3.この世界のあれこれ
村に運ばれたおれは来訪客用の木造作りの小屋に案内された。そこでいろいろな話をこの村の長老から聞いた。
マネアの村
おれが運び込まれたのはそういう名前の村だった。この「マネア」というのは昔モンスター達に村が襲われた時に人々を救ってくれた勇者の名前らしい。
この村の歴史は長く、なんでも500年以上前から存在しているようだ。
そんな長いこと繁栄している村なのに、なぜか町や都市などに発展していない。
その理由はあたりが森に囲まれていて、いつモンスターに襲われるかわからない。そして村にはそれらを力で圧倒するような力をもつ人間がいないため、なんとか村の中央の建物は守ることができても、新しく周りに建てた建物は壊されてしまうらしい。
さらにこの村は、大陸「ベールカ」の最北端に位置していてあたりには大きな都市がないため、貿易をするのに少し不利な立地をしているのだそうだ。
これらのことが理由でこの村は発展に行き詰まっているみたいだ。
そして今おれが置かれている状況は
「やっぱりここ、異世界だよなー」
おれを助けてくれた兵士さん(ゴブリンを真っ二つにした人)の名前はネメシスといって一隊を任されている兵長らしい。遠く離れた都市から来たみたいだが、なぜこの近くに来ていたのかは教えてはくれなかった。しかし長老に変わって、この世界のことはいろいろ教えてくれた。
まず、やはりここはおれの知っている世界とは大きく違っていた。
第一にモンスターがいる。この地域にいるモンスターは他の土地に比べ、弱いものばかりのようだが、なんでも魔王と言われる(彼らが勝手に名乗っているだけらしいが)兵士一万を相手にしても引けを取らない怪物野郎がいるらしい。まあ向こうからは滅多に襲ってこないのであまり気にしなくていいようだ。
第二に魔法や魔法をエンチャントした道具、錬金術や聖剣までもあるらしい。
さっきおれが大怪我をした時に飲まされた液体は「ポーション」といってただの水に回復魔法をエンチャントしたものらしい。これを行うには、魔法の修行を少なくとも3年はしなくてはいけない。
他にもいろいろ聞きたいことはあったが、とりあえずこの辺でやめておいた。
「ていうか、おれが異世界から来たって信じてくれるんですか?なんの疑いもなく今まで説明してくれましたけど」
するとネメシスさんは
まあ驚いてはいるんだけどね、
と前置きをして
「異世界から来た人っていうのは案外中央の都市に行ったらいるみたいだからね。」
と答えたのだった。