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異世界無頼 魔人ガンゾウ  作者: 一狼
第3章 寿司ネタの宝庫
59/164

◆◆⑱ガンゾウと歴史的人物◆◆

「おい、鮫顔?なかなかやるじゃねぇか?」


「う、うる、煩いっ▪▪▪」


とは言ったものの、だいぶ息が上がったな▪▪▪


「鮫顔?」


「うる、さい▪▪▪俺にはチュウヤっつう名前があんだよ!」


「!」


『チュウヤ』で動きを止めてしまった。


その一瞬の隙に鮫顔のジャベリンが脇腹を抉った。


飛び退いて距離を取った。


意外にも脇腹からは血が滴り続けている。


とは言っても、直ぐに傷口は塞がった。


その間3秒。


測ってないから分からんが、通常より何千倍、何万倍もの時間がかかった。


つってもたかが3秒なのだがな。


おかしいな?

頬っぺた掠った時はいつもの通りだったのだがな?


「チュウヤ?日本人か?」


と聞いたら鮫顔も動きを止めた。

明らかに動揺している。


「何者だ▪▪▪?」


ジャベリンを腰溜めにして攻撃の姿勢は崩さないが、明らかに動揺しているな。


「俺ぁカンゾウっつう名前だ。」


「カンゾウ?」


お!発音できてる!


「お前▪▪▪もしかして日本人の転生者じゃねえのか?」


「!」


魔滅の剣が俺の意図を汲んで闘気を抑えたな。


おっと?鮫顔の回りに居た奴らがゲコゲコ何か言い出したな?


で、痺れを切らしたみたいに俺に襲いかかって▪▪▪

こようとした奴らを鮫顔がジャベリン振り回してブッ飛ばしたな。


「テメエ等スッこんでやがれ!」


とか言って一睨み。


なかなか堂に入っているな。

歌舞伎役者か?


「歌舞伎なんて言葉を知っているところを見ると、あんたも元日本人かい?」


まあ、確かに今は普通の日本人とはかけはなれた能力を持っているからな。

『元』でも良いが、気分的には今でも日本人なのだがな。


「ああ、すまねえ、こんな成りになっちまったが、俺も日本人のつもりだぁ。」


鮫顔、そう言いながらジャベリンを引いて床に石付を着いた。


「そうかい。同じくこっちに引っ張られた口かい。」


なんてこった。

俺の他にも居たのかい?


「まあ、なんつうかな▪▪▪因果なこったな。」


「ああ、俺の名は『チュウヤ』『丸橋忠弥』だ。」


「!」


驚いた▪▪▪

同姓同名じゃなけりゃ歴史的な人物だ。


「ああ、あんたもしかして『張孔堂』の門下、『槍の忠弥』かい?」


「いかにも。何故知っている?」


「ああ、まあこんな状況だからな。信じてくれると思うが、俺はあんた達が起こした『慶安事件』から370年後の日本から飛ばされた。俺達の時代じゃアンタの名は幕府転覆を図った罪人として知られている。

もっともあまりメジャーな出来事じゃぁ無いがな。」


魔滅の剣を一振りした。


忠弥の制止を聞かず襲ってきた魚顔達を一薙ぎにした。


◇◇◇


「ちょっとぉ▪▪▪

あれ何よぉ?」


フロリネさんが指差す方向、上空ですが▪▪▪


ああ、マズイですねぇ▪▪▪


ドラゴン、いえ、『青龍』ですねぇ、それもクリスタさんと違って完全な『成体』の青龍が何百と▪▪▪


「あ!パパだ!」


クリスタさん?

暢気な声をあげてますが、ちょっと険悪な雰囲気を感じるのは私だけでしょうか?


「いいえぇ▪▪▪アンブロシウスさん、私も嫌な予感しかしませんですぅ▪▪▪」


などと考えている間に周りを囲まれてしまいました▪▪▪


『クリスタ!』


気の弱い人間ならショック死してしまいそうな強烈な圧力を持った念が脳を揺らします。


「あ▪▪▪パパ怒ってる▪▪▪」


クリスタさん?


「ア、アンブロシウス殿▪▪▪空間開けて逃げられませんか?」


ディートヘルムさんがこそっと聞きましたが、それは無理でしょう▪▪▪


ちょっとでも変な動きをしたらフリーズドライにされてしまいます。


「パパァ!大丈夫よ!みんな仲間なの!」


と、クリスタさんが言ってくださいますが、どうやらそのクリスタさんに対してもお怒りのご様子ですね▪▪▪


「ありゃぁ▪▪▪ダメな奴かも▪▪▪みんな▪▪▪ゴメンね?」


「クリスタ!ゴメンね?ペロッじゃないわよ!」


とか喚くフロリネさんは、降りてきた巨大な蒼い目に睨まれている事に気付いて無いのでしょうか?


あ、振り仰ぎました▪▪▪


目が合いましたね▪▪▪


倒れますよね?


卒倒しましたね。


ガンゾウさん、ちょっとマズイ事になってしまいました。

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