◆◆⑰ガンゾウとヤル気出した魔滅の剣◆◆
海神のジャベリンったあ御大層な名前だが?
海神ってのはどこのダレの事だ?
そのポスターカラーとか言う奴の事か?
まあいい、どっち道ぶった切るだけだからな。
「あ?おめえさっきからブツブツ煩ぇぞ?」
「ああ、すまんな、聞こえてたか?で?▪▪▪何だった?」
「ふざけてんのかこの野郎っ!」
痺れを切らして鮫顔がジャベリンを突き入れてきた。
おお、まあまあイケてる突きだな。
おお、右の頬っぺた掠ったな。
血が飛んだな。
傷口塞がったな。
カウントする必要もねぇな。
「おら!おら!おら!おら!」
んん、『おら』は『俺』なのか?『それっ!』的なのか?
まあ、どっちでも良いこったな。
魔滅の剣がチリチリと小刻みに身を震わす。
ああ、分かった分かった▪▪▪
魔滅の剣が大分前のめりでヤル気を出しているからな▪▪▪
やるか▪▪▪
あ、か?ではなく、か▪▪▪な?
つまり決定な。
お待たせ。
存分にやれ▪▪▪
なんて思ったら、途端に魔滅の剣が膨れた。
いや、実際に膨れた訳じゃぁ無い。
何て言うかな▪▪▪
そう、「闘気」を纏った、とでも言うかな?
スーパー○○○人になったみたいな感じ?
こう、身体からエネルギーが溢れ出て、それが光りとして視認される的な?
なんて考えている間に、鮫顔がジャベリンを突き入れてきたのだが、魔滅の剣が勝手にそれを捌いて受け流した。
ああ、もちろん、魔滅の剣は自力で飛び回るなんてことは無いのだぞ?
だがな、柄を持って力を抜いていると、魔滅の剣に導かれるように勝手に腕が動くのだよ。
動く腕に合わせて身体も勝手にダンスする。
『舞踏』ならぬ『武踏』だな。
◇◇◇
「はぁ、頭が悪いのですから余計なことは言わない方が良いのですよ▪▪▪
これだからデカ尻エルフは▪▪▪」
「煩い!キモジミールッ!」
おお、ウラジミールさん、ますます反射神経に磨きがかかりましたね?
フロリネさんのクナイを尽く交わしました!
「しかしアンブロシウス殿?ここは何処なのですか?先程の海域からは出たと言うことは分かりましたが、フロリネさんの言う通り見た目では分からない同じような景色としか見えませんが?」
「でしょ!ほら!ディートヘルムも分からないじゃない!」
まあそうでしょうねぇ。
私も分かりませんからねぇ。
「えっ!分からないのっ!」
ああ、声に出てましたか▪▪▪
おっと、フロリネさんだけじゃなくてウラジミールさんもディートヘルムさんも驚きの顔ですね。
「ん?あれぇ?懐かしい匂いだぁ▪▪▪」
「クリスタ!やっと起きた!」
「何でこんなとこに来てるの?」
「クリスタさん?ここが何処か分かるのですか?」
「うん、もちろんよ。ほらぁ▪▪▪」
クリスタさんが指差す方向にはうっすらと島影が見えました。
そしてその島は、近付くと真上を見上げる程の高さがあり、万物を拒絶するような荘厳さを醸し出していたのです。
「ヘリオスさまぁ?」
「あ?」
「ケホッ▪▪▪葉巻吸いすぎです▪▪▪窓あけますね!」
「▪▪▪」
「ガンゾウさん達遅いですねぇ、もうそろそろ着いても良い頃ですよね?」
「ああ、まあ、ガンゾウさんの事だ、気の向くままにフラフラしてるのだろ▪▪▪」
「そうですね。あ!クロヴィス君に返事書きましたぁ?」
「まだ▪▪▪」
「読んでないんでしょう?」
「▪▪▪」
「もう!」




