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7.ユニークスキル(1)



「おいっ!ここはどこなんだよ。」



「さぁ、俺はなんか後ろからぶった切られた気がして、そっから気付いたらここにいた。」



「そうそう、ズバーット切られてな。」



「じゃあ俺らは死んでここに来たってことか?じゃあここは天国だな。

ヒャッハー!!遊び呆けてやるぜ

おい、誰か女もってこい、酒もってこい!」



「まあ、死んでいたとして俺らが行くのは地獄だろうがな。」



ある集団が何もない真っ白な空間が果てしなく続くような場所にいた。全員、人間から奪って来た布で作ったのか薄汚れた腰巻を巻いており、顔は鼻が異常に高い、また凹凸が多い特徴的な顔をしている。そして棍棒を片手に持っている集団。そうゴブリン達だ。兵士たちに殺されたゴブリン。そんなゴブリン達は今いる自分たちの状況に動揺していた。



「おいっ!ここはどこなんだよ!」



「お前はいつも質問ばっかな?少しは自分で考えろこのバカ。」



「何だお前喧嘩売ってんのか?喜んで買ってやるよ!」



「まあまあ、お前ら落ち着けよ。そんなことはこいつに聞けばわかることだろ?」



そう言ってメガネをかけたまとめ役のようなゴブリンが喧嘩を仲裁をする。そしてそのゴブリンはゴブリン達の中にこっそり紛れて、逃げ出すタイミングを探っていた桜を皆の前に蹴り出した。



「ひぃぃぃ!何でこんなとこにゴブリンがいるんだよ!てかここはどこなの?

夢の中か?夢の中だな!だから大丈夫、大丈夫。落ち着け落ち着け。

ってこれは前にもやった〜。絶対に夢じゃないよ〜。何なんだよ!もうこんなんばっかだな本当!殺すなら殺せよ!さあはやく。さあ!」



桜は仰向けになって目を閉じ、ゴブリン達に言う。ちなみに寝巻きで。ネメシスさんのひよこの絵が描かれた黄色い寝巻きで。



「・・・こいつ、何言ってんだ?」



ゴブリン達をドン引きさせながらおれが、なぜ今こんな状況になった考えてみる。

・・・あれ何でだろ?わからん。

とりあえず今日の朝からの出来事を思い出してみよう。討伐隊を結成しようと長老と話し合った次の日の朝から。










今日は昨日の反省をいかしてはやく起きた。おれはもともと早起きは苦手だったのだが、人間絶対にしなくてはいけないことがある、と思いながら寝るとはやく起きれるもんだ。

昨日と同じように寝巻きを長老からもらった服(昨日の夜ネメシスさんが持って来てくれた)に着替えようとした時。


トントン

誰かがドアを叩く音がした。



「失礼します。」



「どうぞー。」



そう言って客人を招き入れる。一昨日の美少女だ。彼女は前のような髪をおろした寝巻き姿ではなく、髪はポニテにして服は、下は少し短めのスカート、上は右胸のところに彼女の国の紋章なのであろうものがつけてある、兵士さん達がいつも着ている服を着ている。



「この間は去り際にとても失礼な対応をしてしまい申し訳ございません。私、あがり症なのでどうしても人前に出ると緊張てしまって。」



「いえいえ、そんなの全然気にしてませんよ。」



むしろその性格、おれの好みです。ホームランです。げへへへ。ポニテもかわいいなー。今夜のおかずにしてやるぜ。

おれはこんな最低な内面を少しも表情に出さないようにクーールに振る舞う。ポーカーフェイスには自信があります!



「ああ、そういえばあの時聞き忘れていたのですが、あなたの名前は?」



「あ、すいません!私は桜さんの名前知ってたのに、自分の名前を名乗っていなかったなんて失礼でしたよね。

私の名前は『マクリ』と言います。」



「まあいいですよ。それよりマクリさんですか。いい名前ですね。」



「ありがとうございます。」



マクリは本当に嬉しそうな表情でお礼を言う。そんなに自分の名前が気に入っているのだろうか?



「それで何でこんな朝早くからおれのところに?」



「ああ、それはですね。」



そう言いながらマクリさんは横に抱えていたカバンの中からリュックを取り出す。



「桜さんの持ち物ですよね?このリュック。ネメシスさんにこれを桜さんに届けるようにと言われたんです。」



これはおれがこの世界に来た時に隣に置いてあったリュックだ。

けど



「たしかにこれはおれの隣に置いてありましたが、おれのじゃないです。」



「あれ、そうなんですか?何でだろ?確かにネメシスさんは桜さんのだっていってたのに。」



なんでだ〜。とマクリさんは腕を組みながら眉を寄せている。考えるポーズ『マクリber』考えマクリだ。



「まあとりあえず持っといてください。」



「は、はぁ。」



案外適当だな!マクリさん



「あとこれネメシスさんからです。おそらく都について初めの頃はお金に困るだろうからと。」



そういってマクリさんは袋に入っているビー玉サイズの玉をくれた。



「あの?これは?」



「それは、あなたが襲われている時に倒したゴブリンから採取した『モン魂』です。大抵どの生物の中にも入っているんです。もちろん私たち人間にも。またモン魂はモンスターの魂が入っていると言われる玉でギルドに持っていくとお金になるんです。」



ネーミングそのまますぎだろ。

て言うか俺たちにも入ってるのそれ?

じゃあモン魂じゃなくて生物の魂で『生魂』じゃね?


まあそんなことはどうでもいいとして。

なるほど、ギルドでクエストをうけ、モンスターを倒してクエストの報酬をいただき、かつモン魂を売って金儲けをするんだ、冒険者は。命をいつ落としてもおかしくない職業だけあってそこそこ収入はいいのかもしれない。



「ありがとうございます。」



そういっておれは彼女から受け取ったモン魂をさっきもらった?ばかりのリュックに入れた。すると目の前が急に真っ白な世界に覆われた。何もない真っ白な世界だがその中に汚らしい見た目をしたゴブリン達がいたのだった。



















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