどんな国でも多かれ少なかれ為政者の都合の良い意識誘導を受けているもんだ。『国是』なんてのは意識誘導の基本中の基本だからな。上手く敵を作って殺せ殺せと言い続ければ、嫌でもそれに染まっていくもんだ。」


葉巻はたっぷりある。

遠慮せず派手に噴きまくる。


「ガンゾウさん、それを言っちゃあ国は成り立たない。」


ヘリオスが顔をしかめながら言ったが、間違っちゃいねぇ。


「何もそれ全てが悪いとは言ってねぇ。

国民に協力を求めた結果、ソコから揚がる『税』を『富』と勘違いする奴が最悪だと言っている。

何のために金を巻き上げるんだ?

はん、まあいいゃ、柄にもなく説教こいちまった。」


ふぅ、葉巻が不味くなるな▪▪▪


「ガンゾウ殿の言うことは間違っていません。」


おいおい、ディートヘルム?

終わりにしたぞ?


「ブリアラリアでも自分の立場を利用して私服を肥やす輩が居たことは事実です。

これは国という組織以外でも起こり得ることですから。」


ああ、ディートヘルム?意識誘導論争とは違うぞ?


「いえ、最終的には自己暗示という意識誘導なのだと思うのです。」


「なるほどぉ、やはり意識誘導は『悪』なのですね?」


善悪じゃぁねえんだがな▪▪▪


「兎に角だ、国っつうもんは指導者の思想に基づいて運営される。

これは間違いねぇ。

全ての国民に公平に幸せが分配されるなんざぁ寝言よりも質が悪い糞話だ。そんなもんを信じたなら、いや、信じたいから信じるんだ。そのほうが自分で責任を負わずに済むからな。」


ああ、面倒くせぇ▪▪▪


つるむとこうなる▪▪▪


価値観が違う、いや、生命力の違いだな。


どんな人間、獣人も個の能力なんざあ然程大きく影響しねぇ▪▪▪


生命力の弱い奴、生きる力が弱い奴ほど大きなものにすがりたくなる。

国の指導者の甘言に乗りたがる。

インチキ教祖の糞言に救いを求める。


何れも弱いからだ。


「でもそれだとお年寄りや病弱な方々は生きられない、生きる術が無いと言うことなのでしょうか?」


ああ、声に出てたか▪▪▪


「ふん、生まれた家に財が有れば、それは『生きる力』だ。

家族や村、国と、集団となるのは生きる力を分けあうためだ。『富の分配』これが為政者の仕事だ。だから自分により多くの『富』を分配するために権力争い、そして戦争が起こる。

ふん、結局人間の弱さが全ての原因なんだよ。」


皆黙り込んだな。


「そうですねぇ、御主人様の仰有る通りなのでしょうねぇ。ですから弱い私は御主人様と共にありたいですぅ。」


ウラジミール▪▪▪気持ち悪いぞ▪▪▪ぶっ飛ばすぞ▪▪▪


「わ!私も!ガンゾウ様のように強くなりたい!これは私が弱いからそう思うのですね!ですから鍛えて頂きたいです!」


狼小僧▪▪▪タウリ▪▪▪他人を当てにした時点で強くなれねぇって気付かねぇか?


「ガンゾウさん、仰有る通り皆弱いのです。ですから国や村ではなく、いえ、選択の違いでしかなく私たちはガンゾウさんと共に歩くと望んだのですよ。

ご心配している方もいらっしゃいますが、私はガンゾウさんと共に居るのが楽しいのです。

ガストーネは目覚めたら、何等かの形でガンゾウさんと戦うことになるのかもしれません。

その時は、ガストーネのエネルギーでしかない私は消滅しているでしょう。100%ガストーネに味方しない限りはね。

少しでも皆さんとの時間に未練を持てば、ガストーネは容赦しないと思います。

サロメさんが言っていましたね。

『今がその時代』なのだと。

であれば、私は間も無く消滅するはずです。

元々鏡でしかない私ですから、怖いなんて感情は無い筈なのですが、今は怖いです。

いえ、楽しい時間を失いたくないと言った方が正しいのかもしれませんね。」


長々と▪▪▪


消滅なんてしねえ癖に▪▪▪


この腹黒が▪▪▪

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