4.ステータス
「え?そうなんですか?」
おれは自分と他に元の世界から来たものがいたことにそれほど驚きがなかった。
だってなんだか今更そんなことで驚いたりしないよね!
そんな態度をとったおれに対してネメシスさんは意外そうな顔をしながら話を続けた。
「ところで君、桜くんといったか?」
「あれ?おれの名前話しましたっけ?」
そんな記憶はない。ずっとこの世界のことについてこちら側から質問ぜめをしていたので自分のことは全く話していなかったはずだ。
「悪いけど君をこの村まで運んで来る途中にこっそり君のステータスを見てしまった。」
そういってネメシスさんは赤色の前の世界でいうならば宝石のルビーのような手のひらサイズの足を取り出した。
「この石は、人の名前、性別、職業、レベル、使える魔法やスキルなどが見れるんだ。」
こんな風にね
といってネメシスさんは籠手を外して他に何もつけていない状態でその意思を握りしめる。
すると
・ネメシス
・男
・兵士(隊長)
・Level52
・魔法:ファイヤーボール
・スキル:両手剣スキル Level2
片手剣スキル Level5
盾スキル Level3
と、ネメシスさんの前の空間に表示表示された。地味にスクリーンがないのになぜこんなに鮮明に映し出されるんだろうと疑問に思ったが、まあ異世界だしなんでもありなのかな?
ネメシスさんのステータスは基準がよくわからないからなんとも言えなかった。
「そしてこれが君のステータス」
そういってネメシスさんはおれにルビー石?(後で知ったが鑑定石というらしい。そのままかい)をてのひらにおいた。
するとステータスが表示される。
・森川 桜
・男
・???
・Level2
・魔法:×
・スキル:×
・ユニークスキル:脳内会議
吸収(10000)
・・・・なんじゃこりゃ?
いやいやいやいやツッコミどころが多すぎんだろ。ネメシスさんもおれの名前以外のところを見るのは初めてみたいで
なんだか微妙な顔をしている。だいたいLevel2って何?5歳の子供でもそのくらいはいってそうなLevelだ。しかも職業は???だし。確かにそうだけども。こっちの世界では無職なんだろうけど。もうちょっと書きようがあったのではないだろうか。
それに
「す、すごいじゃないか。ユニークスキル二つ持ちなんて。ただの作り話だと思ってたよ!」
ネメシスさんがおれを励まそうとしてるのがわかる。だってこの数字だもんね。しかし、確かにユニークスキルというのはレアっぽい。ネメシスさんさえ持っていないのだから。ただ内容が意味不明すぎて、反応に困る。
まあこの世界で戦いながら生きていく!と決めているわけでもないし、あまり気にしなくていいかもしれない。
そんなことより今大事なのはこれからの生活についてだ。何しろ一文無しだし、これといって稼げるような特技もない。あれ?改めて考えるとおれ、このままじゃ飢え死にするんじゃ・・・。
「おれ、これからどうしたらいいんでしょうか?」
情けないが、今はネメシスさんに頼るしかない。命を助けてもらったり、この世界について教えてもらったり、この人にはお世話になりっぱなしだ。いつか恩返ししたいな。
「そうだね。じゃあ俺たちと一緒に来るかい?もうこの地域での用事は済んだからあとは都に帰る予定なんだけど。」
「都に行ってどうするんですか?」
「都にはギルドがあって冒険者になればクエストを受けれて、達成できたら報酬がもらえるんだ」
けどおれのステータスでは何もできまいて
「モンスターに勝てる気しないんですけど。ここにいる弱めのモンスターでも一方的に殺されかけたのに」
今思い出すだけでもゾッとする。それでも今冷静になれているのは、高一の時のあの出来事で少し恐怖の耐性が出来ていたからだろうか。
おれがそのような返事をするだろうと予測していたのかネメシスさんはなぜか得意げに
「安心してくれ!クエストには色々種類があってその中の一つと採取クエストは薬草などをとって来るだけで報酬がもらえるんだ」
と言った。
なぜにそんなにドヤ顔なの?よくわからない人だ。けどそれならおれにもできるかもしれない。それに実はせっかくの異世界なのだから、少しは楽しみたいとも思っていた。ギルドで酒飲んだり仲間でのんびり生活したりね。簡単な討伐クエストくらいなら受けてもいいかもしれない。
「じゃあ、お言葉にあまえさせていただきます!」
そうしておれは都で冒険者になることを決意したのだった。