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異世界無頼 魔人ガンゾウ  作者: 一狼
第6章 極北の海で鯨を堪能したい
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◆◆③ポスカネルとクリスタの納得◆◆

「えっく▪▪▪えっく▪▪▪えっく▪▪▪」


泣き止めよ、てゆーか、嘘泣きだろうが?


ユルヤナはようやく俺達への妨害行為が、自分の独断だと白状した。


なに、弾いて駄目ならと死ぬ程擽ってやっただけだ。


手足を縛って吊るして、その辺に落ちていた鳥の羽根で小一時間何も言わずずぅぅぅぅっと擽り続けた。


押して駄目なら引いてみなってところだな。


で、ユルヤナの左足首に糸を結び、捕まえたトンボを飛ばすみてぇに飛ばした。


もちろんこの糸はちょっとやそっとじゃぁ切れねえ魔物の吐く糸だ。


「▪▪▪ガンゾウさん、さすがにこれは可愛そうかと▪▪▪」


「ブラウリオ?おめぇがコントロール出来るなら委せるが?」


「▪▪▪いえ▪▪▪」


「ふん!デカブツの大雑把なおつむじゃあ俺様の結界に閉じ込められて干からびるのがオチだよ!ぶあっちっ!」


ホントに懲りねぇヤツだ。


「ふてぶてしいのはウラジミールさんも顔負けですね▪▪▪」


「厚かましいのもな▪▪▪」


まったく▪▪▪

話が一向に進まねぇ▪▪▪


◇◇◇


「で?俺達を惑わそうとした理由は何だ?

おっと、また無駄口叩くんじゃねえぞ?」


明らかに同じことを繰り返しそうなユルヤナの鼻先に極々軽くシッペした。

が▪▪▪

ぶっ飛んだ。


「理由なんか決まっている!ルルキーヌに魔王は入れない!」


鼻先を押さえながらユルヤナが答えた。


「誰が魔王だ?」


「あんた以外に誰が居るんだ?」


「そうか。だが俺が『魔王』だとして、お前一人で出てきたのは何でだ?魔王退治ならもっと盛大に人数揃えたほうが良いんじゃねぇのか?」


「それは▪▪▪」


「しかも息子を行かせて親父は高みの見物か?」


「父様を悪く言うな!」


お?呪力の強さが増したな?


「ルルキーヌは巨人族と妖精族が支配する大陸だと聞いていたんだがな?ルルキーヌに上陸してからこっち気配がしねぇんだ?

まあな、それも妖精族の幻術や結界の類いかと思っていたんだが▪▪▪

違うようだな?」


「私も妙に広漠とした印象でした。

荒れた▪▪▪と言うよりは『廃れた』感じでしょうか?」


おお、ブラウリオ?

良い表現だ。


「妖精族は滅びたのか?」


「ち、違う▪▪▪」


だが明らかに動揺してるな。


「滅びた訳じゃない▪▪▪眠っているだけだ▪▪▪」


「?」


ユルヤナはポツリポツリと話し始めた。

妖精族が

眠りについたその訳を▪▪▪


◇◇◇


「ねえ?ポスカネル?」


「はい?」


ポスカネル達は、ガンゾウと別れて極海を目指していた。


「ガンゾウが好きなの?」


「!」


「僕も好きですよ!ホントに尊敬しています!」


「ワンワン?ステイ!」


「犬じゃありませんよ!」


「わかったから、静かにしていてくれる?ほらオヤツ。」


フロリネはそう言って腰の革袋からジャーキーを出した。


「わーい!」


「ほんとにタウリ君は可愛いですね。」


「誤魔化さないで。ね?好きなんでしょ?」


「▪▪▪」


皆の視線が刺さるように痛い。


もう、フロリネさん、何て事を聞くの▪▪▪


「それは皆さんもそうだと思いますが、嫌いな人に付いて行きませんよね?

フロリネさんこそ最初の扱いが酷かったと言うわりには温泉行きたいとか甘えた感じですよ?」


角馬に跨がり先頭を行くポスカネルが、チラリと右後ろから話しかけるフロリネを見た。


「私はさぁ、森で旅人相手に悪戯するよりも楽しいから付いてきているだけ。

ゴブリンっ鼻がいなけりゃ言うこと無いんだけどね。」


「はぁ、分かりきったことを無理矢理話させるデリカシーの無さはダークエルフの性質なのでしょうねぇ▪▪▪

ああヤダヤダ!」


「うるさい!ゴブリンっ鼻!」


「ああ、臭い臭いエロ臭くて敵いません。」


「こっのぉっ!」


「ねえディートヘルムぅ?」


「何でしょうかクリスタさん?」


「あの2人こそ仲が良いわよね?」


「そうですね。夫婦喧嘩なんて豚も食べませんからね。」


『誰が夫婦じゃっ!』ハモる。


良かった。

話が逸れて。


「イワコフさん?何だか様子がおかしいと思うのですが?」


「▪▪▪はい▪▪▪」


ポスカネルの後方に居たイワコフにポスカネルは角馬を寄せた。


「ガンゾウさんと別れてから幻覚からは逃れられたけど、この景色は▪▪▪」


そう、空は青く緑の草原が広がり!白や黄色の小花まで咲いている。


風が無いのを差し引いてもおかしい。


生き物の気配が無いのだ。


「ルルキーヌは巨人族と妖精族が支配する大陸だと聞きましたが、それ以外は存在しないのですか?」


「▪▪▪いえ、あくまでも巨人族と妖精族の勢力が強いと言うだけで、人間族も獣人族も居ますし、何より様々な動物が妖精族の庇護を受けて生き生きと『生』を謳歌する、そう言う所なのですが▪▪▪」


「気配がしない▪▪▪」


原因が何かはわからない。

しかし当面の『食料調達』に不具合が出そうだとポスカネルは思った。


「皆さん、聞いてください。」


『ギャーのギャーのギャーの!』


「皆さん!」


『ギャーのギャーのギャーの!』


「怒りますよ?」


『!』


「ヘリオスさん?」


「はひ?」


「また石になりたいのですか?喧嘩を煽らないで下さい。」


「はひ▪▪▪」


「皆さん聞いてください。どうやら何かおかしな事が起こっているようです。生き物の気配がしません。」


「それがどうしたの?極海まで真っ直ぐ進めるじゃない?」


「クリスタさん?食料はどうするのですか?」


「あ▪▪▪」


「ガンゾウさんなら空間呪に何がしか入れてあるでしょうけど、今は別行動中です。

町が有れば買い物も可能でしょうが、イワコフさんのお話だとまだしばらくは無さそうです。」


「つまり狩りをしなければならないけど▪▪▪と言うことですかぁ?」


「はい、ガンゾウさんが居ても常に『狩り』と『釣り』、『採取』で賄ってきていましたよね?」


「ご飯が食べられないって事ですか?」


「はい、タウリ君。

ですので、今日これからここにベースキャンプを置いて付近を探索します。

何も見つけられなければご飯抜きですよ?」


『!』


「さあ!始めましょう!」


『YES!!マム!』


「なるほど、ガンゾウがポスカネルじゃないと駄目だって言ったのがわかったわ。」


独り語ちるクリスタだった。

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