◆◆⑬ガンゾウと成長した魔滅の剣◆◆
リヴっつうやつは、その本性は▪▪▪
『ウツボ』か??
ウツボに手足を着けた感じだが▪▪▪
なんつうか▪▪▪
『カッコ悪い』
「貴様貴様貴様ぁ!僕の何処がカッコ悪いんだ!見ろ!この不規則で芸術的な斑模様!このビッシリと生えたノコギリのような小牙!感情を現さない死んだような目!完璧だろうがぁ!」
「で?その取って付けたような手足は?」
「貴様貴様貴様ぁ!そこは言ってはいけないところだ!」
「ああ、すまんな。気にしてたのか?」
めんどくせぇがオモシレェ奴だな。
こんなのが側近じゃ、海魔王っつうのも道化なんだろうな。
名前何だった?
ああ、『ポスターカラー』だったか?
「貴様貴様貴様ぁ!言うに事欠いてポスカネル様のお名前を!ポ、ポ、ポスターカラー等と!もう許さん!」
「お?やる気になったのか?俺の足下にも及ばないのじゃなかったのか?」
「そんなもの社交辞令だろうが!貴様など秒殺だ!」
「あ、そお?」
で、どんな風に楽しませてくれるのかと思ったら、大口開けて突っ込んで来るだけだ▪▪▪
興醒めだったから鼻っ面に軽くカウンターを叩き込んだ。
ウラジミールなら30秒で復活するレベルだがな。
ウツボ男はグシャッ!と潰れて、頭の中のものぶちまけたまま動かなくなっちまった。
つまんねぇな。
掃除をしてやる義理もねえから、何となくこっちかなぁ?って方向の扉を開けた。
ん?開かない。
『開かぬなら、蹴り壊そう大層な扉』
字余り、お粗末。
葉巻を燻らせたまま無造作に扉を蹴った。
『ドグワラグッジャァンッッッ!』
そんな音だったかな?
3mは有ろうかという無駄に装飾を施された重々しい扉を蹴り壊してやった。
お?居た居た!
次の部屋ボス。
まあ、楽しませてくれるなら付き合うが、さっきのウツボ男みたいなのじゃ願い下げだぞ?
ん?何だ?殺りたいのか?
今はすっかり成長し、2mは有ろうかという長剣となった『魔滅の剣』がチリチリと震えていた。
◇◇◇
もともと業物の長剣を持っていたのだがな。
魔滅の剣がこんなに長くなっちまったから、業物『獅子丸』(自分で名付けた)は空間呪でしまっておいた。
長物二本持ちじゃ見た目バランスが悪かろう?
その魔滅の剣が、珍しく自分から出番を求めた。
ああ、しばらく寝てたから暴れたいのか?
良いぞ?暴れさせてやるよ。
だがな、切っ先より先の効果は無しだ。
あ?だってつまらねえだろうが?
良いんだよ、お前さんの本身が斬った実感が大事なんだよ。
等と言っている間に、次の奴が攻撃を開始した。
んん、情緒のねぇ奴等だ。
名のりくらい上げやがれ。
とか考えているうちに、タコみてえな奴が6本の剣を振りかざして斬りかかってきた。
お、六刀流か?
タコ野郎が盲滅法六刀を振り回す▪▪▪
いやあ、テメエなかなかやるじゃねえか?
器用に六刀を操るのだが、ひじ関節が無い分刀が鞭のように撓りながら繰り出されるのだな?
六刀も有ったらテメエの手を切りゃしねえかと考えたんだが、そんな心配は要らねぇみてぇだな。
とか、次々に繰り出される六刀を、魔滅の剣一本で捌きながら考える。
だがな、多けりゃ良いっつうもんでもねぇんだよ?
数が増えて目で追えないほど多様な剣捌きかと思うだろ?
ところがよ、そんなに多いとな、逆に一定のリズムの中に入っちまうんだな。
じゃねえと自分の腕を切っちまうんだろ?
ほら、右上、左下、右中、左上▪▪▪
読めちまうし、わかっちまうんだな。
もちろんな、他の奴が相手なら知らねぇぞ?
だがな、俺様には通じねぇよ。
ああ、飽きたのか?
あのよ、この剣がお前さんの単調なリズムに眠くなるとよ。
なのでここまでだっ!
魔滅の剣を左下から斜めに切り上げた。
タコ野郎は六刀でガードしに来たが、魔滅の剣はその六刀ごとタコ野郎を真っ二つに切り分けた。
『チチチチチチチチ▪▪▪▪』
そうつまらなさそうに鳴くなよ。
次の奴に期待しようぜ。
魔滅の剣で切られて黒い塵となって消えて行くタコ野郎を横目に、俺達は奥の扉に向かった。
んっんっ!クロヴィスッ、我がっ甥よっ!
はっ!陛下!
んっんっ!ディートヘルムッはっ、大丈夫っであろうかっ?
はい、些かガンゾウ殿の強すぎる仲間達においては、流石のディートヘルム様もご苦労なさるかと思いますが、父の元に無事に到着すれば、その後の心配は無用と思います。
んっんっ!そうでっ、あるなっ。
◇◇◇
あ、砂に飲まれた▪▪▪
陛下▪▪▪




