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異世界無頼 魔人ガンゾウ  作者: 一狼
第5章 牡蠣は熱々のオリーブオイルをぶっかけて食うに限る
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◆◆③ガンゾウと固めの葉巻◆◆

20000アクセスありがとうございます。

今後ともよろしくお願い致します。

感想など頂けますと励みとなります。

よろしくお願い致します。

「今宵は満足出来るのであろうな?ここ暫く満足のいく女は居なかったのだぞ?」


「申し訳有りませんでした。しかし今宵はお待ちいただいた甲斐が有ったと仰有って頂けるものと自負しております。」


「その台詞何度も聞いたぞ?まあ、呼んでみよ。」


「畏まりました。おい!連れて参れ!」


仰々しい飾り彫りが施されたドアが開くと、そこには薄絹を纏った女が立っていた。


「▪▪▪良いでわないか▪▪▪良いでわないか!良いでわないか!」


女は屈強な男に背を押されおずおずと近付いてきた。


「んっ!名は?名は何と申す?」


全身くまなく睨め回し、好色さを隠そうともしない口許にだらしなく涎を垂らすこの男は、デュラデムの国務大臣ビガードだった。


「べ、ベルギッタと▪▪▪」


「オウオウ、ベルギッタと申すか?んっ!んっ!良い名だ!これ、お前達!もう用はない!出ていけ出ていけ!」


ビガードは、ベルギッタを連れてきた人買いと家令を部屋から遠ざけた。


もちろんこの二人、ベルギッタに操られていた。


◇◇◇


「おおおお▪▪▪良いぞ▪▪▪良いか?良いぞぉ▪▪▪」


独り言を繰り返し、一人ベッドで悶えるビガードを、ベルギッタは覚めた目で見ていた。


厳密にはビガードは一人ではない。


ベルギッタの使い魔であるスライムが、ビガードの首から下を覆い、醜悪な逸物を刺激し続けていた。


「ほんとバカ。」


ベルギッタが呟く。


サキュバス、淫魔、夢魔。


呼び方は様々なれど、本質を言い当てているのは『夢魔』であろう。


直接手を下す事は少ない。

殆ど無いと言って良い。


全ては『夢』、『非現実』。


使い魔のスライムや魔物が物理的刺激と物理的代謝を担う。


サキュバスは、その仲介でエネルギーを得る。


「さぁて▪▪▪」


『ビガードさまぁ、次は何をなさいますのぉ?ほらぁ、ここがよろしいのですかぁ?』


声による会話ではない、ベルギッタは『念』をビガードの頭に飛ばす。


それにビガードは声で答えるのだが、同時に心に浮かんだ思考もベルギッタは読み取った。


「おお、おお、そなた良いぞぉ▪▪▪」


ふん、結構頑なね。


「お前達、死んでも良いわ、最高の快楽に溺れさせなさい。」


ベルギッタの指示に、スライムの動きが激しくなった。

そしてムカデの様な魔物がビガードの身体を這い回り、肛門から体内に入り込んだ。


「おおおおっ!」


『ビガードさまぁ?』


「おお、つ、次はな、駒共をブリアラリアに送るのだよ▪▪▪す、既に軍の一部はスタルシオン様の操り人形だ▪▪▪」


▪▪▪やっぱりね▪▪▪


『ビガード様はどんなお役目なのですかぁ?』


「むふっむふっむふっ、そ、それは言えぬ▪▪▪」


まあ、もう読めたけどね。


「ありがと。まあ、もう少し生かしておいてあげるわ。アンタには快楽の中で死ぬなんて幸せな死に方はさせないわよ。

ちょっとスタルシオンに対する怨みの一部でも担って頂戴。

その代わり今夜は死にそうなほど楽しませてあげるわ。」


ベルギッタはそう言ってビガードの寝室を出た。


後には全身をスライムやムカデ、ヘビのような使い魔に覆われたビガードが一人悶える姿があった。


◇◇◇


「アンブロシウス様ぁ!ほらお城が見えましたぁ!」


ええ、ガンゾウさん怒ってますねぇ。

怒るというのではなくて、『面倒くさくて不機嫌』といったところでしょうかね。


「ウラジミールヒィィリィンッグッ!」


道中、ウラジミールさんに傷付いた人々を治療して貰いました。


ディートヘルムさんとタウリさんにも、ウラジミールさんの補助を御願いしました。


特にタウリさんは、つい最近お父さんが死にかけた事もあって(正確には一度死んだのですが▪▪▪)懸命に駆け回っていますね。


城に近付く程怪我人が多く、酷くなっていますね。


精神を壊された人もチラホラ▪▪▪


やっぱりガンゾウさんは凄いですね。

ガストーネを凌駕しているのは間違いありませんね▪▪▪

まだ▪▪▪

そうですね、もう少し▪▪▪もう少し▪▪▪

我慢してください。


◇◇◇


ちっ▪▪▪


アンブロシウス?

