◆◆⑧ガンゾウと妖精の加護◆◆
緊急事態宣言により、本業の『飲食業』の出勤日数が減ったため、小説の執筆室(電車)へ入ることが少なくなり、『ガンゾウ』のストックが減ってきました(苦笑)。
そろそろ出勤日数が増え始めたので、底を突く前に書き貯めたいものです。
他にレザークラフトも手掛けているため、家に居ると書けないのですよねぇ▪▪▪
ストーリーはどんどん浮かんできているのですが▪▪▪
お?ああ、じゃあよ▪▪▪
◇◇◇
『あんた達?ちょっと楽しすぎなんじゃないの?』
「仕方無いじゃない?私達飛べないし。」
「フロリネさん、それでも感謝の言葉くらいは▪▪▪」
「お座なりな言葉ならいらないでしょ?でも、ありがとう。クリスタのおかげで死なずに済んだわ。」
『素直じゃないわね。』
「ところでクリスタさん?」
『何よ?』
「気が遠くなるほど食い込んだ爪が痛いのですが▪▪▪」
『男でしょ!我慢しなさい!』
「▪▪▪はい▪▪▪」
◇◇◇
ユルヤナが妖精の大樹に眠る仲間達を起こした。
のだが、その時にひと悶着あった。
起き出した妖精達が、葉巻の煙っつうか香り▪▪▪匂いに卒倒しだした。
良い香りなのにな?
取り合えず一旦外に出された。
助けてやったのにひどい仕打ちだ。
「本当ですねぇご主人様ぁ。」
「いやいや!ウラジミール殿の『あれ』のほうが、さすがにダメでしょう!」
「忠也さん?何の事でしょうか?」
と、すっとぼけるウラジミール▪▪▪
『ゴキブリだよっ!』
ハモった(笑)
なんて漫才を聞いていると、大樹の部屋からユルヤナの他に、妖精族達がぞろぞろ出てきた。
ユルヤナと一緒にいるのは現妖精王の親父殿なのだろうな。
「貴方がルルキーヌを救ってくれたガンゾウ殿か!」
▪▪▪
「い!いや!私はガンゾウ殿の臣下でしかない!」
忠也が慌てて首を振る。
忠也、別にお前で良いぞ?
「では貴方か?」
「なんだ?禿具合で判断すんじゃねぇ!
コイツだよ!」
ヘリオス▪▪▪そりゃぁほぼ自爆だぞ?
「おお!貴方か!」
「誰だって良い、おい、ユルヤナ、約束の物は?」
「言っただろ?これから作らなきゃならないんだ!」
横目で親父さんをチラ見しながらこそこそと▪▪▪
「妖精王?名前なんつった?」
「ヴァイナモです。」
「そうか、俺達はよ、極北で鯨を狩るためにルルキーヌに来たんだがな、お前の倅のせいで足留めを食ってな、更には瘴気の穴埋めまでさせられたんだ?
見返りを約束したんだがな、それが妖精族の作る『ミード』を飲ましてもらうっつう事なんだが▪▪▪
もうストックが無いっつうんだがな?
有るんだろ?」
と言った俺の言葉に、妖精王ヴァイナモは即答した。
「有ります。」
で、皆でユルヤナをチラ見する。
「だがねガンゾウさん、他の酒ならば熟成させれば味が良くなるのだろうがね、ミードだけは、妖精の作るミードだけは作りたてが一番旨いんだ。
そう言う意味では『旨いミード』は無い。」
ほう▪▪▪
なるほど▪▪▪
食い物も酒も、一番旨い状態で飲み食いしたい。
ならばユルヤナの言は、決して嘘ではないと言うことだ。
理解した。
「分かった。ならよ、俺達はこのまま極北の海に向かう。
その帰りにまた寄るよ。
それまでにミードを用意しておいてもらおう。」
「90日はかかるぞ?」
「90日鯨三昧するさ。」
「分かった。最高のミードを作っておこう。」
こうして俺はポスカネル達と合流し、妖精の城を後にした。
◇◇◇
「待ってよ煙の兄ちゃん!」
なんだ?
小一時間程歩を進めたとき、ユルヤナが追いかけてきて呼び止めた。
「父様からのプレゼントだよ!」
「なんだこりゃ?」
それはペンダントだったのだが、トップに付いている珠が陽の当たりかたで虹色に色を変えた。
いや、中の何かが万華鏡よろしく色を変えているんだな。
「『妖精の加護』だよ、これ付けときゃルルキーヌでひどい目には会わないんだ!」
そうかい▪▪▪
「俺には似合わねぇな。クリスタ、やるよ。」
「ほんと?」
ペンダントを受け取ろうとするクリスタをユルヤナが遮った。
「ダメダメ!これはパーティーのリーダーが付けてなきゃ意味が無いんだ!」
▪▪▪面倒くせぇ▪▪▪
「じゃあよ、ポスカネルだな。」
「駄目ですよ、私が隊長なら、ガンゾウさんは『大隊長』ですからね。
私は大隊長の不在のとき預かっているだけですからね。」
ふん、分かったよ▪▪▪
しぶしぶ受け取って着けてみた。
「!」
驚いた。
只の飾りじゃぁねぇ。
妖精達の力が凝縮されている。
エネルギーの塊だ。
▪▪▪
いや、こりゃあこの大陸の力を利用できる『エネルギー増幅装置』みてぇなもんだな。
さすが妖精の大陸っつう事なのか?
この大地自体が力を秘めている。
「地脈」?
あっちに有った『風水』的な物なのだろう。
陰陽師とか、仙人とかが利用する力と理解すれば良いか。
「羽虫▪▪▪」
「ユルヤナだぞ!」
「ああ、コイツが有ったなら親父さんでも瘴気の穴を塞げただろうが?」
そう、それほどのパワーを秘めている。
黒孔で吸いとれるか?
力負けしそうなパワーだな。
「残念だけど妖精族の身体じゃあ、扱いきれないで負けちゃうんだ。逆に力を吸いとられて死んじゃった先祖も居るんだ。」
なるほど▪▪▪
「だが、なんでそんなやべぇヤツを俺に?」
「父様の鑑定眼は絶対に間違わないからな!父様が信用したならその信用は絶対だ!」
「▪▪▪」
「ユルヤナくん、お父様に伝えて。
確かに受け取りましたと。
お父様の眼は本当に確かですねって。」
「おいおい▪▪▪」
「そうですよぉ!ご主人様ならばこの先も皆さんを助けでばぐわじっ!」
もちろんぶっ飛ばした。
「ガンゾウさんよ、照れなさんな。皆そう思うから一緒に居るんだ。」
「そうですよ!僕も大好きです!」
犬、うるせぇ▪▪▪
「まあ、兎に角預かっておこう。
ミード飲むまでな。
じゃあな。」
はあ、だから一人が良いんだ▪▪▪
「でも仲間が居るから食事もお酒もお祭りも分かち合えるのですよ?その方が愉しいじゃないですか?」
はいはい▪▪▪
「この先二日くらいで巨人族の都だ。
巨人族は狩猟も農産も得意な民族だからな、色々美味いものが有るぜ。」
とはイワコフだ。
▪▪▪早く言え▪▪▪




