5.ヒロイン?登場!
ネメシスの一隊(団体名:サラマンダーの爪、第5番隊というらしい厨二っぽい)は、長い遠征のせいで皆々疲労困憊だったので、おれと出会わなくとも元々この村にはよるつもりだったらしい。なので二、三日の休養を挟んで都に出発することになった。その間は長老にこの来訪客用の小屋を使っていいと言われたのでお言葉に甘えさせてもらう。
ネメシスとの会話も終わり少し気持ちをリフレッシュするために外に出る。今はまだ昼だ。太陽が眩しいぜ!
外に出て真っ先にしようと思ったことは、おれの命を助けてくれた兵士さん達にお礼しにいくことだった。しかしお礼として何か要求されたらどうしよう。靴を舐めるくらいの心構えはしといたほうがいいかもしれない。
とりあえず村をぶらつきながら出会った兵士さん達にお礼を言って回ることにした。今回は引かれたりしないように普通のテンションで接したいと思う。
村は半径500メートルくらいの円周を柵で囲まれていた。これならモンスターに襲われても大丈夫なのではないだろうか?そんな疑問がうまれたので、あとで村人に聞いてみよう。
村がそこまで大きくなかったので兵士さん巡りは着々と進んだ。
おれが考えすぎていたのかだろうか、兵士さんたちは何の見返りも求めずただおれの身を心配してくれた。なんていい人たちだろう。さすがネメシスさんの部下なだけはある。しかし、弓使いでスタイル抜群のお姉さんにはちょっといじめられたかったかもしれない。
ネメシスさんから聞いていた兵士さんの数からだとあともう一人いるはずなんだけどどこにいるんだろう。もう一度村を見回ってみようかな。そう思った矢先に、目の前のこの村でおそらく一番大きな家から大声が聞こえた。
「この村には、討伐隊が必要だ!なんでわからねえんだよ!」
男性の声だ。村人だろうか?
少しきになるな。そう思って扉をこっそり開けて中をのぞいてみる。そこには長老と筋肉隆々の男性が向き合ってテーブルごしに座っていた。
「しかし、そんなものがなくとも今までやってこれたではないか。それに討伐隊を作ろうにもそんな戦力うちにはない。」
長老が男性の意見に反対する。
「長老だって知ってるだろ?理由はわからねーが、最近村の近くのモンスターが強くなってるんだよ。このままだといつ村の周りの柵が壊されるかわかんねえ。そうなる前に何とかしなくちゃいけねえだろ!」
「あの柵は勇者様が魔法をかけてくださったものじゃ。そうやすやすとは壊れまい。わしらが村の外に作るような出来損ないのものとは違う。」
あー、だから村の中央はいつも守られているのか。そして村を発展させようとしてまず外に自分たちで作った脆い柵を用意してもすぐこわされてしまうとで土地を広げることができないと言うことか。
「もし壊されることがなかったとしても周りを何日も囲まれたらどうすんだよ!村人は不安で発狂しちまうぞ!」
そう言った男は立ち上がり扉の方、つまりおれの方に近づいてきた。
まずいコソコソやったたのがバレる。
隠れようと判断した時にはもう遅かった。ただでさえ機嫌の悪い男はおれが盗み聞きしたたことに気づいてさらに機嫌が悪くなり、もはや顔が鬼の形相だ。
「ごめんなさいごめんなさい。別に覗くつもりはなかったんです。ただ少し魔が差してしまっ、ゴフッ!!」
言い訳をいい終わる前に男に蹴飛ばされておれは意識を失った。
最近こんなのばっかりだ。
目がさめるとそこは来訪客用の小屋の中だった。
「ううぅ頭痛い。」
けられた場所よりも頭痛がすごい。もうやだー。お家帰るー。なんか異世界に来てから痛いことばっかりだ。いいことが一つもない。夢も希望もあったもうじゃないぜ。
そしてもう一度大きなため息をついて冷静になり、視野が広がって初めておれの隣に誰かいることに気がついた。長老かな?そう思い顔を見てみるとその正体は
今までおれが見たことのないような美少女だった。
「あ!目が覚めましたか。よかったです。
調子はどうですか?」
そう言って美少女はおれに笑いかけてくれる。髪は金髪でロング、目の色は綺麗なライトブルー、年齢はおれと同じぐらいだろうか。体型は一言で言うとスレンダー。胸はCカップぐらいだろうか?しかしおれは大きくても小さくてもどちらでも大丈夫です。とにかくめちゃくちゃ可愛いです!
「あのぉ。そんなに見られると恥ずかしのですが。」
頬を染めながら彼女は言う。
「すっすみません。」
そんなに長時間見ていただろうか嫌われただろうか。土下座したほうがいいだろうか。足を舐めたほうがいいだろうか。
「い、いえ別に大丈夫です。」
大丈夫らしい。
・・・・
沈黙・・・
「「あの!」」
この空気に耐えきれずおれは彼女に話を振ろうとしたのだが、彼女も同じことを考えていたみたいだ。
彼女は赤面しながら下を向いている。
・・・可愛い。
「あの、じゃあまずおれから話していいですか?」
「はっはい!どうぞ」
このままだとラチがあかないと思ったので思い切って話を振った。
「どうしておれはここに?」
「桜さんが長老さんの家の前で暴行にあった後、そのまま気絶してしまって、ここまで運ばれて来たんですよ。」
「またネメシスさんが運んでくれたの?」
「いえ、その暴行を加えた男性が気を失った桜さんを担いで急いでネメシスさんのところに運んだらしいです。そしてそのままネメシスさんとその男性が二人でこの小屋まで桜さんを運んで来たそうです。」
その男性すごく反省していましたよ。
そう美少女は付け加えた。
あの男性も本当に悪い人ではないようだ。腹を立てていたのも、村のためを思ってのことだったのだし。もし謝りに来たら素直に許してあげよう。
そうだ!まだこの子の名前を聞いていなかった。少し緊張感するけど勇気を出して聞いてみよう!れっつちゃれんじ
「あのっ!きみのなま
「あ!そうだった。桜さんが目を覚ましたらネメシスさんに報告するように言われたたんだった!」
そう言って彼女はおれの質問に気づかず
足早にネメシスさんを呼びに行ったのだった。
わざとじゃないよね?