表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
並行世界で人生やり直します‼  作者: 清水 雅斗
1/1

プロローグ

プロローグ


2015年12月24日


今日は、年に一度のクリスマス・イヴ。街では、クリスマスツリーが至るところに飾られており、サンタやトナカイの衣装を着て、チキンやケーキを売っているお店がたくさん出ていた。

また、商業施設などでは、いろいろなクリスマスイベントが催されていた。

街のなかには、手を繋いでいるカップル、子供連れの家族、友達と遊んでいる高校生など様々な人がいた。


そして、今日みたいな日には、好きな子に告白しようとする人もいるだろう。

本郷健もそのうちの一人であった。


その日、健は、高校の同級生の、仲のいい男女数人と、受験勉強の気晴らしに、クリスマスパーティーをしていた。その中には、彼が告白しようとしている相手もいた。


パーティー終了後、健とその子は帰り道が同じであったため、一緒に帰っていた。偶然にも、他の人たちは帰り道が違っていたため、二人だけで帰っていた。これは告白するチャンスだと思った健は、その子を、街が一望できる高台にある公園に誘い、二人でその公園に行った。


公園に着くと、二人は街を見ながら他愛もない話をして過ごした。しばらく話すと、話すことがなくなり、二人はただ街を眺めていた。二人の間で沈黙が続き、このままではまずいと思った健は、覚悟を決め、身体ごとその子の方を向き、声をかけた。


「ねぇ、聞いてほしい話があるんだけど・・・」


健がそう言うと、その子は「何?」と言いつつ、髪を掻き分けながら健と向き合った。その子と目があった健はドキッとしてしまい、すぐに言葉が出てこなかった。

目があってドキッとしたというのもあるが、髪を掻き分けた時の色っぽさも相まって、ドキッとした。

しばらく見つめあっていた健だったが、その子に名前を呼ばれると、ふと、我に返った。健は目を瞑り、数回深呼吸すると、意を決して、告白した。


「俺は、あなたが好きです・・・。俺と、付き合ってください」


見つめあったまま、しばらく静寂な時間が流れた。その時のその子は、驚いた顔をしていた。無理もない。今までそんな素振りを見せていなかったのだから、急にこんなことを言われたら、誰でも驚くだろう。

また、寒さも相まってか、その子の顔が紅くなっているのが分かった。


健から目線を外すと、左斜め下を見ながら、健の告白に答えた。


「あの・・・、その・・・・、急にそんなことを言われてビックリした。けど・・・、凄く嬉しい、ありがとう」


その子は、おぼつかない感じに答えた。

健はその返事を聞き、内心、少しだけ舞い上がっていた。これは付き合えるんじゃないか、と健は思っていた。

しかし、その後、その子から出た言葉は、健にとって予想外の言葉であった。


「でも、ごめんなさい。健とは付き合えない」



健は一瞬、何が起こったか分からなかった。自分の聞き間違いかもしれないと思った健は、その子に問いかけた。


「今、何って・・・」


健の問いかけにその子は、申し訳なさそうな表情で再び答えた。


「だから、健とは付き合えない」


聞き間違えではなかった。その言葉を聞き、健は茫然とした。


しばらく茫然としていた健だったが、ふと、我に返り、その子に付き合えない理由を聞こうとした。

その時、健より先に、その子が言葉を発した。


「本当にごめんなさい。さようなら」


そう言うと、その子は健に背を向けて帰ろうとした。健は理由を知りたいため、その子を止めようと手を握ろうとした。しかし、健の手は、その子の手に届かなかった。

おかしい。その子の手はすぐそばにあり、手を伸ばせば届く位置にあった。それでも届かない。二人の距離は徐々に離れていく。健は追い付こうとするが、なぜか追い付けない。速く走っているわけではないのに。

待って、待って、と健は何度も叫んだ。しかし、その子は止まらなかった。やがて、その子の姿は見えなくなった。それでも健は、手を伸ばして走りながら何度も叫んだ。


「待って、待って、待ってくれ・・・。」


やがて、立ち止まった健は、涙を流しながら、大声で叫んだ。


「まってくれよーーーー!!」



「ハッ」



目をあけると、そこには、見覚えのある天井が映っていた。健は息を整えながら、ゆっくりと身体を起こした。あたりを見回すと、そこは、健の部屋だった。


「また、この夢か」


クリスマス・イヴが近づくと、健は毎年、この夢を見ていた。


あの日から、5年は経とうとしている。あれから健は、毎年、告白しようと試みるが、告白できずに終わっていた。いや、正確には、告白しようとすると、あの日のことがフラッシュバックされて、告白することが出来なくなっていた。また、あの日と同じ思いをしたくないから。


ーーーもし、あの時、告白しなかったら、違った未来があっただろうか。そんなことは分からない。あの時、告白しなかったら、違う未来があったかもしれない。しかし、もし、違った未来があったとしても、その未来がいい未来だったとは限らない。もしかしたら、今よりも悪い未来だったかもしれないし、同じ未来だったかもしれない。そもそも、人は過去に戻ることはできない。だから、こんなことを考えるのは意味がない。


健は、そんなことを考えていた。考えるだけ無駄とはわかっていたが、考えずにはいられなかった。


でも・・・・。


ーーーもし、あの時、あの頃に戻れたとしたら、俺は・・・。


健は、ポツリと呟いた。


「あの頃に・・・戻りたい・・・」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