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異世界無頼 魔人ガンゾウ  作者: 一狼
第3章 寿司ネタの宝庫
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◆◆④ガンゾウとガンゾウの失敗◆◆

「じゃあ、気を付けてねぇ~」


どこかのんびりした声音でクリスタが見送った。


俺とウラジミール、ディートヘルムの三人は、海に飛び込み、潜り始めた。


ああ、ウラジミールにもエラを付けてやったのだな。


見た目が更に気持ち悪くなったようだな。


海中から見上げると、クリスタが海面に氷を張り始めたのが見えた。


結構な速度で氷が広がっていく。厚さもそこそこある。

氷山だな。


ウラジミールが何かサインを送っている。


あのな、ウラジミール?

念話を飛ばせと言っただろう?


イラッとしたので、強めの念を叩き付けてやった。


あ、強すぎた。


気を失って弛緩してるな。


『ガンゾウ殿!下から何やら上がってきました!』


おお、ディートヘルム?念話を使うのが上手いじゃないか。

で、その方向を見ると、ワラワラと魚っぽい顔した野郎どもが上がってくるのが見えた。


『ウラジミール!何時まで寝てんだ!』


『▪▪▪』


ダメだこりゃ。


『ディートヘルム、適当にあしらってやれ。』


『畏まりました!』


と言うや、ディートヘルムは魚人並みの速度で泳ぎ始めた。

足の指の間に水掻きを作ってやったのだな。


と、真っ黒いモジャモジャした感じの奴がディートヘルムを追い越していった。

呪糸を鎧と剣に編み上げたウラジミールだ。


呪糸で鎧の形を潜水艦みたいにしたんだな。

カッコいいじゃねぇか▪▪▪

スクリューを呪力で回してるのか?


おお、やるな。

頑張ってくれ。


上がってきた奴らは▪▪▪

なんというか、魚みたいな奴も入れば、蛇みたいなのや、形容しがたい形の奴とか、諸々だな。

主に噛みつくとか、銛を持った奴が多いな。


ディートヘルムがバカデカイ剣を振り回そうとするが、水の中じゃいくら馬鹿力でも自在に操るって訳にはいかないようだな。


ああ、魚顔に噛みつかれたな。

ああ、タコに絡みつかれたな。

ああ、また噛まれたな。


っつう訳で、このままだと足手まといにしかならないからな、結界を飛ばしてやった。


言ってみれば、ディートヘルムが結界スーツ的な物を着込んだ様なものだ。

一緒に剣もコーティングしてやった。


結界には『無干渉』の効果を持たせた。


だから海水の抵抗を無くし、地上同様に素早く動けるっつう訳だ。


のはずだが▪▪▪


「ああああっっっっ▪▪▪▪▪」


ディートヘルムがどんどん沈んでいく。


んん、そうか、水の抵抗を無くしたから、浮かんでいられなくなったのか。


失敗失敗▪▪▪


ウラジミールはそこそこ頑張っているな。


『てへへ▪▪▪』


んん、念話で照れるな。


『面倒だからこの雑魚ども纏めてぶっ殺すぞ。捲き込まれるなよ。』


警告してやったが▪▪▪

親切すぎるか?


どうしてやるかな?


裂け目作って火山口に流してやるか?


雷系は海中だから使いにくいな▪▪▪


業火?


しっくり来ねぇな▪▪▪


なんて考えるのに0.000002秒。

いや、測ってないから分からんな。


『ウラジミール▪ストーム!』


あ?


深めに潜ったウラジミールが呪糸で作ったスクリューを回転させて渦を起こしている。


おお、それが徐々に大きくなって魚顔達を巻き込んで行くな。


もう一息、頑張れウラジミール。


そうだ、もっと!

回せ!

んん▪▪▪


▪▪▪そこが限界のようだな。


渦が弱まり始めた。


まあ、面白かったぞ。


ついでだ。それを使わせて貰おう。


俺は海中であるにもかかわらず、『蝙蝠の羽』を広げた。


そして扇ぐ。


物凄い勢いで海流が発生し、ウラジミールが作った渦を巻き込んで巨大な渦へと成長した。


俺はその中心に、小さな黒い球を投げ入れた。


『黒孔』


小さめのブラックホールは、渦の遠心力とは正反対に作用し始めた。


渦に巻き込まれた魚顔達は、引き千切られ、捻り潰されながら吸い込まれていった。


ウラジミールが全力で逃げようとしているが、ジリジリと黒孔に引き寄せられているな。


頑張れウラジミール。


ああ、ウラジミールの顔が歪み始めたな。


あともう少しだぞ。


5、4、3、2、1!


黒孔が消滅した。

同時に渦と共に魚顔達も消滅していた。


ウラジミールは?


残念▪▪▪


『勝手に殺さないでくださいよぉ!』


はは、生きてたな。


呪力を振り絞ったのだろう。


見た目にも呪力が底を突きかけているのが分かる。


取り敢えず呪力をチャージしてやった。


やり方は簡単。


こめかみに指を差し込んで直接ビリビリと入れてやる。


途端に元気になるウラジミール。


『ありがとうございます!ご主人様!』


『ああ、取り敢えず落っこちたディートヘルムを見つけてから魚顔達の親分に挨拶しに行くか。』


『はい!でわ!参りましょう!』


そう言うとウラジミールは先にディートヘルムが落っこちた辺りを目掛けて潜り始めた。


放っておいても良かったのだがな。

俺が落としたようなもんだからな。


仕方なく俺も海底を目指した。

次回 ウラジミールの独り言2



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