ほんと面倒くせぇぞ?

まあいい、嫌でも結果はでるからな。


「ご主人様ぁ!怪我した人たちを治癒してきましたぁ!誉めてくださいぃっぶろわらぁ▪▪▪」


もちろんぶっ飛ばした。


自分から「誉めてください」なんて言うんじゃねぇ。


タウリが尻尾を巻いてるな。

びびんじゃねぇよ。


そうだ▪▪▪


「ポスカネル。」


「はい。」


「聞き忘れてたんだがな?」


「はい。」


「海上で海賊やってたのはお前らなのか?シブルッカで海賊退治を請け負ったのをすっかり忘れてた。」


「そ、それについては私からご説明申し上げる!」


忠也▪▪▪


「た、確かに『無かった』とは言えません▪▪▪」


ポスカネルが眉尻を上げたな。

知らなかったのだろうな。


「しかしそれ程大っぴらには▪▪▪」


「つまりやっていたのですね?忠也?」


「で、ですからそんなに問題になるほど▪▪▪」


「そう言う問題ではありません!」


ポスカネルの髪がザワザワと逆立ち始めた。


面倒くせぇ▪▪▪


「後にしろ、それからもう一つ、俺が海底でお前らと遊んでた時に、海上でクリスタ達を襲った鳥顔はお前等の仲間か?」


そう、ポスカネル達が海底城を引き払ってついてきた時、そこに連なったのは魚顔ばかりだった。


「いいえ。私の臣下達は全て海底に居ました。海上ではそんなことが起こっていたのですか?」


「ああ、そうらしい。じゃあ、あれだな。海賊行為は忠也が半分、鳥顔が半分っつう事で解決。だな。」


忠也が大慌てでポスカネルに言い訳を始めたが▪▪▪

もともと口が達者な訳じゃぁねぇからな。

火に油を注ぎ▪▪▪


忠也は石になった。


◇◇◇


「なるほど、こうすれば良いのですね?」


「ああ、そうだ。」


ディートヘルムが気を溜めて呼吸を止める。すると、ディートヘルムの全身が鈍く光る黒鉄色に変わった。

更に、先の丸い円錐状の瘤が背中一面を覆った。

それは、首から頭頂部を経て額にまで大きさを変えながら現れた。


「昔亀の化け物に喰われたことがあった。喰い返してやったら全身を鋼で覆う事が出きるようになってたっつう訳だ。

あまり見栄えが良いもんじゃぁねえからな、俺は使わねぇがおメェにはちょうど良いだろぅ?」


「はい!これなら皆さんを護れますし、使い方次第で攻撃にも役立ちます!」


ん、見た目以上に固ぇからな。

魔滅で切れネェかも▪▪▪


「ディートヘルム▪▪▪」


「はい。」


居合いさながらに魔滅を抜いてディートヘルムの腕に振り下ろした。


「スッ▪▪▪」


何の抵抗も無くディートヘルムの右腕は切り落とされた。


「!あ?あ!アアアアアッ!」


血が噴き出してるな。


「わりぃわりぃ、何れだけ固ぇか試したくなったんだ。やっぱり魔滅には敵わねぇか?」


「あ、あ、あ、あ▪▪▪」


ん?死にかけてるか?


「ウラジミール。」


「もう、御主人様ぁ、お茶目が過ぎますよぉ。」


とか言いながらウラジミールはディートヘルムの腕をくっ付けた。


「ちょっと血が足りませんね。

でわ、ウラジミールヒィィリィンッグッ!」


ああ、こっちでやってみるか?

と、獅子丸を抜いてみる。


「ヒィッ!」


気を取り戻したディートヘルムが慌てて逃げ出した。


なんでぇ、切れたら治してやるっつぅのに。


「ガンゾウさん、そう言う問題ではありませんから▪▪▪」


感情を顕にしないアンブロシウスでさえひかせたか?


ふん、つまらねぇな▪▪▪


◇◇◇


「し、失礼致しました。

つい取り乱してしまいました。

しかしこれは凄い変化です。

そ、そちらの魔滅の剣はさすが魔物斬りの剣、しかし、そちらの獅子丸は業物とは言ってもただの剣。

ガンゾウさんが駆使しても斬れなかったのには驚きました。」


そう、結局戻ってきたディートヘルムに獅子丸を振り下ろしてみた。


斬れなかった▪▪▪


どころか、獅子丸が刃溢れしやがった。


斬れると思ったんだがな。


「っつう事で、ヘリオス、お前さんの弟から預かってきた、引き渡すぞ。」


城に到着したディートヘルムをヘリオスに差し出した。


「そんな話しは聞いてねぇし、こんな人外は預かれねぇ。」


「あ?」


「更にこの状況だ、デュラデムを正常に戻すまでギルドは傭兵志願を募るだけだ。」


「だったらおメェの手元で傭兵やらせりゃ良いだろうが?」


「ダメだ。俺はアシュリーの補佐で忙しい。」


「傭兵にするだけなら関係ねぇだろぅが?あ?だいたい俺は序でに預かっただけなんだ?文句が有るなら弟に言え?ディートヘルム?おメェもなんとか言え!」


「はい、では私はガンゾウ殿と共に戦います。」


は?何言ってる?


「俺が誰と戦うんだよ?」


「さあ?しかし、最終的にはアンブロシウスさんとやるのでしょ?」


場が凍りついた。


「な、な、な、な、何を言っているのですかぁ?ディートヘルム様ぁ?」


「え?だから▪▪▪」


「いやいやいやいや!ディートヘルム!言って良いことと悪いことが有るわよ!」


そうか、皆薄々感づいてたか▪▪▪


「皆さん?何を仰有っているのですか?私がガンゾウさんと戦うとでも?」


「アンブロシウス、バレバレだとさ。いっそ今やっちまうか?」


「ですから私にはそんな考え有りませんから、まあ、ガストーネが目覚めたらわかりませんが、基本的に封印されてますし、自ら引きこもった訳ですからねぇ。

私はガンゾウさんと一緒に居るのが楽しいだけですよ。」


「ふん、まあやりたくなったら言ってくれ、何時でも相手するぞ。」


おうおう、タウリがアンブロシウスを睨んでるな。

俺の敵に回るなら容赦しないって面だな。

番犬か?


「まあまあ、なあガンゾウさん、そいつもそう言っている。どうだい?皆を纏めて仕事を受けちゃくれないかい?」


「あ?ヘリオス?ギルドは店仕舞いなんだろ?」


「ああ、だからこれは『国からの依頼』だ。」


「▪▪▪面倒事には関わりたくねぇ。」


「うん、これを大量に付けるが?」


ヘリオス▪▪▪

それは狡いぞ▪▪▪

いや、駆け引きが上手いと誉めておこう。


「これだけか?」


「そんな訳ない、サロメの所に預けてある。大量にな。」


指先に火を点し火を移した。


甘く、無数の花を束ねたような香りが立ち込めた。


「良い葉巻だ。」


「私にも頂けますか?」


「私にも。」


「わ、私も!」


葉巻をやらない女達を除いて皆が欲しがった。


葉巻の廻し呑みなんてな▪▪▪

まあ良いさ。


「固めの盃ならぬ『固めの葉巻』ですね。ガンゾウ組の立ち上げだ!」


忠也?

皆引いてるぞ?


「はい!ガンゾウ組です!」


タウリ?


「良いですねぇ、名前が欲しかったのですよぉ、多少センスがないッブロブワッ!」


ああ、ぶっ飛ばした。


「では、私もガンゾウ組の一員として、改めて同行致します。


ディートヘルム?


「私は正式に所属する訳にはいきませんが、暫く置いてください。」


ブラウリオ?


「じゃあ私ももう暫く付き合うわ。行き掛かり上ね。」


フロリネ?


「私ももちろん行きますわ。」


ポスカネルまで▪▪▪


「で?アンブロシウスはどうするの?ベルギッタも?」


「私はアンブロシウスに買われた身だからね。アンブロシウス次第よ。」


「で?アンブロシウス?」


皆が見つめる。


「もちろん行きますよ。最初から付いていくと言っていますからね。」


「じゃあ決まりですね!ガンゾウ組!」


▪▪▪勝手にしろ。


「はい!勝手にしますっ!(ハモる)」


「ところでいつの間に戻ってたのですかぁ?デカ尻さん?」


「ついさっきよっ!ゴブリンっ鼻!」


また始めやがった▪▪▪


はあ、俺は独り言が良いんだ。独りがな▪▪▪

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